事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

東京新聞の望月衣塑子記者についてチェンジオルグで署名を集めた中2女子、誹謗中傷とハフポスの功罪

f:id:Nathannate:20190307140039j:plain

https://www.huffingtonpost.jp/entry/isoko-mochizuki-signature-campaign_jp_5c7e9d3be4b0e62f69e6cc5b

東京新聞記者の望月衣塑子(もちづきいそこ)氏が菅官房長官記者会見で妨害を受けていると一部で言われている件について。

中学2年生女子を名乗る「山本あすか(仮名)」さんがチェンジオルグで望月記者への「いじめ」をやめるよう政府に嘆願する署名運動を行ったことについて、ハフポスが2回目の記事を当該生徒の母親へのインタビュー形式で報じました。

この件で生徒に対する誹謗中傷が行われていると言われているので話をまとめます。

東京新聞の望月衣塑子記者の行為

望月記者の記者会見での振る舞いは以下で全文書き起こしをしています。

生徒が問題視しているのはこの件に限りませんが、有名な例ですので。

 

「中2の内容としてはおかしい」 への反論

このツイートは母親の認識を共有していたものか、現在の視点から当時を振り返った際の感想である可能性が十分にあります。

それを『6歳で「富裕層」とはすごいなwww』と揶揄するのは拙速でしょう。

また、「業界事情について詳しくないと知らないことをツイートしているから中2ではない」と言う人が居ますが、これも短絡的です。

記者会幹事会社という存在があるということは、別に業界通でなくとも分かります。

このツイート以前に他の有名アカウントが呟いています。

なので、発想としてこのような意見を持つことは誰でも十分に可能です。

それに、彼女の母親がもともとその業界に居たということを考えれば、事前知識として持っていても何ら不思議ではありません。

こういう非合理的な非難があるせいで、「子どもはしゃべるなと言われている」と受け止められるのも仕方がないと思います。

「14歳だからこんなツイートをするはずがない」と言う人は、「14歳であることを売りにしていること」を非難できないはずです。

ある人の言語能力がその年齢の平均よりも秀でているということは在り得るのに、どうしてそれが想像できないのでしょうか。

「大人の発言をする子ども」は存在する

彼女は現在18歳ですが、この文章には「その通り」以外にありません。

是非読んでみてください。

年齢で言論に下駄をはかせることが本人にとっても有害な場合があります。

どうして無数の専門家の研鑽よりも一人の素人の中学生の意見を議論もなく優先せねばならないのか

チェンジオルグ「16歳未満は禁止」の規約違反?

それってそんなに叩くほど悪いことですか?

規約違反か否かは以下で考察しています。

いずれにしても、親の関与があるものについて、些末な違反を攻撃することには賛同できません。チェンジオルグ運営の裁量の範疇のことですからね。

14歳と名乗ったことの目的は何か

「14歳であることを注目されるために利用している」と言う人が居ます。

それはハフィントンポストや周りの大人などが年齢を取り上げているのはそういう目的であるのでしょうが、キャンペーン上で14歳と名乗ったことは別の意味も考えられます。

「同年代・同属性の人にも関心を持ってもらいたい」という趣旨である可能性や、ただ単に実際の年齢を書いただけである可能性。

ツイート内容からは「同属性に~」という気持ちは読み取れませんが、完全に否定できるものでもないでしょう。

これについての評価は普段の発信内容に対して行われるものであって、それは山本あすかさんが受け止めるべき事だと思います。

中2女子は署名運動をしていた

「署名運動を中2女子がしていた」ということは事実として良いでしょう。

「母親が手伝っていたのだから14歳の子の行為とは言えない」という人が居ます。

しかし、我々大人の仕事というのは、ほとんどの人は振り返ってみれば他人の助けを借りているでしょう。なぜ大人が大人の手を借りていることは無視して、子どもが大人の手を借りていると本人の行為ではなくなるのでしょう?

疑ってる人はTwitterの活動履歴とリンクさせている事が原因かもしれません。

「ツイッターアカウントの主体」と「署名運動の主体」

 この二つを分けて考えてみてください。

「署名運動を自主的に行った中2女子」の存在は、ツイッターアカウントの活動からは否定できないはずです。

ただ、ツイッターアカウントの発信の評価については話が変わります。

それは、中2女子の言動にも一定の責任があります。

疑われるのは山本あすかさん側の責任でもある

魚拓:http://archive.is/57bam

厳しいことを言うと、疑われる原因は山本あすかさん側(母親含む)にもあります。

ツイッター上では何度もこのような発信をしてきました。

1回目のハフポスの記事でも、自分の思考を言葉にしていたハズです。

なのに2回目のハフポスの記事で、山本あすかさんの発言は以下しかありません。

東京新聞の望月衣塑子記者を支援する署名をネットで集めた中2、誹謗中傷に「子どもが何か意見しちゃいけないんだと感じた」 | ハフポスト

──署名活動をめぐり、Twitterなどでは批判的なコメントが相次いでいます。

生徒 ネットでひどいことを言われて悔しいです。根拠がないネットの言葉を信じ込んでしまう人が多いんだな、と思いました。
ー省略ー

──あなたが実は存在しないとか、お母さんがなりすましているなど、疑う人も多いです。

生徒 ちゃんといます。信じてくれない人がたくさんいて悲しいです。子どもが何か意見しちゃいけないんだという偏見が(日本には)すごくあると感じました。

普段ツイートで見せているような知性の持ち主から、「──望月記者の質問の仕方にそもそも問題がある、という声もあります。」「──集めた署名は内閣記者会にも提出するとのことですが、報道機関に対して思うところはありますか。」という記者の質問に対して応えて欲しかったと思いますが、残念です。

2回目の記事はほとんどが母親の意見で構成されており、山本あすかさんの思考に多大な影響を与えているのでは?という疑問を生じさせかねないことになってしまっています。

もっとも、本人性を疑う具体的な指摘に対して本人が反論しても、バカにされたり逆に「疑惑は深まった」とかの謎認定をされかねないので、下手に反論していないというのは正しい行動だと思います。特にツイッター上においては。

実際、ネット上には非合理的な推論過程を経て「ツイートは中2ではない」とする例があったのは既述の通りです。

ハフポスの報道は山本あすかさんの思いを無視している?

キャンペーンは早期に1万人に達し、2月初旬には「フリーの記者の処遇改善」についても追記していました。その後署名は1万7000人を超えており、この観点は無視できないはずです。

にもかかわらずハフィントンポストの記事は2回に渡ってこの点をスルーしています。

ハフィントンポストは、一体どういう意識で報道したのでしょうか?

  1. 署名をした中2の思いを伝えるため
  2. 本当に中2が署名したのか、取材することで世間に判断材料を提供した
  3. 望月記者を助けるため
  4. エンタメとして消費するため

どれでしょうか?

また、山本あすかさんの側からこの点について触れてないというのは、報じてくれたハフポスに恩義を感じているからでしょうか?

内閣記者クラブの閉鎖性とフリーランス記者

この問題についてはツイッター上でも多くのフリーランスの記者が情報発信をしています。以下記事でも触れています。山本あすかさんは、そういう記者もフォローすれば良いのに、と思います。

まとめ:ハフポストは記者の取材制限問題に取り組むか

ハフポスト編集長はわざわざ2回ツイートして『「大人たちが頑張る番です」という言葉が重い』と言いました。

もしかして、これまでの記事の中で内閣記者クラブの閉鎖性やフリーランスの取材制限について触れていなかったのは敢えてそうしているのであって、今後、なにか動きがあるのかもしれません。

業界の問題にメスを入れてくださることを知る権利を持つ国民として祈念いたします。

以上