既に女性専用刑事施設に居ることでしょう。
- 「サリン撒く」で逮捕された山本深雪
- 性別適合手術を受けて戸籍変更済み、元男性の法律上女性
- 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
- 女子刑務所に入るのか?性別変更審判後の被収容者の扱い
- 男⇒女の性別変更審判後の被収容者の扱いまとめ
「サリン撒く」で逮捕された山本深雪
「サリンばらまく」で逮捕の山本深雪容疑者、「刑務所入りたい」と投稿 SNSで持論展開 - 産経ニュース
4月23日投開票の船橋市議選に無所属で立候補したものの、落選していた山本深雪。
Twitterで「サリンばらまく」などと投稿したことから逮捕されました。
「早く逮捕されたい」などと動機らしき投稿がありました。
逮捕されるの難しいな…。
— ❄山本深雪❄@船橋市受動喫煙対策活動家 (@tukisirosabuaka) 2023年4月29日
売名どうこうよりも、もう色々疲れたので、刑務所入りたいんですよ。 https://t.co/WmibDGj74x
— ❄山本深雪❄@船橋市受動喫煙対策活動家 (@tukisirosabuaka) 2023年4月30日
他、自殺衝動があるとみられる投稿もしていました。
この人物に関して、疑問に思う人が続出しているようです。
性別適合手術を受けて戸籍変更済み、元男性の法律上女性
この人物ですが、元男性であり、性別適合手術を受けて戸籍変更済みであることを凍結された方のアカウントで申告していました。
そういうこともあり、メディアでは「女」と表示されています。
「サリンばらまく」女 市議落選後に「刑務所入りたい」 自暴自棄なSNS投稿繰り返す 千葉・船橋市|読売テレビニュース
このような扱いに対して「反発」する反応がSNSでは見られますが、メディアの報道の仕方はどう考えれば良いでしょうか?
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
(性別の取扱いの変更の審判)
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2 前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。
(性別の取扱いの変更の審判を受けた者に関する法令上の取扱い)
第四条 性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす。
2 前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。
法律に別段の定めがある場合を除き、性別変更の審判を受けた者は、変更後の性別(男⇒女なら女性として、女⇒男なら男性として)法的に扱われることになります。
つまり、山本深雪は法律上は「女性」として扱われることとなっています。
メディアの報道はこの点で瑕疵がないでしょう。本件ではその犯罪行為の性質上、男女の別を論じるべき要素が何もないですから、法的枠組みとは別に素朴な価値観として男性として扱うべきか女性として扱うべきかはどうでもよいでしょう。
女子刑務所に入るのか?性別変更審判後の被収容者の扱い
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
(被収容者の分離)
第四条 被収容者は、次に掲げる別に従い、それぞれ互いに分離するものとする。
一 性別
二 受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)、未決拘禁者(受刑者又は死刑確定者としての地位を有するものを除く。)、未決拘禁者としての地位を有する受刑者、死刑確定者及び各種被収容者の別
三 懲役受刑者、禁錮受刑者及び拘留受刑者の別
「では、山本氏は女子刑務所に入るのか?」という点も確認しましょう。
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律には性別に従い分離するとあり、この法律に別段の定めがありませんから、この通りに扱うということになります。
法務省から以下の通達が出ています。
- 法第 4条第 1項の定めるところにより,戸籍上の性別に従い,収容施設及び収容区域を指定すること
- 性別の取扱いの変更の審判を受け,戸籍上の性別変更済みの者については,変更後の性別に従うことに留意すること。
- 戸籍上の性別変更済みの性同一性障害者等被収容者の居室の指定等については、個々の被収容者の事情に応じて,居室の指定等を行って差し支えないこと
戸籍上の性別に従うが、個々の被収容者の事情に応じて居室の指定等を行うことができる、としています。
「女子刑務所に入るのか?」という以前に、刑事施設には被疑者段階で収容される留置場や拘置所もあります。山本氏に関しては留置場は既にこれらのルールによって決められていることでしょうし、拘置所に移送される場合も同様。
※なお、現時点で山本氏が刑務所に入るかどうかは不確定です。起訴されても留置場・拘置所から出て執行猶予を受ける可能性もあります。また、不起訴で医療観察の対象になるかというと可能性は低いと思われます。
※追記:略式命令により罰金を支払ったとX上で報告されています。そのため、刑務所には入っていません。留置場には一時期居たようです。
刑法39条で心神喪失として不起訴や無罪になった人間って実は単に野放しになってるわけではないのですね
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2018年5月10日
『医療観察制度』によって66%は入院の審判が下されているhttps://t.co/A3dBzpILWvhttps://t.co/l9BeuBKJyj
そして、実は心神喪失者の再犯率は健常者よりも低いhttps://t.co/rYlagHNq9h pic.twitter.com/Rp3yuhSuir
男⇒女の性別変更審判後の被収容者の扱いまとめ
- 男⇒女の性別変更審判後に刑事施設に収容される場合、法律上は女性として扱われるため、女性専用の留置場・拘置所・刑務所に収容されることになっている
- ただし、居室の振り分け等は個々の被収容者の実情に応じて決められる
まとめるとこんな感じです。
なので、「山本深雪は女子刑務所に入るのか?」みたいな疑問がありますが、既に女子専用の収容施設(留置場)に入れられるのが法律上の扱い、ということになります。
ただ、「GWでキャパ不足だから例外的な扱いがされている」というような事があるのかはわかりません。本件で山本容疑者が実際にどの留置場に収容されているかは報道されていませんので、事実関係は不明です。
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