3月6日に決定された新型コロナウイルスの水際対策強化を簡単に整理します。
- 新型コロナウイルスの水際対策強化を簡単に整理
- 法務省所管事項の閣議了解:入国禁止=入国拒否は一部のみ
- 国土交通省:中韓からの航空機到着空港の限定、船舶の旅客運送停止
- 「中韓からの渡航者への要請」は検疫の強化の話
- 法務省の発給済みビザ=査証の効力停止
- まとめ
新型コロナウイルスの水際対策強化を簡単に整理
新型コロナウイルス感染症対策本部の資料で簡単に整理できます。
- 入国拒否対象地域の不断の見直し(法務省)
- 検疫の強化(厚生労働省)
- 航空機の到着空港の限定等(国土交通省)
- 査証の制限等(外務省)
- 水際対策に関する日中韓を始めとする国際協力の強化
それぞれ所管官庁が異なるのが分かります。
この中で「入国拒否」に関しては誤解もあるので詳しく見ていきます。
なお、これは新型コロナに感染した患者や無症状病原体保有者、疑似症患者であるかを問わず、まったくそういう者ではない健康な者に対しても行う措置です。
「強制入院」は感染症法に基づいており、それは患者や無症状病原体保有者、疑似症患者に対して行われているものです。
なお、新型インフル特措法を改正して新型コロナウイルス特措法的に適用することが検討されていますが、この場合には患者等でなくとも住民に対して一定の権利制限ができるようになります。
法務省所管事項の閣議了解:入国禁止=入国拒否は一部のみ
法務省:新型コロナウイルス感染症に関する取組について 出入国在留管理庁
中華人民共和国等で感染が拡大している新型コロナウイルス感染症に関して,3月5日の新型コロナウイルス感染症対策本部による公表及び3月6日の閣議了解を受け,3月7日午前0時から,当分の間,大韓民国慶尚北道慶山市,安東市,永川市,漆谷郡,義城郡,星州郡及び軍威郡並びにイラン・イスラム共和国コム州,テヘラン州及びギーラーン州に滞在歴がある外国人についても,特段の事情がない限り,上陸拒否の対象となります。
この閣議了解では、韓国とイランの全域について、法務大臣が必要と判断すれば入管法5条1項14号の「日本国の利益を害するおそれのある者」とするとあります。
少しわかりにくいですが、これを受けて法務省傘下の出入国管理庁は韓国とイランの上記特定の都市に関しては上陸拒否=入国拒否をするという措置を講じたということです。
決して韓国とイランの全域を入国拒否するとしたわけではありません。
国土交通省:中韓からの航空機到着空港の限定、船舶の旅客運送停止
危機管理:新型コロナウイルス感染症に関する国土交通省の対応 - 国土交通省
中韓からの航空機到着空港の限定、船舶の旅客運送停止については国土交通省新型コロナウイルス感染症対策本部(第7回)(2020年3月6日)にあるように総理大臣指示に基づいているようです。
「中韓からの渡航者への要請」は検疫の強化の話
水際対策の抜本的強化について(新型コロナウイルス感染症)厚生労働省
3月9日午前0時以降に、中華人民共和国又は大韓民国から来航する航空機又は船舶で日本に入国される際には、検疫法での隔離・停留が必要な場合のほか、検疫所長が指定する場所(御自宅等)において14日間の待機をお願いすることとなります。
また、御自宅等へは公共交通機関を使わず、自家用車でのお帰りをお願いすることとなります。
「14日間の待機を要請」というのは検疫の強化として、入国した者をどう扱うかという話です。これは強制力を伴った措置ができませんから、任意の協力を依頼するということです。
要するに武漢からのチャーター機で帰国した国民に対して承諾した方のみホテル等で隔離していた(実際にはほぼ全ての方が自主的に隔離に協力)ことと同じことを、今度は中韓からの渡航者に対しても行うということです。
これだけを見ると「手ぬるい!」と思うかもしれませんが、既に発給済みビザの効力停止、入国拒否地域の拡大、到着空港の限定と旅客船舶の禁止をしているので、問題ないでしょう。
法務省の発給済みビザ=査証の効力停止
法務省の発給済みビザ=査証の効力停止については別途まとめました。
なお、「数次ビザ」もちゃんと対象になっています。
まとめ
中韓からの外国人が自国から日本に入国するまでの間に、感染症対策強化がどう関係するのかを時系列で示すと図のような流れになります。
すなわち、①発給済みビザの効力停止によって中国人、韓国人は特段の事情が無い限り実質的に日本入国ができなくなり、②入国拒否対象地域の拡大によって当該地域からの外国人は日本入国が禁止され、③中韓からの到着空港限定・船舶の旅客運送停止によって入国手段は著しく制限され、④入国できても14日間の待機要請が為される、ということです。
協力強化は割愛します。
以上