日本政府(経済産業省)がついに韓国に対する経済的な不利益対応を行いました。
ホワイト国から除外し、半導体製造品目の輸出管理体制の見直しも行います。
これらの措置について混同が見られるので整理するとともに、ホワイト国除外へのパブリックコメントも周知します。
- 韓国への輸出管理見直し:半導体製造品目の輸出とホワイト国からの除外
- 2段階の規制:リスト規制品の優遇停止とホワイト国排除
- 徴用工問題での「対抗措置」「報復」ではない
- ホワイト国除外のパブリックコメントをしよう
- まとめ:対韓輸出規制が経済戦争なんて甘い
韓国への輸出管理見直し:半導体製造品目の輸出とホワイト国からの除外
韓国への輸出管理見直し 半導体製造品目など ホワイト国から初の除外 徴用工問題で対抗措置 - 産経ニュース
経済産業省は1日午前、軍事転用が容易とされる「リスト規制品」の韓国への輸出管理体制を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミド、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目について、4日から個別の出荷ごとに国の許可申請を求める方針を正式発表した。
韓国に対してはこれまで、安全保障上の友好国への優遇措置として手続きを免除していた。いわゆる徴用工問題で事態の進展が見通せないことから、事実上の対抗措置に踏み切った。
実は、 半導体製造品目の輸出管理体制の見直しとホワイト国からの除外は別です。
リスト規制品以外の先端材料の輸出についても、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外することも発表した。ホワイト国からの除外は韓国が初めて。1日から24日までパブリックコメントを実施した上で最終判断する。除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づける。
2段階の規制:リスト規制品の優遇停止とホワイト国排除
韓国に対しては2段階の規制をかけるということになっています。
リスト規制品の優遇停止
リスト規制とは、輸出しようとする貨物が「輸出令・別表第1」の1~15項、又は提供しようとする技術が「外為令・別表」の1~15項の品目に該当し、かつ、「貨物等省令」に該当する仕様を有する場合は、経済産業大臣の許可が必要となる制度です。
要するに政令で定める重要な品目についての輸出は許可制ですということです。
今回対象となるリスト規制品とは、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミド、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目が対象となるようです。
日本はこれまで韓国への輸出手続きを優遇していましたが、これからは個別の契約ごとに国の許可申請を求める方針です。※個別許可になるのは一部のようです。
こちらの措置は発動確定です。
ホワイト国からの排除
ホワイト国とは、大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度を導入している国のことを指します。
これらの国からは大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白であるので、俗称でホワイト国と呼んでいます。正式には、「輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域」27カ国のことを指します。根拠法令は外国為替及び外国貿易法第48条第1項です。
具体的には、アルゼンチン、オーストリア、ベルギー、オーストラリア、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、ニュージーランド、大韓民国、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、スイス、英国、アメリカ合衆国の27カ国です。
この措置は後述のパブリックコメントを経て発動するか否かが決まります。
キャッチオール規制と自民党部会での要請
安全保障貿易管理**Export Control*キャッチオール規制
輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器 の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度
キャッチオール規制とは上記のことです。
これだけでも、大量破壊兵器等の開発製造などが行われるおそれがあるから規制をかけるということで、徴用工問題(朝鮮人戦時労働者問題)へのダイレクトな措置ではないというのが分かります。
(実際上はともかく…)
和田政宗議員によると、韓国をホワイト国から除外する措置は、自民党の部会で繰り返し求め、経産省にも要請してきたものが実現したということです。
国際法を無視する韓国への輸出規制 4日発動 | 参議院議員 和田政宗オフィシャルブログ Powered by Ameba
徴用工問題での「対抗措置」「報復」ではない
徴用工の「対抗措置でない」 西村官房副長官、韓国へのスマホ材料輸出規制強化で - 産経ニュース
西村氏は「韓国との信頼関係の下で輸出管理に取り組むことが困難になっている」と指摘。「韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、より厳格な制度の運用を行うこととした」と説明した。「WTO(世界貿易機関)のルールにのっとっており、自由貿易に逆行するものではない」とも語った。
西村官房副長官も菅官房長官も「対抗措置ではない」と言っています。
この程度のものが対抗措置であっていいはずがないですし、以下の指摘もあるように、日本国にとってのダメージが無い方法を慎重に見極める必要があります。
これ注意が必要よ。 急に止めたら代替技術を開発されたり代替品をどこからか見つけてきたりするから、禁止するんじゃなしに関税を徐々に上げる、発送を遅滞させる等の相手に縛る形で殴りまくるのがいいのだ。
— 御神楽 舞 (@mikaguramai) June 30, 2019
しれっと関税上げまくって「制裁ではない」「対話のドア🕳は開かれている」で行って欲しいです。
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) June 30, 2019
ホワイト国除外のパブリックコメントをしよう
上記ページから韓国をホワイト国から除外することについてのパブリックコメントを行うことができます。現時点では確定事項ではなく、関連業界の日本企業にとってもデメリットが生じる可能性があることから、広く意見を求めているということです。
いわゆる「ホワイト国」から大韓民国を削除する根拠として
- 大韓民国の貿易管理に係る規制(キャッチオール規制)が不十分である
- 同国との信頼関係が著しく損なわれた中で、同国の貿易管理制度の適切な運用の確認が困難になった
政府としては上記観点から韓国をホワイト国から削除するとしています。
なので、この観点に沿って主張構成すれば良いでしょう。
もちろん、これ以外の観点から除外するべきという立論をしても良いですし、韓国をホワイト国から除外することによる日本企業にとってのメリットを具体的に指摘できる方は大いにすればいいと思います。
期間は7月1日から24日までです。
まとめ:対韓輸出規制が経済戦争なんて甘い
こんなものは経済戦争ではありませんね。
しばらくは対抗措置をせずに、いろいろな韓国に対する優遇措置を削除していけばいいんです。通常の対応としてやればいいんです。そもそも何で韓国に対して優遇措置をしていたのか結構不明なものってあるんじゃないですかね?
徴用工やレーダー照射問題に起因する制裁は、まだまだ後の話でしょう。
以上