事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

#環境型セクハラ:赤十字社の献血ルームの宇崎ちゃんポスター批判は何が問題なのか?

太田啓子弁護士・環境型セクハラ

 

献血ルームでの宇崎ちゃんポスターが「環境型セクハラ」だという指摘について。

太田弁護士のツイートが炎上していますが、何が問題なのでしょうか?

「宇崎ちゃんポスター」批判の何が問題なのか?

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環境型セクハラ」という用語は法律用語であり、安易に用いてはいけないということは以下でまとめています。

太田啓子弁護士のツイート上の発言

太田啓子弁護士は「環境型セクハラしてるようなもの」と書いており、「環境型セクハラである」とは言い切っていないと言えます。

しかし、彼女はまるで一般的に嫌悪感を催すものであるかのように「宇崎ちゃんポスター」を論評しています。

ということは、弁護士という立場を明記したアカウントで規範判断をしている風を装って対外的に発信しているのであり、実質的には「環境型セクハラである」と言っていると捉えられても仕方がありません。

彼女は単に「自分個人が気に入らない表現である」とだけ言えばよかったのです。

法的な意味の「#環境型セクハラ」を用いてはいけなかった

法的な意味合いのある「環境型セクハラ」という言葉を、まったく該当しない事象に対して言及しているということで、ほかの弁護士からも苦言が呈されています。

吉峯耕平弁護士は、弁護士が法的な説明もしないで環境型セクハラという強い言葉を使って批判したこと、血液の安定供給という人命のかかった使命を担っている赤十字社が、少子高齢化が進む中で若者の献血離れの現状において血液を確保するため、体格的に400mlの献血が可能な者が多い健康男性をターゲットにした広報活動をすることは必要性が高いと指摘しています。

当然、環境型セクハラには該当しないので許容性はある=法規には違反しないという前提です。

日本赤十字社は公共機関ではない

太田弁護士は、当初は「主体」が誰か?ということに焦点を当てていました。

そのため、日本赤十字社が公的機関であり、そのような主体の表現としてどうなのか?と言っているかのような印象になっています。

しかし、その後はその点について触れることもなく「公共空間」に置かれていることに焦点を当てたのを見ると、まずいと思って若干方針を修正したように見えます。

日本赤十字社は公共性の強い活動をしていますが、「私人」であることに変わりはありません。

公共団体に向けた埼玉県のガイドラインを参考資料に使う

今度は「公共空間」ではなく「事業の公共性」によって表現が自重されるべきであるという主張になっています。

(結局、いったい何を問題視してるんだろう?)

太田弁護士の論点が定まっていない

結局、太田弁護士は法規制になじむものではないために社会的な議論をして(自分の望む方向に)現実が動くべきである、という話に落ち着いています。

ならば最初からそのように言えばよいのに、「環境型セクハラ」や「埼玉のガイドライン」などを持ち出して規範判断をしている素振りをしているのは、一般人が「ルールとしてダメなものなんだ」と思うように誘導していると捉えられても無理はないでしょう。

なぜ男性をターゲットにするのか?400mlの献血が必要なのか?

400mL 献血が必要な理由|宮城県赤十字血液センター|日本赤十字社

成分献血ではなく、全血献血について言及します。

400ミリリットルの献血需要がある

医療機関からの需要の約95%が400mL献血からの血液という実態があります。

それは、以下のような事情があります。

複数人の血液を合わせると副作用リスクが高い

複数の献血者の血液をあわせて一人の患者に輸血すると、発熱、発疹などの副作用が発生する可能性が高くなります

400mL献血は200mL献血に比べて量が多いことから、少ない献血者からの輸血を可能にし、安全性が向上するということです。

全血献血で400mlの献血ができるのは男性が多い

献血基準|献血の流れについて|献血する|日本赤十字社

400mlの献血をする基準の一つとして、「体重50kg以上」があります。

女性は男性に比して小柄なため、この基準を満たさない人が多いです。

さらに、女性自身が男性に比して貧血のリスクが高いので(生理現象等、わかるでしょ?)、400mlの献血をする女性は少ないです。

数値で見る血液事業|血液事業|活動内容・実績を知る|日本赤十字社をみてもわかるように、10代でも男性の方が多く献血に言っており、20代以降では男性が女性の2倍、高齢層になってくると3倍の開きがあるのがわかります。

実際、かなり健康な男性(体育教師)でも400mlの献血をして貧血になった人を私は知っているので、女性よりも男性をターゲットにした方がより多くの血液を確保できると考えるのは自然だと思います。

若年層の献血は減っている

環境型セクハラ

血液事業の現状とこれから|血液事業とは|血液事業|活動内容・実績を知る|日本赤十字社

若年層(10~30代)の献血数は減っており、高校生の献血実施数についてはグラフを見てもわかるように、減少傾向です。

これは少子化の影響を受けているのでしょうが、主な献血ターゲットとして若年層を据えるのは当然でしょう。

公共空間に掲示された「性的表現ポスター」

太田啓子弁護士の姿態がポスターになっていました。

というか、女性用/男性用下着をモデルが着用している様が広告になって街頭で表示される例もいくらでもあるので、「公共空間」だからといって「宇崎ちゃんポスター」がダメだという理屈は、まったく理解できません。

この辺りの理屈も太田弁護士はまったく説明しておらず、「日本では理解されていない」と海外出羽守と化しています(海外でも許されていないどうか怪しい)。 

まとめ:安定的な血液確保という献血事業に資するか

献血事情を鑑みると、果たして太田弁護士が主張するようなポスター批判は安定的な血液確保という献血事業に資するのかというと、甚だ疑問です。

というか、邪魔してますよね?

対して、このポスターを見て嫌悪感を催す人が居たとして、考慮する価値ってあるんでしょうか?

そういう意味で「宇崎ちゃんポスター」 批判は、いったい何のためにやってるのか?と疑問に思わざるを得ません。

以上