朝日新聞が女子勤労挺身隊であるとするコピペ画像をツイートした件ですが、その出所と思われるものと、朝日新聞の関与について書きます。
朝日新聞の女子挺身隊コピペ画像
とても貴重な写真ですね!こんな鉄兜を持って通勤されていたとは…考えさせられます。弊社には、1944年に増産のため工場へ出勤する女子挺身隊の写真が残っていました。「男たちは戦場に駆り出され、国内の労働力は不足していた」とありました。 pic.twitter.com/Yct6SR55ph
— 朝日新聞フォトアーカイブ (@asahi_photoarc) 2020年12月18日
朝日新聞の女子挺身隊コピペ画像はこのようになっています。
朝日新聞フォトアーカイブが謝罪
戦争中に撮影され、写真に不自然な点がありました。確認不足、説明不足のまま掲載してしまいました。申し訳ありませんでした。
— 朝日新聞フォトアーカイブ (@asahi_photoarc) 2020年12月19日
朝日新聞フォトアーカイブが一応謝罪していますが、「戦争中に撮影され」ってどういう意味なんでしょう?1944年に撮影されたものだということはこのアカウントが書いていますし、その年が戦争中であることは明らかであるのですから、改めてこのように書く意味って一体どういうことなんでしょうか?
「確認不足・説明不足」と言っていますが、何ら説明になってません。
(このアカウントの担当者は気の毒だが地雷を踏んでしまったようで)
日本軍プロパガンダ誌の"Front"が出典では無いか?という指摘
戦時中の対外プロパガンダ写真誌「FRONT」では、しばしば一枚の写真を「コピペ」する事で実際より多数の兵器があるように見せかけていました。朝日新聞も同じ合成手法で国内的にプロパガンダを行い、国民を扇動していた事を示す貴重な資料ですね。特に考えさせられはしませんが。 pic.twitter.com/1BJxBVZlBW
— 左内 円卓倶楽部 (@sonthetown) 2020年12月19日
"FRONT"(東方社)という対外宣伝工作用の写真誌があるようで、朝日新聞の写真はここから取られたものではないか?という指摘があります(※注:上記ツイートはFRONTが出典とは書いてません。しかし、多くのアカウントがこれを見た結果、FRONTに当該写真があると思い込んでいます。)
そうだとすると、朝日新聞が対外的なプロパガンダに積極的に関与していたということになります。
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※20日追記:FRONTの復刻版(平凡社)の1~14号+インド号+戦時東京号を確認しましたが、当該写真の存在はありませんでした。なお、復刻版は美術部主任だった原弘が保管していたものの中から再現したものであり、欠損があると思われます。また、東方社版特別号に「戦争美術号」があるが、空襲や終戦によって刊行には至らなかったとあります。
それ当時の軍部が海外向けのプロパガンダグラフ誌にのせたコラ画像。昔NHK教育で特集やっていた。
— カダフィ大佐 (@hennaojisan) 2020年12月19日
(こういう指摘もありますが…)
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ですから、おそらく朝日新聞フォトアーカイブとしては「コピペは知らなかった」で押し通すことが予想されます(これまでにコピペに気づいた社員がまったくいなかったわけじゃないだろうが)。
しかし、その言い訳も通用しないと思います。
朝日新聞社編「眼で見る昭和史」で女子挺身隊のコピペ写真が説明なしに掲載?
や、「女子挺身隊の写真が残っていました。」って、出版してますよね。注釈ついてるかはわかりませんが。
— 山端一稔【公式】 (@yamahata1000nen) 2020年12月19日
朝日新聞社 編『眼で見る昭和 上下巻セット』 https://t.co/2bQS8JytYc https://t.co/UL8vFMjmCQ pic.twitter.com/Cp19b7FYDv
眼で見る昭和 上下巻セット(朝日新聞社 編) / 芸備書房 / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」刊行年1972-1973
朝日新聞社編「眼で見る昭和史 上」を見ると、女子挺身隊に関する写真として、何らの説明も無しに掲載されているのが分かります。
実際に巻末巻頭を見ても、写真の出典もありませんでした
(※20日追記:あとがきには松島雄一郎氏が『「アサヒグラフ」だけでは足りなくて、結局、新聞の方もくりひろげることになり』と書いてあり、ここから写真を取ってきたと言えるが、「新聞」が朝日新聞だけなのか、さらには他の媒体からも採用したものがあったのかは不明)
つまり、戦後、朝日新聞が自社の出版物に掲載し、金銭的利益を得るために利用されてきた写真であるということです。
(ちなみにこの写真は某WEB画像サイトでも有料DLできるが、権利関係がどうなっているのか不明。朝日新聞のフォトアーカイブのWEBに掲載されていたが、本件の騒動の後に削除or非公開となった。ここでは「引用」ないし「時事の事件の報道のための利用」として掲載)。
※21日追記:1944(昭和19)年10月25日付の『アサヒグラフ』通巻1090号の9頁に当該写真の掲載が確認できました。
この書籍の出版に際して、「コピペ」に気づかなかったのでしょうか?
それとも、気づいた上でそのまま載せたんでしょうか?
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