事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

「維新が女性宮家を検討」過去記事が拡散⇒女性宮家の創設「等」という附帯決議の文言通り

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  「維新が女性宮家を検討」などという触れ込みで2019年以前の過去記事を拡散するアカウントが多数見受けられますが、維新に対する誤解と女性宮家に対する誤解が混在しているので整理します。

「維新が女性宮家を検討」過去記事が拡散

魚拓

産経新聞のこの記事がなぜか2020年5月9日になってシェアされていますが、中身は2019年5月8日の記事です。

そして、この記事は汚い誤魔化しが入っています

このアカウントは2017年の記事もシェアしてるので、意図的です。

魚拓

皇室典範特例法の附帯決議の文言通りなのに

天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二九年六月一六日法律第六三号)

○附帯決議(平成二九年六月七日)
一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。

2019年の維新の馬場幹事長の発言は、皇室典範特例法の附帯決議の文言通りです。

「等」という文言について、単なるおかざりだと思ってる人がいますが、行政文書や法律文書における意味は「例示列挙」を示す意味で用いられており、「女性宮家の創設」だけを検討するのではないという意味が込められています。

こういう表現になったのは女性宮家の創設はやむを得ないと考える議員らが多いということから、当初は「等」が無かったものについて、「等」が付け加えられたという経緯があります。

それほど、現在の多くの国会議員の考えというのは危ういものなのです。

NHKなど「女性宮家の創設など」

女性宮家など党内で議論開始へ 維新 2019年5月8日 18時10分

皇室をめぐる課題の解決につなげるため、日本維新の会は8日の役員会で、女性宮家の問題などについて党内で議論を始めることを決めました。
今回の皇位継承の特例法を審議した衆参両院の委員会では、安定的な皇位継承を確保するための課題や女性宮家の創設などについて、政府に対し速やかに検討することを求める付帯決議が可決されています。

日本維新の会は8日の役員会で、皇室をめぐる課題の解決につなげるため、女性宮家の問題などについて党内で議論を始めることを決めました。

馬場幹事長は記者会見で「備えあれば憂いなしで、不測の事態に備えてしっかりと議論し、皇室典範などの改正が必要であれば、そうした働きかけも行っていかなければならない」と述べました。

NHKなどは「女性宮家の創設など」 と、附帯決議の文言に触れて維新の馬場幹事長の発言を扱っています。

産経新聞「女性宮家の創設に関する党内議論を開始」

維新が「女性宮家」を検討へ - 産経ニュース 2019.5.8 15:43

日本維新の会の馬場伸幸幹事長は8日の記者会見で、女性皇族が結婚後、宮家を立てて皇室に残り、皇族として活動する「女性宮家」の創設に関する党内議論を開始すると述べた。「不測の事態に備え、きちんと国会で議論し、皇室典範などの改正が必要であれば、そのような働きかけも行っていかなければならない」と強調した。

 「女性宮家」の創設については「過去に例のない女系天皇への道が開ける」として保守派を中心に慎重論が根強い。

産経新聞は「女性宮家の創設に関する」と、「等」を省いて報道しています。

これは恣意的な記事でしょう。

で、維新が「女性宮家の創設を検討してる」と騒いでる人らは、維新は女系天皇に反対していることや、菅官房長官も同様の発言を国会で行っていることについてどう考えているのでしょうか?

菅官房長官も附帯決議の文言通り「女性宮家の創設等」

第201回国会 衆議院 予算委員会 第10号 令和2年2月10日

○菅国務大臣 国会で、附帯決議でありますので、そこは慎重に、そこについてはしっかりと私ども進めていくというのは、これは当然のことだというふうに思っています。
 そういう中で、安定的な皇位継承を確保するための諸課題と女性宮家の創設について、これまで、さまざまな議論の経緯を十分検証し、また最近の議論の動向などを踏まえながら検討を行っているところであります。

菅官房長官も附帯決議の文言通り「女性宮家の創設等」を検討していると何度も名言しています。

昨年も「菅官房長官が女性宮家を推進している」などと騒いだ連中がいましたが、附帯決議の文言について何ら触れずに踊っていましたからね。

安倍総理はどうかというと、菅さんよりは慎重な発言になっていて、国会議事録を「発言者安倍晋三」、検索語「女性宮家の創設等」で検索してもヒットせず、『附帯決議の趣旨を尊重して』という言い回しが見つかります。

第196回国会 衆議院 予算委員会 第5号 平成30年2月5日

○安倍内閣総理大臣 女性宮家の議論については、さまざまな議論があるわけでありますが、政府としては、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くしてまいりたいと思います。
 その上で、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重して対応してまいりたいと思います。

維新は女系天皇に反対している

足立「悠仁親王殿下の廃嫡はしない

藤田 「維新は女系容認という誤解が散見されるが、明確に否定しておきます。」「旧宮家(※旧皇族)の皇籍復帰の選択肢は閉じるべきではないという考え。

維新の要職に居る彼らがこのように発信しているのですから、「女系天皇の賛成」というのは無理があります。そのため、「女性宮家」に関する維新の発信もその観点から理解するべきです。

女性宮家が女系天皇に繋がらない場合

「女性宮家」と呼ばれるものにはバリエーションがあります。

その根幹は【女性皇族が婚姻後も皇室にとどまって公務を担うこと】です。

「女性宮家は女系天皇に繋がる」という危機感は正当なものですが、以下の方策を講じることで一定程度その危険を回避できます。

  1. 配偶者が皇室に入らない
  2. 女性宮家の子孫には皇位継承権を認めない
  3. 女性宮家の配偶者に旧皇族などの限定を付す(皇籍復帰も視野に)

1番なんかは「ちぐはぐな運用になるからどうせ後で皇族に迎え入れざるを得なくなる」とか言われてますし、2番は「結局はあとでなし崩し的に認めることに繋がる」などと言われます。

しかし、3番の発想が無い人が多いです。これは昨年あたりから色んな人がその可能性について言及しだしました。

最初に「女性宮家」と言い出した者が女系天皇容認派であったために、「女性宮家=女系容認」という図式で理解する人が多いのですが(実際、そういう目論見であったのは確か)、論理的に考えれば上記のように男系男子による皇位継承の伝統ルールを毀損しない限りにおいて「女性宮家なる制度」を認めることはあり得ます。

皇族方の減少にどう対応していくか

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※将来時点の描写なので呼称はご容赦を

皇族方が減少していっているという厳然たる事実にどう対応していくべきか?

現在の女性皇族が婚姻した場合、皇籍から離れることになっています。

その場合には数十年後は上図のような状況になります。

悠仁親王殿下とその直系の親族しか皇族が居ないという事態】になってしまう。

女性宮家というのはこのような懸念が出てきた状況下で出てきた議論であり、単に皇統断絶のために繰り出された謬言と非難しているわけにはいかないというのが分かるでしょう。

国会議論も一筋縄ではいかない

私には内情は分からないのですが、青山繁晴議員などが「女性天皇と女系天皇の違いが分からない議員がぼくの所に聞いてきた」旨の発信を何度もしていることを知っている方は、なんとなく察していると思います。

自民党内ですら皇室の議論をまったく理解していないものが多すぎること、「旧皇族の皇籍復帰は無理で、女系天皇でもよいか」と安易に考える者が多いことが伺えます。

「女性宮家」というワードを目の敵にしても何もよいことはありません。その中身を論じる世論を作らないといけません。

以上