事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

Twitter透明性レポート19「ツイート削除 日本から最多」の法的請求:「政府から」が訂正される

Twitterツイート削除日本政府ではなく日本から

「日本政府から」ではなく「日本から」に訂正されてる報道が

Twitter透明性レポート19「ツイート削除日本からが最多」

An Update to the Twitter Transparency Center

Twitter Transparency Centerから1月25日付で出された透明性に関する報告書の19について、ツイート削除の「法的請求」に関して日本からのものが43%で最多であることが分かります。

Removal Requests - Twitter Transparency Centerを見ると、「法的請求」の意味として裁判所命令その他の公式削除請求が含まれ、後者は政府当局によるものと代理人弁護士によるものがあるとしています。

Twitterツイート削除要請

その内訳はこのレポートでは明らかにされていません。

なお、日本語版サイトもありますが、報告書19はまだUPされていません。

報告書の概要 - Twitter透明性センター

削除請求 - Twitter透明性センター

本件に関しては日本のメディアも報じましたが、一部不正確だったために訂正されています。

テレ朝の報道「日本政府から」が訂正される

訂正前:テレ朝News日本最多“政府がツイート削除要請”[2022/01/26 13:47]

訂正後:テレ朝Newsツイッターの法的な削除要請 日本からが最多[2022/01/26 13:47]

テレ朝の報道では当初「日本政府から」と報じていましたが、訂正されました。

「要請者は政府機関と個人を代理する弁護士の両方のケースがあるということです。」という説明が追加されています。

この報道を転載配信していたライブドアニュースなどのページは削除されています。

また、テレ朝のように「削除請求」とだけ書いているところがありますが、ロイターなどは併せて「法的請求」と書いていました。

前者だけだと「圧力をかけた」のようなイメージを持つ者も出てくる可能性があり、事実「政府から」という言説と相まって、「日本が一番言論統制www」という言及のされ方で拡散されている場合があります。

改めて法的削除請求の概要は以下

  • 日本からの法的請求が一番多い43%を占めていた
  • ロシア、トルコ、インド、韓国と続いて、5カ国で95%を占める
  • 内容は、麻薬などの薬物、わいせつ物、金融犯罪に関係するものがほとんど
  • 各国からの要請のうち54%を表示制限または削除している

報道の自由・言論統制の問題は認証ジャーナリストと報道機関アカウントに対する法的請求か

報道の自由・言論統制の問題は「認証ジャーナリストと報道機関アカウントに対する法的請求」に関する話で、同じ報告書ページに記載があります。

Verified journalists and news outlets

172 accounts of verified journalists and news outlets from around the world were subject to 231 legal demands, a 14% decrease in the number of accounts since the previous reporting period. These included legal demands from India (89), Turkey (59), Russia (40), and Pakistan (18). Notably, Twitter continued receiving an increase of legal demands, including reported content from verified journalists and news outlets from a wide range of jurisdictions, such as Thailand (9), Brazil (4), United Kingdom (4), Mexico (2), Spain (2), France (1), Germany (1), Japan (1), and South Korea (1). 

In total, 11 Tweets from verified journalists and news outlets were withheld. Twitter saw a 120% increase of country withheld content from journalists and news outlets during this period compared to the previous reporting period. 

Three Tweets were withheld in India in relation to legal requests for content removal under the Information Technology Act, 2000. The three Tweets were from the accounts of Indian journalists and were reported for possible incitement towards offline harm.  

Eight Tweets were withheld in Russia for containing information about methods of committing suicide and one Tweet for sharing extremism-related content. 

172の認証ジャーナリストと報道機関が231の法的請求を受け、11のツイートが差し止めを受けたとしています。

この項目に関し、報告書18では、不当な法的請求の認容に対してはTwitter社が裁判所に対して異議申立てをした際にその旨を報告しているのが分かります。

Twitterは、認証済みのジャーナリストと報道機関が関わるトルコの裁判所命令に対し、その裁定が報道機関の表現の自由の保護に反することを根拠に、正式な異議申し立てを行いました。これらの異議申し立ては当報告期間中に一切認められませんでした。

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