記者個人の問題だけで終わらせてはいけない。
- 「双葉病院では放射性物質で救出活動ができず約50人が衰弱死」
- 小手川太朗記者に歴史捏造させる朝日新聞
- 「科学を振りかざして」と言い放つ朝日新聞記者
- 「人々の不安に寄り添った」結果が福島に対する風評被害残存
「双葉病院では放射性物質で救出活動ができず約50人が衰弱死」
かつて「原発事故で死亡者は出ていない」と発言した政治家がいたが、実際は全く違った。原発から4.5キロの双葉病院では、自衛隊や警察が放射性物質に阻まれて救出活動ができず、約50人が衰弱して亡くなった。当時の記憶を訪ね歩きました https://t.co/u7NQoxqk20
— 小手川太朗/記者 (@tarokote) 2021年2月17日
2年前に亡くなった院長の口癖は「原発の100キロ以内に病院を作ってはいけない」でした。再稼働の議論が進む中、同じ事故が起きた時に果たして命を守れるのか、疑問です
— 小手川太朗/記者 (@tarokote) 2021年2月17日
朝日新聞福島総局の小手川太朗記者が「双葉病院では放射性物質で救出活動ができず約50人が衰弱死」と歴史の捏造・偽造をしています。
実態は【要支援の患者が多い双葉病院において、自力歩行可能な患者+全ての病院スタッフ(院長を除く)が避難バスに乗り込み退避したことから大熊町の行政側が避難は完了したものと思い込んだが故に要支援患者が取り残された】のが原因であり、「自衛隊や警察が放射性物質に阻まれた」事実も存在していません。
※「放射性物質」ではなく「原発事故による高濃度の放射性物質の飛散があり得るとする避難指示」の影響は救助の手続上、まったく無かったとは言えないだろうが、死亡との因果関係を強めた要素は上述の通りであり、小手川記者のツイートでは「放射性物質の影響」が「衰弱死」にもかかっていると「誤読」する読者も相当数居るだろう。
「避難が遅れたから死亡した」の意味は、【長時間に渡って要支援患者が医療スタッフ不在の状況に置かれ、医療が提供できる場所への避難が遅れたから】です。
救助の遅れは大熊町や自衛隊などで患者搬送に関する情報連絡が上手くいかず、患者が残っていることに気づかない状況が続いた影響が遥かに重いウェイトを占めます。
自衛隊が放射性物質に阻まれて救出活動ができないレベルだったなら、放射性被ばくによる死者が患者に出ているはずだし、自衛隊員にもそのような影響が出ていないとおかしい。そういう事実を何ら示していないで想像で書いている。
参考1:東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
参考2:Ⅳ 福島第一原子力発電所における事故に対し主として発電所外でなされた事故対処
※そもそも医療スタッフが全員避難する必要は無く過剰避難が根本的な原因だとする主張もありますが、後世からの分析はともかく、当時の状況として福島第一原発から10km圏内で避難指示がなされ、双葉病院がこれを実施したことを取り上げて批判することにどれほどの意味があるのかは疑問。本質的な問題は「避難指示が長期化したこと」だろう。
国会設置の事故調の報告書は膨大な文量ですが、この点は既に以下などで大枠の指摘が為されているので紹介に留めます。
朝日新聞が偽造する福島第一原発事故の歴史 – アゴラ(池田信夫)
朝日新聞記者小手川太朗の「双葉病院では自衛隊や警察が放射性物質に阻まれて救出活動ができず、約50人が衰弱して亡くなった」に対するpowerpc970plusやハラオカヒサの反論 - Togetter
小手川太朗記者に歴史捏造させる朝日新聞
当該記事には小手川太朗のクレジットがあるが、「東日本大震災3.11 震災・復興」というテーマが掲げられているように、これは朝日新聞が社として連載する記事の1つに過ぎません。
そのため、この記事の内容も、朝日新聞が社として大きなプロットを作成した上で書かれた疑いが濃厚であり、入社4年目の小手川太朗記者個人の問題とするべきかは迷いが生じます。
ただ、「記者である以上責任を持て」と迫ることも否定されるべきではない。
現実に風評被害を受け続けている福島の地に関わる人々の怒りを思えば、彼がやっている「事の大きさ」は十二分に非難に値する。
しかし、やはり彼自身も朝日新聞という巨大な組織の末端であるが故の抗いようのないものに絡めとられてしまった側面も否定できないと思うため、20代の個人に殊更焦点を当てることにも躊躇いが生じている方も多いのではないでしょうか?先輩社員には鮫島浩、青木美希や三浦英之などが居るのだから、その影響は相当受けているでしょう。
もっとも、以下のように、個人としての問題を指摘する者もおり、それを読む限りは「甘やかし」は許されないのではないかという気にもなってくる。
徳本氏による朝日新聞記者小手川太朗に関する論評 - Togetter
「科学を振りかざして」と言い放つ朝日新聞記者
そんな小手川太朗記者を擁護する西本秀 氏のような朝日新聞記者が居る。
同感です、一面の記事を読んで思いました。自主避難者問題もそうですが、科学を振りかざしてこれが真実だ、と言われてもですね...
— 小手川太朗/記者 (@tarokote) 2020年2月14日
若手記者が記した、「科学を振りかざしてこれが真実だと言われても」というツイートが批判されている。言葉足らずな表現だったかもしれないが、科学が説明する安全と、人々が受け止める安心のギャップをどう埋めるか、風評被害やリスクコミュニケーションの課題を指摘する趣旨だ。私は問題ないと思う。
— 西本秀 (@xibenxiu) 2021年2月21日
これは「処理水」と「自主避難」に関する話が発端。
しかも、「福島民友新聞社による科学に基づく報道」に対して「科学をふりかざす」と言及。
【風評の深層・トリチウムとは】眼前に「処理水」...77万ベクレル:風評の深層:福島民友新聞社 みんゆうNet
確かに、「科学だけを論じても解決しない問題」ということは共通認識。
そこは否定しない。そこには人間の感情や過去の経緯が介在しているから。
しかし、そのようなセリフは、科学情報を踏まえた者がはじめて言えるもの。
科学情報を提供し「科学的安全」を周知する役割があるはずのマスメディアが、その責務を十分に果たさないままに個人の「不安」を拡散する記事を乱発してきたのが実態。
(処理水を「汚染水」などと言い換えているなど、態度は明らか)
そこには「科学を認識した上でなお払しょくできない、やむにやまれぬ人情」というものは感ぜられず、ひたすらに「科学を無視した不安煽動」がある。
これは「両論併記の悪用問題」とも重なる。
新型コロナウイルス接種と「両論併記問題」|Nathan(ねーさん)|note
「人々の不安に寄り添った」結果が福島に対する風評被害残存
震災から10年、福島県の復興や放射線の健康影響に対する認識をより確かにするために重要なこと第3回調査結果の報告(2020年実施) | 三菱総合研究所(MRI)
2017年の調査時点で「福島で健康被害が出る可能性が高い」と疑っている東京都民は約半数、「可能性は低いが否定できない」と考えている人は80%以上。2020年の最新の調査でも、比率は大きく変わらない。
これが「人々の不安に寄り添った」結果であり、「両論併記」がなされてきた結果。
福島県民の居住移転の自由に始まり、帰還後も震災から10年が経過しようとしているのに福島に対する風評被害が残存し、職業選択の自由等への悪影響がているのが、普段から「人権」を声高に叫んでいる界隈の発信による「成果」だろう。
HPVワクチンに始まり、新型コロナウイルスワクチンに関する報道も、正確な科学情報を提供していないくせに「個人の不安に寄り添う」雰囲気を感じます。
こうした態度は、もはや情報操作をしていることを糊塗するための方便と看做して批判して健全化させるしかないでしょう。
以上