事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「新型コロナウイルスは治癒後に再感染だからHIVエイズが関係!」⇒普通のウイルスも反復感染します

新型コロナウイルスは再感染する

「新型コロナウイルスは再感染する!」

だから何ですか?

安易にHIVエイズウイルスと関連付けないように

新型コロナウイルスは治癒後に再感染することがある

 「新型コロナウイルスは再感染することがある」

この情報は時事通信の1月31日の記事でもたらされました。

しかし、1月31日の中国国家衛生健康委員会の記者会見の中身はこうです

2020年1月31日新闻发布会文字实录魚拓

香港经济导报记者 治愈的人有哪些注意事项?

治癒した人にはどのような予防措置がありますか?

詹庆元 这个问题问的非常好,我们从一般的病毒感染规律来看,病毒感染之后都会产生一定的抗体,对人体产生保护作用。但是有的抗体可能持续时间没有那么长,所以这些已经痊愈的患者还是有再感染的风险,因此治愈的患者应该加强防护。

詹庆元 この質問はよく聞かれます。一般的なウイルス感染のパターンからは、ウイルス感染後に特定の抗体を産生し、人体を保護します。ただし、一部の抗体はそれほど長く続かないものがあるかもしれないため、回復したこれらの患者は依然として再感染のリスクがあるため、治癒した患者は保護を強化する必要があります。

新型コロナウイルス対策に関する記者会見の場ではありましたが、当該発言はウイルス全般に関するものに過ぎませんでした。

新型肺炎コロナウイルスに特徴的な再感染の頻度や再感染時の劇症化がある、などというデータが示されたわけではないのです。

一般的なウイルス感染後に再感染・反復感染のリスクがある 

要するに新型コロナウイルスに限らず、およそ世の中に存在しているウイルスというものは再感染することもあり得ると言っているに過ぎません。

「感染すると抗体ができて大丈夫になる」というのは絶対的なものではないということです。

そもそも治癒後というのは「病後」ですから、体力が落ちていて免疫力が衰えているのですから再感染のリスクがあるのは当たり前です。

RSウイルス・インフルエンザウイルス・普通のコロナウイルスも治療後の再感染の可能性

RSウイルス・インフルエンザウイルス・普通のコロナウイルスも治療後の再感染の可能性が指摘されています。

コロナウイルスの治癒後の再感染・反復感染

吉田製薬 Hospital Infection Control編集指導:根岸感染制御学研究所 所長・東京医療保健大学 名誉学長 教授 小林寬伊 先生

Coronavirus(コロナウイルス)はコロナウイルス科に属するRNA型ウイルスの総称で、エンベロープを有します。ライノウイルスと共にいわゆる鼻かぜ、つまり軽度のかぜ症候群、上気道感染の主な原因ウイルスですが、幼児において下気道感染をもたらす場合もあります。年間を通じてみられますが、冬季に多く発生します。ヒトの糞便からも検出され、ヒトは再感染を繰り返します

MERSやSARSもコロナウイルスですが、それ以外に通常のコロナウイルスは我々が単に「風邪」と呼んでるものの中に4種類あるのです。

新型肺炎コロナウイルスは5つ目になるかもしれませんし、SARSよりは致死率が低いものの少し危険なウイルスとして扱われるかもしれません。

RSウイルスの再感染・反復感染

丸石製薬株式会社

麻疹やムンプスとは異なり、感染しても十分な免疫が成立しないため、再感染を繰り返しますが、再感染のたびに症状は軽くなっていき、風邪症状だけで治まるようになります。
 しかし、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があり、高齢者においても急性のしばしば重症の下気道炎を起こす原因となることが知られています。

RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)|厚生労働省

RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。

RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。一方、再感染以降では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれてない年長児や成人が存在しています。

「RSウイルス」と聞くとなんだか大層なもののように聞こえますが、要するに我々が生涯にわたって「風邪」と呼んでいるものの原因である可能性の一つです。

インフルエンザウイルスの再感染・反復感染

「インフルエンザの反復感染について」 廣津医院 院長 廣津 伸夫

以上のように、インフルエンザは、乳児から年を経るごとに罹患率は高くなり、4 歳から 10 歳までは比較的高い罹患率を保ちますが、その間、反復感染も年齢が増すごとに増加し、10 歳では罹患者の半数に反復感染がみられています。その後、11 歳、12 歳と罹患率は減少傾向を示します。このことは、インフルエンザの抗原性が変化することによって再感染は起きるものの、感染を繰り返すことにより徐々にインフルエンザに対する免疫を確保していくことを示し、インフルエンザの罹患は、ウイルスの抗原性と自己の免疫が影響しあって成立すると思われます。

インフルエンザの場合は「抗原性が変化することで再感染が起きる」という書きぶりになっています。 

その他の感染症

そのほか、マイコプラズマ感染症、手足口病、ヘルパンギーナなど、再感染すると明示されている病気はいくらでも見つかります。

参考:学校において予防すべき感染症の解説

まとめ:再感染するというだけでHIVエイズウイルスと関連付けないように

  1. 「新型コロナウイルスは治癒後も再感染する」という情報はウイルス全般について述べられたものに過ぎなかった
  2. 世の中のウイルスには再感染するものは多い
  3. そもそも治癒後は病後なので免疫力が落ちているから再感染リスクが高いのは当たり前

「再感染するということは免疫がやられているからだ」

⇒だから免疫を攻撃するウイルスなんだ

⇒HIVエイズウイルスが組み込まれているんだ

このような思考回路でHIVと関連付けてる人が散見されますが、こういうストーリーは作りやすいため、陰謀論に使われています。

つい先日もインド工科大学の論文予稿で「新型コロナウイルスにHIV類似のタンパク質があるのを発見した」というものがありましたが、ゴシップサイトに『HIVウイルスが人為的に挿入されていた』という話に変換されて拡散された挙句、論文著者が撤回を表明しました。

以上