事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

報道されない報道の自由度ランキング2022「記者クラブはフリーランス差別・新聞とテレビ局のクロスオーナーシップに対する規制がなく極端なメディア集中」

都合の悪い点を報じないからランキングが下がってるんだよ

国境なき記者団の報道の自由度ランキング2022

Homepage | RSF

Japan | RSF

報道の自由度ランキング2022が国境なき記者団から5月3日に発表されていました。

いまさらですが改めて指摘しておきます。

全体の内容は上記ページを見ればいいし、概要は多くのメディアで語られています。

が、その中でまったく言及されない内容がありました。

「記者クラブは確立した報道機関優先でフリーランス差別」

Political context

Since 2012 and the rise to power of the nationalist right, many journalists have complained about a climate of mistrust, even hostility, toward them. The system of ‘kisha clubs’ (‘reporters’ clubs), which only allows established news organisations to access government events and to interview officials, induces journalists into self-censorship and represents blatant discrimination against freelancers and foreign reporters.

記者クラブというシステムは確立された報道機関のみに政府系イベントへのアクセスやオフィシャルな取材を許可し、ジャーナリストを自己検閲に追い込み、フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別を表しています

ここまでメディアそのものに対して厳しく言われてます。

まぁ、我々一般日本人はずっと思ってきたわけですが。

マスメディア自身が報道の自由度への脅威】と言ってるのと同義でしょう。

チャイナみたいに共産党政府の息がかかってるという理由ではなく、政府と対立する私企業がこのような状況を生み出しているというのは異常ですし、何よりも国境なき記者団からもそのように評価されているという現実は重いでしょう。

もちろん、フリーランスも一定程度は取材もできますし(たとえば官房長官記者会見ではたまにフリーランス記者が質問している)、その辺りの解像度が低い記述になっていますが、大きく間違ってはいないでしょう。

「新聞と放送局のクロスオーナーシップに対する規制がなく極端な集中」

Economic context

In this world's most aged country, the paper-centred model remains the main economic model, but its future is uncertain due to the decline of its audience. Japan does not have regulation against the cross ownership of newspapers and broadcast stations, which has led to an extreme media concentration and the growth of media groups of considerable size, sometimes with over 2,000 reporters. 

新聞と放送局のクロスオーナーシップに対する規制がなく極端なメディア集中をもたらし、時には2000人を超える記者を抱えるメディアグループの成長を引き起こしている

クロスオーナーシップというのは株式の相互保有のことです。

逆に株式の譲渡制限が日刊新聞紙法で定められているなど、既存メディアを守るための仕組みは強化されている日本。

ランキングでは「読売新聞と朝日新聞は、1 日の発行部数がそれぞれ 700 万部と 500 万部と、世界で最も多い新聞」「日本放送協会 (NHK) は世界第 2 位の公共放送局」とも指摘されており、どれだけ日本のマスメディアが世界の外の国のメディアよりも肥大化しているかが分かります。

それにもかかわらず海外報道(特に戦地報道)は現地メディア・欧米メディアとフリーランスに頼りっきりなのは奇妙ですよねと。

こうした状況が、記者クラブの閉鎖性にもつながっているんだろうと思われます。

報道されない報道の自由度ランキングとマスメディアによるランキング低下

こうしたメディアには不都合な記述内容は、一切報道されていませんでした。
(※確認したのはWEB上で当該ランキングを取り上げた媒体に限る)

大手メディアではないタブロイド紙的なネットメディア・個人サイト(ネット媒体の内容の搔き集めなんだろう)であっても、こうした点をわざとぼかして紹介する所が複数みつかります。

2021年はJ-CASTニュースは報じていましたが。

報道の自由度「日本67位」の理由とは 国境なき記者団があげた「記者クラブ問題」、大手紙ほぼスルー: J-CAST ニュース【全文表示】

昨年は朝日新聞が誤導的な内容で報道の自由度ランキングを紹介していました。

「記者クラブの閉鎖性」については昨年も指摘されていました。

なお、ランキングを構成する質問文は以下

https://rsf.org/sites/default/files/medias/file/2022/04/RSF_Index_Questionnaire_2022_EN.pdf

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