事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

愛知県の「電凸」音声削除の理由がころころ変わっている件

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愛知県の「電凸」音声削除の理由がころころ変わっている件

J-CASTニュースに対する愛知県の「電凸」音声削除の理由

不自由展への「電凸音声」公開→削除 クレーム当事者、愛知県、法律家...それぞれの見解を聞いた : J-CASTニュース

不自由展への「電凸音声」公開→削除 クレーム当事者、愛知県、法律家...それぞれの見解を聞いた(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

愛知県の県民総務課などは30日、検証委会議で音声を流した理由について、「苦情の殺到で安全が脅かされるかどうかを検証するためだった」と取材に答えた。検証委からの指示で音声も個別にアップしたといい、第3回会議で検証を終えたため、「その役割を終えた」と判断して、30日になって第2回会議の動画や個別の音声を削除したことを明らかにした。

J-CASTニュースの30日20時頃UPの記事では「第3回会議で検証を終えたため、その役割を終えた」から音声を削除したとあります。

これは他の報道と食い違いがあります。

ハフポスト、弁護士ドットコムの取材への説明

あいちトリエンナーレ電凸、抗議の音声が愛知県サイトから削除される | ハフポスト魚拓はこちら

県文化芸術課の担当者はハフポストの取材に対し、「音声のアップロードと削除は、検証委(あいちトリエンナーレのあり方検証委員会)の指示で行った」として、具体的な理由については「わからない」と答えた。

中略

【訂正】当初の記事では、音声7本と、会議の様子の動画の今後のアップロードについて「再度アップの可能性も」「またアップされると思う」と記載していましたが、30日午後時点の愛知県文化芸術課への再取材の結果、現時点で今後のアップの可能性は不明とのことから、本文を修正しました。(2019/09/30 16:35)

県民総務課ではなく芸術課ですが、あいちトリエンナーレのあり方検証委員会設置要綱 では検証委員会の庶務を処理するために県民総務課と文化芸術課が共管してこれに当たるとされているので、両方が所管部署です。

ハフポストの30日午前中の取材では「理由はわからない」でした。

トリエンナーレの「電凸」音声、愛知県のサイトから削除…県「一定の役割を終えた」 - 弁護士ドットコム魚拓はこちら

県民総務課によると、この一部の電話音声は、9月16日開催の第2回検証委員会で流されていた。その様子は、検証という目的から、インターネット中継されており、その収録動画はYouTubeにアップ、県のウェブサイト上にリンクされていた。音声のみも9月27日からアップされていた。

現在、「表現の不自由展・その後」は、芸術祭実行委と企画展実行委との間で和解があり、展示再開の方向で大きく動いている。同課によると、「こうした一連の流れの中で、(検証という)一定の役割は終えた」として、9月30日にアップされていた動画などをいったん削除したという。

他方、弁護士ドットコムの30日17時頃UPの記事では『表現の不自由展側との和解が影響して一定の役割は終えたために「いったん」削除した』と理由を説明しています。

音声の削除は30日午前9時半には行われていたので、この説明は虚偽であると指摘しました。

検証委員会後の音声UPなのに

再掲

不自由展への「電凸音声」公開→削除 クレーム当事者、愛知県、法律家...それぞれの見解を聞いた : J-CASTニュース

愛知県の県民総務課などは30日、検証委会議で音声を流した理由について、「苦情の殺到で安全が脅かされるかどうかを検証するためだった」と取材に答えた。検証委からの指示で音声も個別にアップしたといい、第3回会議で検証を終えたため、「その役割を終えた」と判断して、30日になって第2回会議の動画や個別の音声を削除したことを明らかにした。

この説明もまた虚偽であることが時系列から明らかです。

音声が愛知県のHP(YouTube動画へのリンク)にUPされたのは26日木曜日からですが、第2回会議で流された音声は1~4の4つだけでした。にもかかわらず、27日には音声5~7までUPされていました。

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「第3回会議で検証を終えた」というのであれば、26日以降に音声をUPする必要は無いし、さらには音声5~7は必要が無いはずです。

そして、「苦情の殺到で安全が脅かされるかどうかを検証するためだった」というのがYouTubeへのUPについても同様だとすると、これもおかしい。

音声5~7がUPされたのは金曜日であり、削除されたのは30日月曜日の遅くとも午前9時半。この間、県の窓口は電話が繋がりません。トリエンナーレ事務局は別でしょうが。

この期間をもって「苦情が殺到するか検証」とするのは成り立ちません。

まとめ:愛知県の職員が可哀想

J-CASTの取材では愛知県の職員は「検証委員会からの指示で」と答えていたように、「上」からの指示で仕方が無くやっているのでしょう。

特に合理的な理由の説明を受けることもなく、作業をさせられているのですから、まともな理由を答えることはできませんし、内容が人によって変わるのも仕方がないと思います。

大村知事や上山副座長に振り回されている愛知県の職員が本当に可哀想です。

以上