2017年12月、四国電力伊方(いかた)原発3号機の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定がありました。
これを不服とした四電の申し立てによる異議審で、2018年9月25日、広島高裁(三木昌之裁判長)は仮処分取消決定を判示しました。
この判示のポイントを超概略的に整理します。
もっとも、問題点は昨年12月に書いたこの記事と同じです。
- 伊方原発運転停止命令取消決定全文・決定要旨・弁護団声明
- 伊方原発差止仮処分取消決定への異議申立の争点
- 広島高裁では主張立証責任が「2度」転換された
- 原告弁護団の発狂ぶり「急いでずさんな決定を出したと疑われる」という陰謀論
伊方原発運転停止命令取消決定全文・決定要旨・弁護団声明
伊方原発差止仮処分取消決定への異議申立の争点
- (差止めを求めていた側の)原告適格の有無
- 設計対応不可能な火山事象(破局的噴火による火砕流等)の到達可能性の有無
- 新規制基準の合理性
大雑把にいうとこれら三つが争点だったのですが、2番目は更に
- 破局的噴火の可能性の『不存在』を四国電力が立証しなければならないのか?それとも破局的噴火の可能性の『存在』を差止めを求める側が立証しなければならないのか?(主張立証責任の所在)
- 破局的噴火の具体的危険性(可能性)はあるのか?
このような問題があります。
新規制基準の合理性や破局的噴火の具体的危険性の有無については、科学的知見に基づく詳細な検討がなされているのでここでは触れませんが、この訴訟でポイントとなるのは主張立証責任の所在です。
広島高裁では主張立証責任が「2度」転換された
広島地裁と今回の広島高裁の三木昌之裁判長による差止取消決定は、破局的噴火の可能性の『存在』を差止めを求める側が立証しなければならないとしました。
他方、前回の広島高裁の野々上友之裁判長は、破局的噴火の可能性の『不存在』を四国電力が立証しなければならないとした結果、昨年12月に差止決定がなされました。
前回の広島高裁の野々上友之裁判長が行った判示がおかしいということは昨年も指摘しました。
なお、四国電力側も主張立証責任の所在について反論していました。
今回の判決は、差止めを求める側(原告住民)が破局的噴火の具体的危険性が十分小さくないということを立証するべき、ということになりました。その上で、原告住民が提出した証拠資料によっては、破局的噴火の具体的危険性が十分小さいとはいえないと立証することはできないと判示しています。
前回の判断が「不存在」の立証という無理ゲーだったのがおかしかったということです。
原告弁護団の発狂ぶり「急いでずさんな決定を出したと疑われる」という陰謀論
原告住民の弁護団が裁判所に対して捨て台詞を吐いているのが滑稽ですね。
当事者が昨年の12月21日に保全異議申し立てをしているのに、保全異議の利益が無くなるまで決定を出さずに放置することの方が問題でしょう。
広島地方裁判所が仮処分の却下をしたのは2017年の3月30日であり、広島高等裁判所が差止決定をしたのは12月13日ですから、時間的に前回よりも余裕があり、しかも高裁の判断は争点が整理されていますから、「急いで・ずさんな」決定を出したとなぜ言えるのか全く意味不明です。
弁護団が陰謀論を書き連ねるなんて恥ずかしいことこの上ないですね。
以上:はてなブックマークをお願いします