事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

在韓日本大使館前のデモはウィーン条約違反?合法との裁判例があるが

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在韓日本大使館前でこのようなデモが行われました。

これはウィーン条約違反ではないでしょうか?

事実関係等を確認しつつ検討していきます。

在韓日本大使館前でデモ

'NO 아베' 日대사관 앞서 항의집회…욱일기도 찢어 - 조선닷컴 - 사회 > 사회 일반魚拓

旧日本大使館前で、日本の輸出管理の運用見直し(韓国向けの半導体製造品目3種類の輸出審査を優遇している状態から通常の手続に戻すこと)に対するデモが行われました。

さて、日本大使館は現在は移動しています。

在韓日本大使館は移転しているが隣り

在韓日本大使館は現在ソウル特別市鍾路区栗谷路6 ツインツリータワーA棟にあります。ソウル特別市鍾路区中学洞18-11より建て替え工事のため移転中とのこと。

実はこの二つは小さい道を挟んで隣り同士の敷地です。

現大使館が入居しているビル前のストリートビュー

旧大使館前のストリートビュー

Google Mapを見ると分かりますが、韓国の警察の大型バス車両が旧日本大使館前に駐車されています。おそらくこうすることによって目の前の歩道で抗議活動を行ったり、敷地内に侵入する者が出ることを防いでるんでしょう。

本当にお疲れ様です。

よって「旧大使館前だから今の大使館前でデモをしたわけではない」という言い訳は通用しません。

外交関係に関するウィーン条約「公館の安寧・威厳を守る義務」

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外務省: 条約検索 外交関係に関するウィーン条約

第二十二条

2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。

この条約によれば、韓国には公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するための措置を執る「特別の」責務があるということになります。

韓国警察が旧日本大使館の周囲を警備しているのも、この条約があるからでしょう。

ところで、単なるデモ活動が全て禁止されているかというと、そうではないようです。

韓国の行政裁判所の判決では大使館前のデモは合法

「大使館前100メートル以内での集会は許容」判決を無視する米大使館 : 政治•社会 : hankyoreh japan

韓国では、大使館前100メートル以内のデモであっても、それが「集会が大規模に拡散する恐れがなければ」可能という裁判所の判断が出ていました。

「集会およびデモに関する法律(集会デモ法)」に「大規模な集会・デモに拡散する恐れがない場合には、外交機関から100メートル以内で集会を開催してもよい」という例外条項があったためです。

なお、この事案では警察は一度禁止にしていましたが、訴訟で敗けたということです。

在韓アメリカ大使館前デモの内容は、THAAD配備に反対するということもあってか、過激な表現は行われず通常のデモの範囲内に収まっていたようです。

“韓国初”のアメリカ大使館前合法集会、平和的に終了 : 政治•社会 : hankyoreh japan

日本でも中国大使館前等でのデモはある

中国大使館前で抗議デモを行うウイグル人や日本…:中国新疆ウイグル自治区暴動 写真特集:時事ドットコム

日本でも中国大使館前でのデモはありました。

確かに「デモ」が必ずしも「公館の安寧・威厳」を損なうものであるとは限らないと考えられるので、限定的な状況を想定してそれを規制する方が、国民の権利を尊重することになるのだろうと思います。

そういう意味で、上述の事案における韓国の裁判所の判決がおかしいとは思いません。

世界の他の都市でも、大使館前のデモが許容された例はあるようです。
※ただし、慰安婦像と称されている虚偽の少女像の設置とそれに関する催しについては状況が別

ただ、韓国のこの事案の場合は、他の事例にそのまま当てはめることはできないと言っていいでしょう。それは通常のデモを想定しているハズだからです。

在韓日本大使館前でのデモの内容はヘイト行為

旭日旗を引き裂くデモは韓国の法令やウィーン条約が予定しているものでしょうか?

Youtubeのコメント欄は、概ね、このデモに対して批判的でした。

韓国人のネットユーザーの間でも、やはりこういった行為は行うべきではないということがわかります

旭日旗は海軍の軍艦機であり、国際的に承認されているものです。

それを大使館前で引き裂く行為は、ウィーン条約上の「公館の安寧・威厳」を侵害しているでしょう。

なお、デモの内容は、他にも安倍総理のお面をかぶった者を殴るパフォーマンスをするなど、もはや「日本に対するヘイト」と言ってよいでしょう。

たとえ大規模拡散せずに韓国の国内法上は適法であっても、このような行為がウィーン条約上の許容範囲であると言っていいのでしょうか?

まとめ

  1. 在韓日本大使館前でデモがあった、新旧大使館は隣同士
  2. 外交関係に関するウィーン条約では公館の安寧・威厳を守るのが接受国の義務
  3. 韓国の行政裁判所で大規模拡散しなければ大使館周辺デモはOKという法令の規定の適用が認められる判断が出た
  4. しかし、日本大使館前のデモは「ヘイト」であり、韓国法やウィーン条約が予定している集会ではないのでは?

デモの内容が具体的にどのようになるのかは、実際に行われないと分からない面があると思いますから、許可を出したソウル市(警察?)に問題があるとは思えません。

問題は、このようなヘイト行為を行っても何らお咎めなしの状態になっている韓国の法律であり、そういった規定が無いまま公館前のデモを許可している責任は韓国の行政府・立法府にあるでしょう。

以上