事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

春名風花と北村紗衣の『日本の女性運動はすぐにはしたないもの狩り』と「放火魔」に関する会話と答え合わせ

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『日本の女性運動はすぐにはしたないもの狩り』の答え合わせ

春名風花『日本の女性運動はすぐにはしたないもの狩り』

2020年3月、タレントの春名風花 氏から以下ツイートがありました(一部削除済み)

日本の女性運動はすぐに「はしたないもの狩り」みたいになるところがあって、アニメの絵がエロいだの、モデルの胸が大きいだの、女性的な要素を隠そう隠そうとしているんだけど、僕の考えは逆。胸が大きい女性も堂々とぴったりした服を着られたり、女の子が生理用品を隠したりせずに済むようにしたい。

https://twitter.com/harukazechan/status/1234105320122617856

小さな女の子たちが自分の身体を「いかがわしいもの」「汚らわしいもの」「はしたないもの」と感じないようにしたい。「隠さなければいけないもの」ではなく、「美しいもの」だって教えたい。スタイルが良いことを恥じるのもおかしい。産まれてきたことを、全ての女の子が誇りに思えるようにしたい。

シンプルに書きます。

いじめにあった子が他の子に「そういうことするといじめられるよ」とアドバイスしたり、性被害にあった人が他の女性の服装をチェックすることがあります。被害者が新たな被害者を産まないよう、善意が他者を抑圧して回るのです。

私は、それをとても悲しいと思っています。

「手術で胸を小さくすることも出来るのに」「Jカップは奇形」「知的障害」「巨乳モデルは企業広告に相応しくない」なども、性被害者が出ないよう、善意で言っているのだと思います。でも女性を傷つけたなら、それはもう加害者なんです。被害者なら、善意なら、加害して良いかと言うとそうじゃない。

整形手術で平均的な胸のサイズにして、肌を露出しない服を着て、エロく見えないよう努力しなさいという押しつけは、ブラック校則と変わらない、立派な人権侵害だと思います。

性的に目を引くことは悪じゃない。脚が速いとか成績が良いとかトークが上手いのと同じ、あなたの魅力のひとつなんだよ。

こうした連続ツイートがなされていたところ、さえぼう=北村紗衣氏から以下連絡

春名風花と北村紗衣のと「放火魔」に関する会話

https://archive.is/YiDno

https://archive.is/5wmjK

https://archive.is/RE16n

放火魔さんを名指しするのも何なので、便宜上「女性運動家」とさせていただきました。本を焼き、人を焼く行為も、彼らは本気で女性のためになると思ってやっているのだろうし、大枠で見れば「活動」(文化の破壊活動だと思いますが)ではあると思うので。

https://archive.is/eU1gp

https://archive.is/YdJeT

https://archive.is/2Pz9E

このツイートに対する直接の返信なり引用リツイートはありませんでした。

当時の北村氏のツイート群について⇒https://twitter.com/search?q=from:Cristoforou%20until:2020-03-04_14:30:00_JST&src=typed_query&f=live:魚拓https://archive.is/CpRe9

別肢でも会話が継続していたので以下はそちらについて。

残念ながら女性運動と言えば「表現を燃やす人」のイメージになってしまったし、フェミニストという言葉も穢されてしまいました。私は彼らに多くの好きな作品を馬鹿にされました。

先生の紹介された映画や本も、いつターゲットになるか分かりません。私は何としても文化の破壊を止めたいです。

https://archive.is/Eeyd1

このツイートに対しては2つの引用リツイートが付けられている。

https://archive.is/xXxwi

https://archive.is/6PhPZ

https://archive.is/ypM1Q

これ以降の会話があったのかは確認できませんでした。最初から為されていなかったのか、消されたのか、春名氏が会話を切り上げたのか。

なお、春名氏の主張は以下。「放火魔」は当然、比喩表現。

赤十字の献血事業の宇崎ちゃん、Vtuberに関するフェミ議連の抗議、温泉娘など

春名氏は「はしたないもの狩り」をしている女性運動は、フェミニストらの運動とは一線を画していると理解しています。

春名氏の論は社会現象を下敷きにしているので、それを知らないとあまり実感が湧かない。「アニメの絵がエロい」「モデルの胸が大きい」に該当する具体的な事案は特定できないが、少なくとも以下の事案を下敷きにしていると思われます。

日本赤十字社 が「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンとしてポスターを掲示したが、これに対して「公共空間で環境型セクハラしてるようなもの」と評する者が出現しました。

実際には環境型セクハラの定義には当てはまりませんが、肌の露出面積が大きいとかでもなく、Yシャツを着ている女性キャラの胸が大きい事自体が不快だと言っていることになります。

この論法では、胸が大きい現実の女性が存在した場合、それだけで不快だ、ということになり、女性の人権に対する脅威となり得る言説でした。

春名氏は『「手術で胸を小さくすることも出来るのに」「Jカップは奇形」「知的障害」も、性被害者が出ないよう善意で言っていると思うが女性を傷つけたなら、それはもう加害者』と指摘するが、ここで紹介されてる言説にも見覚えがある。

岩渕潤子氏は『童顔巨乳描写は障害描写でありヘイト』という見解でした。「アニメの」という註釈をつけていますが、障害描写とはいったいなんなのか。

また、2021年にはVtuberの服装が警察のPR動画に相応しくないとしてフェミ議連が警察に抗議をして動画掲載が取り消されましたが、その後、ラッピングバスなどの企画が進んでいます。

これについてはそもそも「服装が視聴者の認知を歪ませる」という因果認定のエビデンスが問題になります。

令和元年9月警察庁子供・女性に対する犯罪等を防止するための対策に関する調査研究会 報告書で「露出の多い服装を避け」とあるように、実際、防犯行動として露出の多い服装を避けるよう促されてますが、フェミ議連が表向きこの理屈を採らなかった。

「性被害者が出ないよう善意で言っている」というなら、こういった現実的な対応の点も示して欲しかったのに、フェミ議連はデザインや動きの話に終始していた。

しかも、上掲の警察の防犯行動の求めがあるからといって、服装が認知を歪ませる云々という話にはならない。

エビデンスとしては警察庁科学警察研究所が1997~98年に性犯罪事件の容疑者553人を対象にした調査があります。

そこでは、性犯罪の加害者が被害者に目をつけた理由は「おとなしそう」37.4%「警察に届けないと思った」37.2%でした。「露出のある服装だから被害にあった」、という思い込みに根拠はありません。

服装から「警察に届け出ることはない」「おとなしそうに見える」「弱そう」と見えることはあるだろうけど、それは【挑発的な服装】とは関係無いですね。

挑発的服装を理由とする犯行も「最初からそういう者を狙っていた」場合と『視認して初めて刺激された』場合があるだろう。前者が多いのでは?ここまで来ると推測ですが、今後の詳細な研究が望まれるところです。

その後「温泉むすめ」の設定変更問題で、「性差別」という論点が存在すると無理やり言って話を無限に拡大していく様などは、「放火魔」という比喩表現が相応しいと言えるでしょう。

こうしたエビデンスを欠く「はしたないもの狩り」は、バーチャルYouTuber「キズナアイ」にかんするものがネット上では一つのターニングポイントでしたが、春名氏がツイートをした当時も、その後も断続的に発生してきたということです。

こうした「日本の女性運動」が現実世界の人物に対して誤った方向に向かった典型的な事件が、群馬県草津町を「レイプの町」とまで言って海外メディアにまで吹聴された、「草津町議性被害捏造疑惑事件」です。

当時、メディアの記者らがこぞって黒岩町長を攻撃しました。まさに「人を焼く行為」と言えるでしょう。

「はしたないもの狩り」という指摘は、実に優しい。

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