事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

虎ノ門ニュースがイベルメクチン推しでYouTubeBAN回避キャンプ映像:花木秀明の曲解を放送

虎ノ門ニュースがイベルメクチン推しの内容でTouTubeBAN回避キャンプ映像

へんてこな番組構成。

虎ノ門ニュースがYouTubeBAN回避キャンプ映像

虎ノ門ニュースがイベルメクチン推しの内容でTouTubeBAN回避キャンプ映像

虎ノ門ニュースがYouTubeでのBANを回避するためにキャンプ映像を長時間流すという措置が取られました。

理由は「イベルメクチンの効果があるという前提の内容」だからです。

OPEN RECやニコニコ動画のアーカイブではみれます。

「今こそイベルメクチンを使え」東京都医師会会長の根拠

「今こそイベルメクチンを使え」という8月19日の古い記事がYouTubeBAN回避キャンプ映像中の冒頭に紹介されましたが、東京都医師会会長の根拠は非常に薄い。

上掲記事でイベルメクチンの論文や各所の見解に関する総まとめをしています。

  1. 開発元のメルクが「有効性があるという科学的根拠無し」として非推奨
  2. イベルメクチンの有効性の根拠だった複数の論文とメタアナリシス論文が捏造で撤回
    ※虎ノ門ニュースでもエルガザール氏の論文撤回について「裏事情がある」などと仄めかすだけの内容がありましたが、想像だけで具体的な指摘は無し。
  3. 北里大学が治験をする根拠とした論文が捏造で撤回されたものだった
  4. 効果があるとする論文は動物実験や試験管内の実験で、人体にとって危険なものもあり、総じてエビデンスレベルが低い
  5. 有効性が認められないとするエビデンスレベルの高い査読論文も複数存在している
  6. インド政府はイベルメクチンを新型コロナ対策として推奨していたが、推奨項目から除外した

東京都医師会の尾崎会長が根拠にしているのがCureus | Prophylactic Role of Ivermectin in Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Infection Among Healthcare Workersというインドの研究論文ですが、イベルメクチンを無償で配布して、プロトコル通りに飲んだ人とそうでない人を比較するだけの実験です。

これ自体を否定する気はありませんが、エビデンスレベルが非常に低い論文であると評価されるもので、他の論文が出ている中で現時点で推奨する根拠にはなりません。

イベルメクチン推しの北里大花木秀明の論文内容の説明の捏造

イベルメクチン推しの花木秀明(感染制御研究センター長)らが作る北里大学研究者グループによるイベルメクチン論文内容の説明について捏造がありました。

  1. 北里大グループは「同じ論文を対象にした2つのメタアナリシス(複数論文を分析する論文)でイベルメクチンの有効性が認められた」と主張
  2. しかし、実態は「同じ論文」ではなかった
  3. しかも、1つは捏造で撤回された論文が含まれていた
  4. 捏造論文を含まないメタアナリシスでも有効性が認められたとしているが、その「論文」はプレプリントサーバにすら提出を拒まれ、査読されていない
  5. にもかかわらず、「反論が無いから論文の内容を認めたのと同じ」などとうそぶいている

酷い話です。

虎ノ門ニュースでは、花木秀明氏にインタビューした内容をそのまま受け入れる形で放送していました。

「有効性が無いとする論文内容が捏造!」⇒訂正済み、論文は維持

虎ノ門ニュースがイベルメクチン推しの内容でTouTubeBAN回避キャンプ映像

虎ノ門

花木氏からは「有効性が無いとする論文内容が捏造されていた!」とする内容があります。これは彼が8月中にツイートされていた内容ですが…

説明されているのは、イベルメクチンにCOVID-19への有効性は認められなかったとするRomanらによるRCT論文メタアナリシス"Ivermectin for the treatment of COVID-19: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials"です。
※「同じ論文をメタアナリシスしたら有効性が認められた」と北里大学が主張している際の元のメタアナリシス論文です。何度も言うが、「同じ論文」ではない。

この論文の当該部分はプレプリント提出時に誤りがあったため訂正済みです。

しかも、映像に映っているこの部分はイベルメクチンによる「死亡率」への影響を見たもので、論文ではそれ以外に「入院」「有害事象」「重篤な有害事象」「ウイルスクリアランス」についても同様の図表で解析結果が示されており、すべてで有効性が認められなかったとする内容です。

つまり、この部分だけの誤りを指摘したからと言って、全体の結論が変わるような影響は無いということです。

実際、論文は維持されています

「効果があるのになぜ報じない?」⇒他に効果があるものがあるから

「効果があるのになぜ報じない?」

ということが言われていますが…

  • 他に効果があるものがある
  • 有効性があるとしても安全性とのバランスがよくわからない

特に最も疑問なのが、イベルメクチンゴリ推しの人たちって、「抗体カクテル療法」など、他の新型コロナに有効性のあるものについてはまったく触れずに、ただ単にイベルメクチンだけを推奨してる人が多いということ。本当にCOVIDの治療に関する情報を広めたいなら、そうしたものも含めて情報拡散するはず。

菅首相 “往診でも「抗体カクテル療法」可能に” 検討を指示 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

有効性と安全性のバランスがよくわからないというのは前掲記事参照。

こうした状況は「次亜塩素酸水の空間噴霧」と似たものがあります。

さらに、イベルメクチンの場合は深刻な問題があります。

本来の用途での処方をしたくても在庫がなくなっている

まとめ:イベルメクチンの国内治験の結果に注意すべき

「新型コロナへの適応外使用が可能だが、有効性について限定的な状況とされている」

このような状況の治療薬が「アビガン」です。

結局、藤田医科大学ファビピラビル観察研究事務局の臨床研究で「安全性」には問題ないとしながら、「有効性」についてはその傾向はみられるものの、統計的な有意差を認めるまでには達しなかった、とされました。

現在は富士フイルムのアビガン国内臨床第III相試験が継続中ですが…

イベルメクチンは、アビガンと比べてもエビデンスが積まれていない状況です。

その上、国内治験を行っているのは北里大学です。

これまで散々指摘しましたが、論文内容を曲解させてる連中です。

治験の論文内容が出た際には、それを徹底的に精査する必要があるでしょう。

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