事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

女性宮家創設の問題点と小室圭:男系男子による皇位継承のために

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JACAR Ref.A15070950800:公文類聚・第十三編・明治二十二年・第六巻

女性宮家とは何でしょうか?それは何が問題なのでしょうか?

基本的な事項を整理していきます。

女性宮家とは?どういう意味か

女性宮家」は歴史上存在したことのない架空の状態を指す名称です。

敢えて言えば、夫の居る女性皇族が当主である、皇室に属する家系のことです。

天皇・皇族以外の者と婚姻をした皇族女子は、古来は皇族の身分を保ちましたが、現行法では皇籍を離脱することとされました(皇室典範第12条 ) 。

理由は、皇位継承資格を男系男子に限ったため(男系であれば女帝は認められていた)

女性宮家は、皇族女子が天皇・皇族以外の者と婚姻をしたとしても、皇室に留まることとする制度であると言えます。

なぜ女性宮家の創設が提案されたのか?

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皇室の構成図 - 宮内庁

現在の皇室の構成は上図のようになっています。

しかし、現行制度のまま数十年後になると、皇室は以下のようになります。

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女性皇族が既婚になったと仮定した場合の現実的な構成です。

非常に人数が限られてきてしまうというのが分かるでしょう。

現行皇室典範では、民間人と結婚した女性皇族は、皇族ではなくなるからです。

悠仁親王殿下と安定的な皇位継承

すると、このままでは悠仁親王殿下と同世代の皇族が居なくなるのが分かります。

また、その次の世代の御子にとっては、悠仁殿下と母親と兄弟姉妹以外に皇族が居ない、という状況が待ち受けています。これでは成育環境としてもよくありませんし、同じ皇族として相談できる相手が居ないという状況に陥らせることになります。

実務的な意味においても深刻で、悠仁親王殿下が御即位される頃になると、皇族としての公務を行う人が居なくなり、皇室の存在感が薄れていくということになりかねません。
※追記:皇族としてやらなければならない公務が決まっているということは無い。皇族が何らかの活動をすればそれが公務になっているというだけの話。天皇の代理は皇太子や皇嗣が行うが、こちらは必須。

ですから、女性皇族が婚姻後も皇室にとどまることが出来る制度として女性宮家という方法が提唱されたのです。

ただ、女性宮家の当主たる皇族女子やその子孫に対して皇位継承権を付与するということは直ちには連動しません。それは別の話です。

男系女子への皇位継承

ですが、皇統に属する皇族(男系)も、どんどん少なくなっていってしまいますので、安定的な皇位継承についても対策を練らなければなりません。

その方法の一つとして「男系女子に皇位継承権を与えること」が挙げられています。

女性皇族であっても、男系に属する者であれば、皇室の伝統に反しないからです(現行法体系上は不可能だが)

では、女性宮家に皇位継承権が付与されるとどうなるでしょうか?

これが、非常にいかがわしい展開をはらむものになっているのです。

女性宮家と女系天皇の違い、関係

女性宮家を作って皇位継承権が与えられると、民間男性との間の子供にも皇位継承権が与えられることになりかねません。

すると、神武天皇以来、男系男子によって維持してきた皇統が破壊されます。

皇統」とは「父方の尊属(祖先)を辿ればその全てが神武天皇を祖先に持つ者」によって皇位継承が行われてきたという事実そのもの、或いはそうした背景を持つ皇族、と言えます。

そうではない天皇を「女系天皇」、そのような皇位継承を「女系継承」と呼びます。

女系継承についてサザエさんでわかりやすく図示したもの

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「サザエさん」における磯野家の視点で表すとこの通りになります。

青枠が磯野藻屑源素太皆(いそのもくずみなもとのすたみな)に連なる男系です。

赤枠で囲われたキャラが女系です。男性であっても女系になることがわかります。

女性宮家は、この図で言えば「なぎえ」や「サザエ」が該当します。

その子供の父親を辿ってもスタミナに辿り着けません。

このようにして、安定的な男系男子による皇位継承のためには、単に女性宮家を創設するだけでは延命策にしかならず、まったく根本的な解決にはならないのです。

女系天皇はなぜ悪いのか:反対すべき理由・根拠

男系男子ではない者への皇位継承(女系継承)がなぜ悪いのか?の理由・根拠については女系天皇を避けるべき理由で詳細に述べていますが大きく分けて3つあります。

  1. 皇統そのものであるのが男系男子による皇位継承であり、歴史上途絶えたことがないものを途絶えさせてしまう(不可逆性)
  2. 「女系継承」なるもので続いてきた何らかの系統は、全世界を見ても存在しない
  3. 女系天皇が誕生すると喜ぶ存在が暗躍していること

女性宮家の創設が直ちに女系天皇を誕生させることにはなりませんが、理論上はその可能性を開いてしまうという事態になります。

女性宮家創設は小室圭が皇族になることになりかねない

皇室典範

第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。

現行法体系上は、民間人男性が皇族になることはありません。

しかし、女性宮家を創設して皇族女子が婚姻後も皇族として公務を行うとすると、配偶者の夫の扱いが問題になります。夫だけ蚊帳の外に置くというのでしょうか?

というところから、徐々に「容認しても良いだろう」という空気になってしまい、最終的に民間人男性が皇族になるということに繋がってしまいます。小室圭が皇族になることになりかねないのです。

ですから、そうなる前にその可能性ごと潰しておきましょうというのがこれまでの制度であり、先人の叡智であったと言えると思います。 

 

まとめ:皇室典範特例法の附帯決議に基づく検討へ

女性宮家はなぜ提唱され、どういう問題があるのかを簡単に書きました。

しかし、天皇の譲位と新天皇の即位に関して定めた天皇の退位等に関する皇室典範特例法の附帯決議においては、以下の附帯決議が付与されています。

衆議院附帯決議(平成二九年六月一日)参議院附帯決議(平成二九年六月七日)
一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。

女性宮家の創設「等」について、令和元年5月1日以降に検討を行うということについて決議されています。

安定的な皇位継承に関する議論は、これからが本番になるということです。

それに備えて、関係者は皇室の伝統にかんして正確な理解を身に着けなければなりませんし、国民としてもそうした者の意見を支持しなければなりません。

旧皇族の皇籍復帰や婿養子等の方策は採れないのか?伝統との整合性はどう取れば良いのか?については以下で論じています。

参考:皇室 カテゴリーの記事一覧 

以上