事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ウクライナ政府公式動画で昭和天皇とヒトラーを並べ「ファシズムは打倒された」に対して指摘をしておきました

この認識は良くないので指摘をしておきました。

※追記:同日中に削除・修正・謝罪が為されました。

ウクライナ政府公式動画で昭和天皇とヒトラーを並べて「ファシズムは打倒された」

魚拓

ウクライナ政府公式動画で昭和天皇とヒトラーとムッソリーニを並べて「ファシズムは打倒された」と表示されるシーンがありました。

なぜ昭和天皇なのか?
イタリアはヴィットーリオ・エマヌエーレ3世ではないのに。

問題があるので指摘をしておきました。

指摘をしておきました:日本の統帥権の構造と英国との類似、ファシズムという言葉の不明確さ

大日本帝国憲法下では形式的に天皇が軍の最高指揮官でしたが、実態は総理大臣が政策決定をしており、天皇は国務大臣の輔弼に基づいて裁可を下すのみでした。

天皇の意思でトップダウン的に政府の方針決定が為された例は昭和天皇による二・二六事件の鎮圧指示くらいしかありませんでした。

並べるのであれば、アメリカとの戦争の開戦当時の総理大臣で、その後の相当期間の間に内閣を構成した東条英機氏の方が適切でしょう。東京裁判でも裁かれています。他の総理大臣は東京裁判で裁かれていなかったり任期が短すぎます。

近衛文麿は太平洋戦争の開始に大きな役割を果たしていましたが、海外で知ってる者はほとんどいないのではないでしょうか?

日本の天皇と同じような統帥権の構造は、イギリスにも言えるはずです。

だからこそ、イギリスとドイツ・ソ連との戦争に関して当時の国王だったジョージ6世が言及されることは無く、首相のウィンストン・チャーチルが登場し、バトルオブブリテンの判断の称賛、ダンケルクの撤退についての功罪が語られているわけです。

したがって動画中の画像を変更することが実態に即したものになるはずです。

東條英機は極東軍事裁判で裁かれていますが、昭和天皇はそうではありません。

補足として、「ファシズム」という言葉の定義が不明確であること、実態としても日本とイタリア・ドイツの内政状況は明らかに異なること、日本がファシズムだったかについては日本共産党ですら「議論が分かれている」と評していることを書きました。

もはや「ファシズム」という言葉自体、「第二次大戦中に連合国と戦って負けた敗戦国の内情」みたいに使われてるから、もうそういう用語法として扱うならそうだとしか言えないでしょうが、構成要素として言われているものを見ると、日本は該当しないと思います。

このような意味が不明確な言葉を公的機関が使う事は避けるべきです。

実態からすれば、日本をファシズムと言うことは、ウクライナをネオナチと言うことに等しい。

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