事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日立造船にも賠償命令:朝鮮人労働者(徴用工)訴訟で確認したいこと

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日立造船にも賠償命令 ソウル高裁、徴用工訴訟控訴審 - 産経ニュース

新日鉄住金、三菱重工に続き、日立造船にも韓国の司法が賠償命令を下しました。

この展開は見えていたので基本的にどうしようもないのですが、朝鮮人戦時労働者(徴用工)訴訟について、確認すべきことを整理します。

個人の請求権は残っているが協定で日本側に請求できない

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日韓請求権協定によって、外交保護権は相互放棄されました。

財産的価値が認められる実体的権利は、日本においては財産権措置法で消滅しました。

個人の請求権=訴訟提起できる地位は、協定によっても残存しています。

ただ、一方の政府・団体・国民からの請求に対する相手国側の義務が協定によって消滅した結果、裁判による救済は受けられないという帰結(=そのような法的効果を発生させるという合意)となるのです。

要するに韓国民の補償は韓国政府が行いましょうという合意があったのです。

なんか「人格権に基づく請求権を国家が勝手に放棄できるのか」と言ってる弁護士が居ますが、そもそも「放棄」(=請求権の消滅)してませんので主張自体失当です。

韓国政府もその認識だったということは盧武鉉政権下の2005年に交渉文書の公開で明らかになりました。

関連記事は以下参照

西松建設の事案を敷衍するデマ

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「西松建設で最高裁が法的な義務は認めなかったが、任意の救済を促した画期的な判決がある」「だから徴用工にも日本企業は任意に救済するべきだ」

こういう主張をしている者はフェイクを拡散しているだけです。

  1. 日本人とは異なる労働環境で
  2. 賃金の支払いもなく
  3. 国家間合意による個人補償の支払いもなく(中国側が放棄)
  4. 西松建設が戦後日本政府に対して中国人使用による補償金を受け取っていた

西松建設の事案ではこのような事情の積み重ねが最高裁で認定されたのであって、たとえ中国人相手でも他の企業に対して「任意の救済を促す」合理性があるとは必ずしも言えません。

にもかかわらず「朝鮮人に対しても同じです」と言い切ってるのはもう論理無視のポジショントークなので、冷ややかな目で見るのが一番でしょう。

韓国側の人間は、企業に対して「任意の補償」を促してきています。

関係企業の従業員、役員、株主のみならず、国民全体が騙されないようにしないといけませんね。

詳細は以下記事参照

『「協議を求める」では甘い!』と言う人へ 

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現在、日韓請求権協定の実施に関して紛争が起こっています。

そのため「韓国が協議に応じるわけがないのだから今すぐ制裁だ!」と言いたくなる気持ちは分からなくもないです。

しかし、協定に「協議するものとする」と書かれていますから、この手続を踏まないとなると日本も協定を軽視していると見られてしまいます。

  1. 外交ルートの協議⇒破綻なら2へ
  2. 仲裁委員の選定
  3. 第三国の仲裁委員を締約国が合意選定or第三国の政府が指名
  4. 仲裁判断:両政府は仲裁判断に服することに⇒服さなかった場合には5へ
  5. 国際司法裁判所での審理⇒相手国の同意が必要

このような段階を踏むことになります。

菅官房長官のように「粛々と」の精神でいることが吉です。

詳細は以下記事参照。

まとめ:日立造船以外にも続々と賠償命令が予想されるが

朝鮮人戦時労働者(徴用工)の話はいわゆる従軍慰安婦問題と同じ轍を踏むわけにはいきません。

レーダー照射問題で韓国が反論動画を8か国語に翻訳したということの意味は、世界中の一般人に対して印象操作工作を仕掛けるという意味です。

そうしたものに騙されないように日本人がしっかりこの件を理解することが大切です。 

以上