事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

デイリー新潮『中日新聞がウィシュマさん監視カメラ映像で看守発言を「そんなので死んだら困る」と聞き間違い』東京新聞望月衣塑子記者も追及

そんなので報道されたら困る

デイリー新潮『中日新聞がウィシュマさん監視カメラ映像で看守発言を「そんなので死んだら困る」と聞き間違い』

名古屋出入国在留管理局の施設で収容中に死亡したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの遺族が2022年3月に1億5600万円の損害賠償を国に求めた民事訴訟において、同年12月に国側から証拠として5時間の監視カメラ映像が提出されました。

そこにおける女性看守の発言の中に「そんなので死んだら困る」というものがあった、などと中日新聞が2023年2月10日朝刊の紙面とWEB版で報じたが、「そんなので」の部分は実はウィシュマさんの苗字である「サンダマリ」の聞き間違いではないか?というのがデイリー新潮の記事内容。

(2ページ目)中日新聞が「ウィシュマさん監視カメラ映像」で女性看守の発言を“聞き間違い報道” 望月衣塑子記者も法相会見で追及していた | デイリー新潮

単なる聞き間違いだったとしても、読者が受ける印象はだいぶ変わる。記事には女性看守が《明るい声》で語りかけていたとも記述されており、「そんなので…」という発言からは看守が逼迫していたウィシュマさんの病状を軽視していたという印象を強く受ける。だが、もし「サンダマリ、死んだら困る」と《明るい声》で語りかけていたとすれば、逆に励ましていた可能性もある。

聞き間違いであるとした論拠として

  1. 毎日新聞と読売新聞も映像視聴の上で書かれた記事があるが、そこでは当該文言は触れられていない
  2. 2月17日に出入国在留管理庁に事実確認を求めたところ、担当者は、事実ではないと否定し、中日新聞の報道に聞き間違いがあったとの認識を示した
  3. 証拠映像を視聴したメディア関係者から誤りを指摘する声が上がっている

こうしたものが書かれています。

ただ、記事の書き方だとデイリー新潮側が直接確認していない雰囲気です。

入管庁は中日新聞に抗議等はしておらず、デイリー新潮は中日新聞にも見解を聞いたが、「ご指摘があった点については確認します」(中日新聞編集局)との回答だったとしています。※東京新聞は中日新聞東京本社が発行

これは世論、引いては法案提出に影響を与える話のため慎重に書きますが、いずれにしても当該映像は法廷で上映されることが決まっているという報道があり、遅くともそこで中日新聞記事の正確性は明確になると言えます。

それ以前に訂正はあるのでしょうか?

中日新聞の梶山佑記者の署名記事・毎日と読売の関連報道記事と東京新聞望月衣塑子記者の法相記者会見での質疑

魚拓

中日新聞の梶山佑記者の署名記事のWEB版。署名記事は紙面にも掲載。

それが同日の12時には東京新聞のWEB記事でもUPされています。

ウィシュマさん嘔吐し、助け求めても 看守「私、権力ないから」 入管内映像に映っていた詳細:東京新聞 TOKYO Web魚拓

デイリー新潮が依拠した毎日新聞と読売新聞の記事は以下と思われます。

ウィシュマさん入管死 監視カメラ映像 「耳を疑った」職員の一言 | 毎日新聞魚拓

「死ぬ」「病院連れて行って」…入管女性死亡 2週間の映像 衰弱する姿 : 読売新聞

令和5年2月10日(金)の齋藤健法務大臣会見で東京新聞望月衣塑子記者が当該発言を出して質疑した際の会見録と当該記者のTIKTOKのページは以下。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要

斎藤健法相は10日の閣議後の記者会見で、入管難民法改正案について「送還拒否や長期収容問題は早期に解決しないといけない喫緊の課題。速やかに手続... | TikTok

望月記者のパーソナリティーを利用してその行動を放置・容認している東京新聞。

実に黒いと思います。

出入国管理及び難民認定法の改正法案の閣法提出への牽制か:イデオロギーが影響して認識が歪んだか

入管法改正案、自民党に法務省提示 旧法案の骨格そのまま:朝日新聞デジタル2023年2月15日 20時40分

ウィシュマさん遺族ら、入管法改正案の再提出に反対:朝日新聞デジタル

改正案は、難民申請中は母国に送還しない規定の適用回数を制限するなど、女性の死亡問題が影響して廃案になった2年前の旧法案の骨格を維持している。

第211回国会 議案の一覧を見ると今国会では未だ閣法が提出されていませんが、廃案となった2年前も含め、報道とそれによる世論が影響した可能性があるでしょう。

法案提出前の段階で、それに待ったをかけるためにメディア側がスピンさせた言説をねじ込んでいるのではないか?

「そういうやり方」もあり得るよな、という認識は持っておいた方がいいのかもしれません。

以上:はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします