事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

週刊女性PRIMEで推しの子とテラスハウス木村花さん事件について事実誤認「ビンタ」は無かった

いいかげんにしろ

週刊女性PRIMEで推しの子とテラスハウス木村花さん事件について事実誤認

《独占告白》木村花さん母がアニメ【推しの子】に怒りの抗議「娘の死をフリー素材みたいに扱わないで」5/23(火) 18:02配信 週刊女性PRIME

集英社ヤングジャンプとジャンププラスで連載中の漫画「推しの子」のアニメ放送において、木村花さんが出演していた「テラスハウス」とその後の炎上の展開が似ているとして母親の木村響子さんが問題視している件について、週刊女性PRIMEが取り上げました。

しかし、この記事には致命的な事実誤認があります。

原作の描写は以下などでまとめています。

「ビンタ」の事実は無い:現実のテラスハウスでも漫画とアニメ「推しの子」でも

《独占告白》木村花さん母がアニメ【推しの子】に怒りの抗議「娘の死をフリー素材みたいに扱わないで」5/23(火) 18:02配信 週刊女性PRIME

現在7話までが放送(配信)中だが、問題視されているのは第6話『エゴサーチ』(5月17日配信)だ。

「主人公が恋愛リアリティ番組に出演するのですが、その中で登場人物のひとりの女子高生が番組内でとった行動によって誹謗中傷にあい、自殺未遂をはかるというシーンがありました。これは『テラスハウス』の木村花さんが亡くなってから半年後に雑誌に掲載されたものなので、花さんをモデルにしているのでは? と当時からSNSなどでは指摘されていましたので、アニメでそのまま放送することに驚きました。放送の約1週間後は花さんの3年目の命日なのに」(アニメ関係者)

 花さんは男女が共同生活をするリアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演中、出演者をビンタしたことからSNSを中心に誹謗中傷が激化。毎日100通を超える批判コメントが届いていたという。

 『推しの子』でも女子高生が出演者にビンタをしたことから批判コメントが集中して、という流れ。細部の設定は違えども類似点は否定できない。

週刊女性PRIMEではテラスハウスに出演中に花さんがビンタをしたとし、さらに「推しの子」内でもキャラクターが他の出演者にビンタをしたとしています。

いずれも事実誤認です。

2020 年 7 月 31 日 株式会社フジテレビジョン「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」検証報告

「番組スタッフが花さんに対し、他の出演者に対してビンタをするよう指示・要求した」という主張を響子さんが行っているためにその事実検証が為されていましたが、それは確認できなかったという結果が当のフジテレビから報告されています。

この点についてはBPOが異なる評価を指摘しています。

2020年度 第76号 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |

放送人権委員会決定 第76号「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」 ― 見 解 ―

第3に「仮に『ビンタしちゃえば』などの発言があったとしても、木村氏はプロレスラーとしてそのようなことはできないと考え、実際にはそうはせず、スタッフの要求と自己の判断とを折り合わせているのであるから、過度な要求であっても受け入れざるを得ないような状態にあったとまでは言えない」としている。しかし、立場の強いスタッフの要求と自己の判断との折り合いをつけること自体がすでに木村氏にとって負担であったことは想像できる。そして、現実にこの場面で木村氏はビンタではなくとも、相手の帽子を投げ捨てる行為には及んでおり、それがスタジオトークや副音声で批判的なコメントを呼び、番組内で「事件化」され、そしてSNS上でのバッシングを招いている点に、留意が必要だろう。4(2)にあるように、たしかに制作陣からビンタの指示があったか否かの事実関係を委員会が「確定することは困難」であるものの、木村氏本人はそのような指示があったと受け止めて行為に及んだことは、LINE などに残る友人や知人らとのやり取りの中からうかがえる

ビンタの指示の有無」と、「実際にビンタをしたかどうか」は別の話です。

現実は、「ビンタ」の事実はありませんでした。私も38話の「コスチューム事件」の該当場面の動画を確認しましたが、ビンタの事実は無く、相手の帽子を取って投げ捨てる行為が見られました。

いずれにしても、BPOは、「何らかの物理力を行使することを促すような発言が番組スタッフからあったと花さんが受け止めていたと伺える」と考えているようです。

なお、木村花さんはヒール役のプロレスラーとして相手にビンタを食らわせるということがあったようで、イベントなどでも猪木のビンタのような感覚で行われていました。

次に「推しの子」における恋愛リアリティーショー内での描写ですが、漫画(24話)とアニメ(6話)で同じ描写が為されており、こちらも「ビンタ」の事実はありません。

実際には振り払おうとした右手のネイルが不本意にも相手の顔の皮膚を傷つけてしまったという動作であり、故意による「ビンタ」の動作ではありません。

効果音も、映像を見てなかったり他の雑音環境下で聞いた場合には「ビンタ」と聞き間違う可能性がゼロとは言いませんが「ビンタ」の音とは認識しないようなものでした。

解剖学的には肩関節の内転と内旋が主な動作であるのが「ビンタ」だが、作中のキャラの動作は肩関節の水平外転メインであり、「その後」のフォームも手先が体側の外側上部にあり、明らかに「ビンタ」後の態勢ではない

実際の事件や作品を雑に扱ってネタにし対立を煽ってきたのは誰なのか?

週刊女性PRIMEの記事は、こうした事実関係を調べずに「細部の設定は違えども類似点は否定できない」という結論ありきで作られたものとしか思えません。

実際の事件や作品を雑に扱ってネタにし対立を煽ってきたのは誰なのか?

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