中国黒竜江省の高級人民法院が「故意の新型コロナウイルス拡散は最高で死刑」とする通達を出しました。
黒竜江省の高級人民法院「故意の新型コロナウイルス拡散は最高で死刑」
最高死刑!保障打赢“战疫”,黑龙江高院严打涉疫情防控相关刑事犯罪!发布时间:2020-01-31 11:15:20:魚拓
中国黒竜江省の高級人民法院(日本で言う高等裁判所)が「故意の新型コロナウイルス拡散は最も重いもので死刑となる」とする通達を出しました。
黒河市人民政府も同じものを2月3日にUPしました。
法院紧急通知:最高死刑!严打新冠病毒“战疫”9类36种犯罪 时间:2020-02-03 21:00:28 来源:中国长安网
裁判所がこのような通達を出すというのは、日本ではあり得ませんが、中国は共産党中央政府のピラミッド組織の中に裁判所も組み込まれているためにこのようなことが起きます。
新型コロナウイルスの意図的な伝播は公共安全に対する危害
二、危害公共安全类犯罪
2.故意传播新型冠状病毒病原体,危害公共安全的,可能涉嫌违反《刑法》第一百一十四条、第一百一十五条第一款的规定,触犯“以危险方法危害公共安全罪”,最高判刑死刑。
「新型コロナウイルスの意図的な伝播は公共安全に対する危害」というのはこの部分。
刑法解釈を予め裁判所が行って公表するというのは何だか面白いですね。
それにしても、「ウイルスを意図的に伝播」をどう認定するのか気になりますが、おそらく感染していると診断された者は隔離が基本なので外出しただけでアウトなんだろうと思われます。
通達には他にも死刑がある罪が掲載されていますが、これらは普段から死刑対象になり得る行為に過ぎず、新型コロナウイルスの流行は、そのような行為を引き起こし得る要因となる状況として記述されているに過ぎず、一般的な注意書きのようなものになっていると思われます。
日本の入管実務への影響は?
実はこの対応、日本の入管実務に影響を与える可能性があります。
入管法
(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。省略
十四 前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
入管法では感染症法上の各感染症が上陸拒否の対象になっていますが、疑似症患者や無症状病原体保有者=不顕性患者については明示的な拒否対象になっていません。
そのため、入管法5条1項14号を適用するのではないか?と言われています。
しかし、単にウイルスに感染している状態で街中を歩くだけで「公安を害する行為」と言えるのかという解釈・事実問題があります。
今回の中国黒竜江省の高級人民法院の認定は、直接には日本の法体系とは別の話ですが、この規定の適用に際して何らかの影響を与える可能性はあるんじゃないでしょうか。
以上