出入国管理に関する誤解として「4月以降に中国人が数千人以上入国している」というものがありましたが、法務省が正式に対応して否定しました。
「4月以降に中国人が数千人入国」疑惑
「4月以降に中国人が数千人以上入国」という疑惑は以下の資料の表記のせいです。
(注1)「特段の事情」とは、中国湖北省又は浙江省において発行された旅券を所持するものの,上陸の申請日前14日以内に上陸拒否の対象地域に滞在歴がない者などである
この表記は法務省側もマズイと思ったのか、ちょくちょく変更されていました。
新型コロナウイルス感染防止に係る上陸審査の状況(4月10日公表)
・令和2年4月2日までに再入国許可により出国した「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する者
という表記が中に追加されています。
最新のバージョンでは更に表記が変わりました。
新型コロナウイルス感染防止に係る上陸審査の状況(4月14日公表)
・国際線の航空機の運航のために必要な乗員(クルー)で,航空機の乗り継ぎ等のために短期間滞在し,宿泊施設で過ごす者
この表記が加わり、「中国湖北省…」の表記が消えました。
そして4月14日には法務省が正式にこの件についてプレスリリースを出しました。
法務省が否定
法務省:新型コロナウイルス感染症に関する上陸拒否の措置及び同措置に係る「特段の事情」について
まとめると以下です。
- 「4月以降,特定国籍の外国人を多数入国させている」という情報は誤り
- 4月以降の「特段の事情が認められ上陸を許可した人」者のうち7割以上は,国際線の乗員(クルー)
- そのほかは「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する外国人(これらの在留資格を有さない日本人の配偶者又は日本人の子を含む。)や,個別の特異な事情がある外国人等である
- 「中国湖北省又は浙江省において発行された旅券を所持するものの…」という表記は、現在は上陸拒否対象地域を中国全土を含む73の国・地域に拡大しているため、例として不適切となったため記載しないこととした
これは捕捉が必要なので以下説明します。
2月に中国湖北省と浙江省からの入国拒否をしていた名残だった
法務省:新型コロナウイルス感染防止に係る上陸審査の状況について(速報値)
「新型コロナウイルス感染防止に係る上陸審査の状況」は、2月から数字を取っています。2月の報告書を見ると、「中国湖北省又は浙江省において発行された旅券を所持するものの,上陸の申請日前14日以内に上陸拒否の対象地域に滞在歴がない者」という表記が見つかります。
つまり、【入国拒否の対象が当初は中国湖北省と浙江省に限定されていた時期に作成された資料の記載が、4月になっても更新されずそのまま用いられてきた結果、実態を表さなくなったため表記を変更した】ということです。
入国拒否対象地域の設定は徐々に拡大してきているのですが、その推移については以下でまとめています。
また、現時点の最新の入国拒否対象地域については法務省:新型コロナウイルス感染症に関する取組及び渡航自粛の要請についてで公開されています。
実際に入国してくる中国人は何人なのか?
ご指摘ありがとうございました。すぐ確認しました。4/3以降わが国への上陸許可者が増加したのは、上陸拒否対象国を24→73に拡大した為、審査対象者の増加によるもので、4/3以降の中国籍の上陸許可者は1日平均30人程度とのこと。また1日約300人の上陸許可者の約7割は各航空機クルーの一時滞在者です。 https://t.co/6MmRokIjQN
— 山田宏 自民党参議院議員 (@yamazogaikuzo) 2020年4月13日
「4月中で3千人の中国人が入国」の件は、まずこれは外国人全体の数。うち7割が対象国各国からの航空機クルーで一時滞在許可を受けた者。つまり4月9日までに入国を許可した対象国の一般外国人は700人ほどで、中国人は1日30人程度の「特段の事情」がある再入国者。
— 坂東 忠信 (@Japangard) 2020年4月13日
御協力は衆議院議員長尾敬先生です。 pic.twitter.com/X2muVO9Qaa
山田宏議員、坂東忠信氏(長尾たかし議員経由)が確認した内容によると、実際に入国してきた「4月3日以降の中国人は1日平均30人程度」であるとのことでした。
まとめ
当初の法務省の公表資料の記述を素直に読むと「中国人が4月以降、数千人も入国している」と思う人が居てもやむをえないと思います。
これは新型コロナウイルスの感染者のうち日本国籍者についての表記が誤解を招くものであった厚労省のHPの記載にも通じるものがあります。
行政はいいかげんなことをしていないで正確に情報発信してほしいと思います。
以上