事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ラムザイヤー論文非難「慰安婦75%死亡」主張の根拠ページに「数字はデタラメ」と明記

マクデゥーガルの荒船発言の引用

ラムザイヤー論文を非難する声明において重大なミスが発覚しています。

ラムザイヤー論文非難声明「慰安婦は75%が死亡」

Letter by Concerned Economists Regarding “Contracting for Sex in the Pacific War” in the International Review of Law and Economics魚拓

Within the “comfort stations,” women were subject to repeated rape, forced abortions, physical torture, and sexually transmitted diseases, and it has been estimated that roughly 75 percent died from this experience.

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)政治学部の学部長マイケル・チェ教授が起草した経済学者らによるラムザイヤー論文非難声明では「慰安婦は75%が死亡」 と主張しています。

この根拠は何か、テキストでは明示していませんがハイパーテキストが貼られています

慰安婦75%死亡の根拠「デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金」

リンク先の1つは「財団法人女性のためのアジア平和国民基金」が運営している「デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金」というHPの、「日本軍の慰安所と慰安婦 >慰安所と慰安婦の数」というページの英語版ページです。

そこでは以下の記述があります(日本語版ページの記述を引用)。

1998年6月22日、国連人権委員会マイノリティ差別防止・保護小委員会特別報告者ゲイ・マクドゥーガル氏は同小委員会に報告「奴隷制の現代的形態ーー軍事衝突の間における組織的強姦、性的奴隷制、及び奴隷制的慣行」を提出しましたが、それに付録として報告「第二次大戦中の慰安所にたいする日本政府の法的責任についての分析」(全文はこちら)が付されました。その中で、氏は次のように述べています。

「日本政府と日本軍は1932年から45年の間に全アジアのレイプ・センター rape centresでの性奴隷制を20万以上の女性に強制した。」
これらの女性の25パーセントしかこのような日常的虐待に堪えて生き残れなかったと言われる。

 根拠としてあげられたのは、第二次大戦中に「14万5000人の朝鮮人性奴隷」が死んだという日本の自民党国会議員荒船清十郎氏の「1975年(ママ)の声明」です

  1. 「慰安婦75%死亡」を主張したのはゲイ・マクドゥーガルだった。
  2. その根拠は自民党国会議員の荒船清十郎の「1975年の声明」だった。

ということが書かれています。

それにとどまらず、このページ内でその信憑性についても記述しています。

※もう一つのリンク先は http://chwe.net/irle/Parker_and_Chew.pdf#page=4 で、499頁の注6にて「荒船発言」 を参照しています。

アジア女性基金はマクドゥーガルの主張の根拠の荒船清十郎発言を否定

 荒船清十郎氏の声明とは、彼が1965年11月20日に選挙区の集会(秩父郡市軍恩連盟招待会)で行った次のような発言のことです。

「戦争中朝鮮の人達もお前達は日本人になったのだからといって貯金をさせて1100億になったがこれが終戦でフイになってしまった。それを返してくれと言って来ていた。それから36年間統治している間に日本の役人が持って来た朝鮮の宝物を返してくれと言って来ている。徴用工に戦争中連れて来て成績がよいので兵隊にして使ったが、この人の中で57万6000人死んでいる。それから朝鮮の慰安婦が14万2000人死んでいる。日本の軍人がやり殺してしまったのだ。合計90万人も犠牲者になっているが何とか恩給でも出してくれと言ってきた。最初これらの賠償として50億ドルと言って来たが、だんだんまけさせて今では3億ドルにまけて手を打とうと言ってきた。」  

 日韓条約締結時に韓国側は、韓国人労務者、軍人軍属の合計は103万2684人であり、うち負傷ないし死亡したのは10万2603人だと指摘しました。慰安婦のことは一切持ち出していません。ですから、荒船発言の数字はすべて荒船氏が勝手にならべた数字なのです。国連機関の委嘱を受けた責任ある特別報告者マクドゥーガル女史がこのような発言に依拠したことは残念です。

 蘇智良氏もこの荒船発言を知り、これに依拠して、朝鮮人慰安婦が14万2000人いたとすれば、36万、ないし41万の慰安婦総数のうち、中国人慰安婦は20万人にのぼると結論しています。これも荒船発言に誤導された推論だと考えられます。

このように、アジア女性基金はマクドゥーガルの主張の根拠の荒船清十郎発言を否定している立場にあるのです。英語版だとさらに直接的な言い回しです。

None of Arafune figures have any basis whatsoever.

 「荒船発言はなんらの根拠にも基づいていない」

悪質な不正・捏造を自ら明らかにする慰安婦性奴隷論者

マイケル・チェ教授が起草した文章ですが、これは複数の経済学者が名を連ねています。そして、署名には3000人が集まったとも言われています。

誰一人として、このような出典ミス、というよりも「捏造」をチェックしていない。

これは悪質でしょう。

ラムザイヤー教授に対して論文の作法がどうのこうの、という別グループの指摘も大概ですが、「慰安婦は契約」論文を抹殺しようとしてる慰安婦性奴隷論者のやっている事というのはこの程度のレベルということです。

西岡力によるラムザイヤー非難声明の誤りを指摘する文書

慰安婦問題に関するラムザイヤー教授論文撤回を求める経済学者声明の事実関係の誤りについて – 歴史認識問題研究会

西岡力(歴史認識問題研究会会長、麗澤大学客員教授、モラロジー研究所教授)氏による指摘は、「慰安婦75%死亡」論以外にも10個の誤りや不当性の指摘をしています。

同様の指摘は一般ユーザからも示されており、世界に対して恥を示したのは誰だったのか、という話だと思います。

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