事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

関東大震災時の朝鮮人殺傷人数:6000人虐殺説の嘘

現代史資料(6)関東大震災と朝鮮人

関東大震災時の朝鮮人殺傷人数について。

この件については事実認定のフェイクと事実の評価のフェイクが現実社会のソースでもネット上のウェブサイトでも渦巻いているので、注意が必要です。

なるべく検証可能なソースをつけて調べた結果を整理していきます。

内閣府中央防災会議の関東大震災の報告書

内閣府中央防災会議のページに「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書1923 関東大震災【第2編】」があります。こちらの第四章第2節に朝鮮人被害者に関する調査の結果が記載されています。この調査報告は朝鮮人の犯罪についての記述はありません。当該調査は複数人の委員によって行われていますが、第四章第2節は鈴木淳委員が担当しています。

朝鮮人犯罪については以下参照。

関東大震災時の朝鮮人の被害者について

朝鮮人に対する殺傷事件や流言蜚語についても調査結果があり、「起訴事件になったものの中での殺人の被害者となった朝鮮人は233人」であるという司法省の記録(「刑事事犯調査書」)があります。

当然、真実の犠牲者の中には起訴事件にならなかったもの、捜査が進まなかったものも含まれると思われますが、これとかけ離れた死傷者数を言う見解(たとえば6000人)は、官憲の協力を得られず事後的なものであり、また後述する人口動態からして、信憑性は無いと言えます。

流言蜚語については警察が把握したものを中心に検証していますが、マスメディアが報道したものについてはほとんど検証を加えていない点に注意です。

内閣府中央防災会議の報告書では、朝鮮人を自警団による暴行や混乱から護るためにむしろ政府・警察が朝鮮人を保護しようとしていたことが分かります。ただ、同時に警察による殺傷についても書かれています。

この殺傷の引き金・或いは増長の原因となった事象は、政府の要因を否定することはできませんが、新聞社の側、特に東京日日新聞の寄与度は重いということは以下で指摘しています。

司法省の統計は信用できるか?

司法省の「刑事事犯調査書」を収録している「現代史資料(6)関東大震災と朝鮮人 みすず書房」の編者である姜徳相(カンドクサン)は、中公新書から「関東大震災」を出しており、その中で司法省の統計(233人とある部分)が信用できないとして以下述べています。

しかし、こうした数字が信用できないことは、総督府がとった次の措置からみてもあきらかである。総督府は総督府の官憲が「精密に調査した結果」、朝鮮人の被害人員は八三二名とし、その調査にもとづき「震災の為に死亡したり行方不明となった鮮人の遺族に対しては一人に付二百円宛の弔慰金を贈り地方官をして懇に遺族を慰問せしめ、その人員は八百三十名で弔慰金総額十六万六千円である」としている。ー中略ー弔慰金をうけることは被害者の身元が確実に判明したことを意味しよう。

総督府調査で832名、弔慰金が200円であったことについては後述する内閣府の報告書でも触れられており、事実です。しかし、以下の分析は的外れです。

司法省調査の二三三名を総督府が調査するとどうして八三二名に増加するのかー中略ーいまいちど司法省や内務省の調査した被害者はニ三三名中二三名しか氏名が確認できず、残余の二〇〇名以上が「氏名不詳鮮人」「とか「約一五名」など大雑把にしか記録できなかった…

数字の違いは、司法省と朝鮮総督府が出した統計が異なる性質のものであるために発生しています。「被害人員」となっているところが重要です。次項で詳述します。 

朝鮮総督府による朝鮮人被害人員832人の認定方法は?

関東地方震災時に於ける朝鮮人問題 朝鮮総督官房外事課

関東地方震災時に於ける朝鮮人問題 朝鮮総督官房外事課:現代史史料(6)より

被害人員とされる832名がどのように認定されたのか。

「現代史資料(6)関東大震災と朝鮮人 みすず書房」に収録されている【関東地方震災時に於ける朝鮮人問題 朝鮮総督官房外事課】の資料に記載があります。

462頁

自警団に殺害された鮮人の数は混乱の際であり死体は一般の死体と共に火葬に附せられたから死因も弁別せず従って的確なる数を得ること困難であるが朝鮮地方官憲で精細に調査した結果に依れば圧死者焼死者被殺者及行方不明となった鮮人は総体で八百三十二名である、鮮人の居住場所と焼死者の多かった事実に徴し自警団に殺害された者はその二三割を超過することはあるまいと推定せられるのである。

要するに、司法省は【殺人が特定の者によって行われたのが明らかな起訴事件】において殺人の被害者となった朝鮮人が二三三名としているのに対して、朝鮮総督府は【震災によって死亡した者+何者かに殺害された者+行方不明者で身元(遺族の所在)が明らかになった者】が八三二名としているのです。そして、この中で殺害された者は3割を超えることはないと推定しており、そうすると司法省の数字とほぼ同数となります。

朝鮮人殺傷832人は「行方不明者含む」は殺害隠蔽?

ただし、前掲内閣府中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書1923 関東大震災【第2編】第4章第2節殺傷事件の発生」によると、政府による遺族に対する弔慰金に関して以下の指摘があります。

日本人の死者、行方不明者へ一律で配布されたのが御下賜金の1人16円であったことと対比すれば、200円という金額は政府が朝鮮人の被災を特異なものと捉えられていたことを示している

意味深な記述が最後にありますね。

これは暗に「832名の内訳は全員殺害された者であり、名目上カムフラージュするために行方不明者も含んでいることにしている」ということを示唆しています。さて、どう理解するべきでしょうか?

御下賜金」とは、いわば天皇からの義援金です。詳しく書かれた論文はこちら

罹災の申告者に対して死者・行方不明者(の遺族)には一律16円という金額設定がなされました。これは低額な金額ですが、御下賜金の総額は1000万円であり、その分配対象は死亡者だけではなく「家屋全焼」「半焼」「負傷者」も含んでいた(全焼は12円、半焼・負傷者は4円)のが理由です。

関東一円に存在する数十万人の日本人罹災者に対して広く救済をするためにはどうしても1件あたりの金額を抑える必要があったのです。832名だけの朝鮮人への補償とはわけが違います。

それにしても朝鮮人に対する一人あたり200円というのは多額ですが、これは「予算の出所が違う」というのが大きいでしょう。朝鮮人への200円は被災していない朝鮮総督府から出ていますが、御下賜金は被災した日本政府が配分しています。

御下賜金以外の現金支給の存在は確認できません。それは、関東一円が被災しており、日本政府は個人の生活再建のみならず都市の復興のためにも予算を使わざるを得なかったという事情が大きいのではないでしょうか。日本政府と朝鮮総督府の震災補償に対する考えが違っていたとしてもおかしなことではありません。

また、弔慰金配分に際しては官憲が直接遺族方に慰問していることから「厚遇である」と評してその「特異性」を強調する向きもあります。しかし、当時併合したばかりの朝鮮の遺族が、自分から弔慰金の交付を受ける手続をして役所に足を運ぶことは期待できません。弔慰金の趣旨についても理解できないでしょうから、説明ができる者、つまり官憲が行くのは当たり前だと言えます。

こういう事情からは、「日本人への御下賜金は死亡者に対して16円に過ぎないのに、朝鮮人への弔慰金は200円であることから異常であり、832名の真の内訳は殺害者数であることを示唆する」という鈴木淳委員の推論は拙速に過ぎるといえるでしょう。

むしろ、そうであるからこそ「疑惑」を明示せず、仄めかすだけにとどまったのではないでしょうか?朝鮮総督官房外事課の史料における「二三割を超過することはあるまいと推定せられる」という記述を無視していることからも、私には鈴木淳委員が、日本政府と朝鮮総督府を「政府」として同一視させようと誘導しているように見えます。

司法省の資料についての姜徳相の「虐殺」分析の価値

以上みてきたように、司法省の資料による「233人」が犯人の特定(犯行を行ったという犯人性があるという意味)を必要とし、被害者の特定(身元が分かる程度に)を必要としないのに対して、朝鮮総督府の「832人」は犯人の特定を不要とし、被害者の特定を必要とするものである上に、震災による死亡者や行方不明者も含めています。

死者のうち、犯人が特定できるものと被害者が特定できるものという性質の違いがあるだけです。

そして、朝鮮総督府の832人が殺害人数のみであるという推測も説得力に欠けます。

したがって「朝鮮総督府の数字が司法省の数字よりも増えているのは異常であり、司法省の数字が全て信用できない」とする根拠には欠けます。姜徳相氏は司法省と朝鮮総督府の統計情報の性質の違いを考慮に入れて論じているわけではありません。

姜徳相氏が編纂した本は政府の公式資料を多数含む史料として非常に優れており、この調査を軸として後続の研究がなされ、次第に政府側の報告書に本来あるべき記述が欠けていることなどが明らかにされてきました。

しかし、姜徳相氏が自身の著作において流言蜚語と朝鮮人の殺害事象を『日本人と朝鮮人の「支配ー被支配」関係』の文脈で捉えようとしている結果、上記のような説得的でない政府批判、資料検討をしているのは残念だと思います。朝鮮人殺傷人数に限らず、説得的な資料批判は他の研究論文を参考にすべきでしょう。

朝日新聞社の調査による朝鮮人殺害被害者数:432人

朝日新聞社史

朝日新聞社史

朝日新聞社史によると、朝日新聞も調査していたといい、殺害された朝鮮人の関東一円の合計数は432人だったとしています。これは刑事事件になっているかどうかや身元が判明しているかどうかの限定が無い、純粋な被殺者数です。

司法省の「刑事事犯調査書」の起訴事件233人、朝鮮総督府の震災による死者と行方不明者含めた身元判明者832人との関係から妥当な範囲の数値だと言えます。

朝鮮人被殺者数の代表的な民間調査は姜徳相氏「関東大震災・虐殺の記憶」の巻末の表にまとめられていますが、この中に朝日新聞調査は含まれていません。

「6000人虐殺説」の民間調査

「朝鮮人6000人が虐殺された」という主張の元ネタは、いくつかの民間調査です。

  1. 独立新聞調査(金承学(キムスンハク)調査):6661人(姜徳相氏の著作より。ただし、計算違いと思われるため工藤美代子氏は6419人と記述)
  2. 吉野作造調査:2613人
  3. 同胞慰問班調査員・崔承万(チェスンマン)説:2607人

これらは調査自体の信用性、調査に対する評価の姿勢、当時の朝鮮人人口、の観点から、とても信用できないものであるといえます。

前掲内閣府中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書1923 関東大震災」では、これらの民間調査の数字を紹介しているものの、その信憑性については直接検討していません。

一方、朝鮮人殺傷について東京日日新聞(現:毎日新聞)の寄与度は高いとした研究論文(たとえば大畑裕司/三上俊治「関東大震災下の『朝鮮人』報道と論調」(上)(下)『東京大学新聞研究所紀要』第35号・第36号,1986・87年)においても、これらの民間調査の数字の信用性を検討せず採用しています。

「疑い」の観点から朝鮮人殺傷について記述する研究・出版が無いことが6000人説が跋扈してきた原因でしょう。この点、工藤美代子氏の「関東大震災 朝鮮人虐殺の真実」では上記の民間調査について疑問点を一通り指摘しています。

「6000人虐殺説」はなぜ信憑性が無いのか?

調査自体の信用性、調査に対する評価の姿勢、当時の朝鮮人人口の視点を示します。

調査の内実についての評価は「関東大震災 朝鮮人虐殺の真実 工藤美代子」を参考にしていますが、調査結果自体は姜徳相氏編著の「現代史資料(6)関東大震災と朝鮮人 みすず書房」、姜徳相氏著作の「関東大震災・虐殺の記憶」にも掲載されています。

6000人説の中心的資料である独立新聞調査について

  1. 内訳として「屍体を発見できなかった同胞」数が2889人であるが、本来行方不明者として扱うべきものである
  2. 「屍体を発見した」とされる1274人も、殺害されたのか震災による死体なのかの判断は極めて困難。
  3. 1923年11月25日(震災から約2か月半後)に近県から集まった追加調査として2256人が追加されたが、最後の遺体処理が行われたのは十月中旬であり、なぜこれらが「殺害」と判断できたのか非常に疑わしい

この調査は記述からして、単なる死者・行方不明者を「被殺者」に含めている可能性が極めて高いものです。

同胞慰問班調査員・崔承万説について

  1. 「被殺人数」として「48人または80人」など、「または」という予想を含む形で記述し、その最大人数を合計している。
  2. 「神奈川鉄橋 500人」「東京亀戸署 87人または320人」「浅草公園内 3人または200人」など、雑駁でいいかげんな数え方をしていること
  3. 崔はさらに被害者は5000人以上だろうと追加で推定しているが、その推論過程が「東京神奈川に3万人⇒震災後各所に収容された生存者7580名を引くと22420名となる。確実な調査は出来ないので、少なく見積もって4分の1としても、5600余名となるので、罹災朝鮮同胞慰問班では虐殺された人は5000名と意見を集約した」というもの

こちらは独立新聞よりも酷く、そもそもきちんとした調査をしていたのかどうか、というレベルで怪しい代物です。司法省の調査を批判する者であれば、なぜこれについて疑義を差し挟まないのか、理解に苦しみます。

吉野作造調査について

  1. 調査そのものが崔承万のものとほぼ一緒
  2. 吉野の聞き取り調査で唯一違うところは、埼玉県本庄の被殺人数が崔は80人だが、吉野は86人となっている点のみ。それ以外の数字は崔の調査と同じ

以上みてきたとおり、6000人説が依拠する調査結果はすべて「朝鮮人による調査」であったということです。そこにバイアスがあると考えるのは数字がおかしいことから自然でしょう。

姜徳相その他の後継研究による評価の杜撰さ

上記の記事で示したように、姜徳相その他の研究者は、司法省が発表した「震災時の朝鮮人による犯罪」の信憑性について、犯人とされる者に氏名不詳者が多いことなどをもって、朝鮮人犯罪の一部は無いのではないかという分析が多くなされていることを指摘しました。

であるならば、なぜ同様の精度をもって「朝鮮人被殺者数」の調査結果も精査しないのか?その態度の一貫性の無さに首をかしげざるを得ません。

上述の通り、「6000人説」の調査は明確に殺害された者を把握しているとは言い難く、単なる「震災による死亡者」「行方不明者」も算定している可能性が極めて高い代物です。

姜徳相氏の著作を読んでいれば分かることですが、常に日本政府を敵視し、日本人と朝鮮人の関係を差別ー被差別の関係で理解しようとしています。そのような前提でいるから、バイアスのかかった分析をしているのです。

ところが、この点を精査する言説は工藤美代子氏の著作以外にはまったく見ることがありません。

「事実認定」の次に「事実の評価」の問題があり、それが正当であるかどうかも重要であるにもかかわらず、研究者界隈はサボっていたということです。アカデミックぐるみの東京日日新聞隠蔽「工作」と並んで、これは恥ずべきことです。

関東一円の朝鮮人の人口動態から

震災当時の関東一円の朝鮮人人口については推定値しかわかりませんが、概ね1万人~2万人に落ち着いています。数字にばらつきがあるのは、当時の資料の多くが敗戦後に焼却されたり、公式統計に違いがあったり、昼間の在関東人口の計算が異なったり、政府が把握できない不法滞在者が相当数居たであろうという推測が間に挟まるからです。

なお、ここでも6000人説を提唱する者は、司法省の「233人」を否定したような熱意でもって関東の人口を推測しているのではなく、結構多めに見積もるという態度であることが多いのが不思議です。

ここでは最もあり得ると思われる関東1万4000人説をベースに考えていきます。
※工藤美代子氏は厳しく見ており昼間の在関東人口は9800人(公式統計から算出しており不法滞在者は勘案していないようである)という数字を基礎にしています。

そこから、震災時に警察が朝鮮人を保護した人員(6797人)は絶対に殺害人数に追加されることは無いので、差し引きます。

すると、約7000人が残りますが、6000人説であれば「震災による焼死者圧死者等・行方不明となった者・警察が保護した以外の生存者」の人数が約1000人ということになります。ほぼ全滅です。

よって、6000人説は歯牙にもかけられない程度に在り得ないものということです。
(なお、工藤美代子の9800人想定とその後の計算によると、仮に独立新聞や崔承万調査が正しいとすると警察が保護した者以外の者は全員殺害されたことになり矛盾するため、6000人説どころか2600人説も成り立たないことになる)

実際の朝鮮人被殺者数は何人か

それでは実際に殺害された人数は何人か?

ここで、保護された6797人とは別の約7000人の内訳としてあり得る項目を改めて挙げていきましょう。

  1. 殺人の被害者
  2. 震災による焼死者圧死者等
  3. 行方不明となった者
  4. 警察が保護した以外の生存者 

関東大震災によって関東全体の全人口約1000万人のうち約10万5000人が死亡・行方不明となったというのが近年の調査結果です。死者は下町界隈で特に多く、全体の80%とされています。朝鮮人の多くは下町に住んでいましたから、単純な人口比よりも遥かに多くの方々が死亡したと考えられています。

ところで、震災の翌々年の大正14年(1925年)には関東の朝鮮人人口が約2万人であるという統計があります(田村紀之「内務省警保局調査による朝鮮人人口(工)一一一総人口・男女別人口と経済学』第46号,1981年)60-66ページ)。

朝鮮併合以降、日本に移住する朝鮮人は右肩上がりでしたから、人口の伸び率を考慮する必要があり、注意が必要です。ここでは不法滞在者も居る想定ですので、実際には2万人よりも多くなっていたと考えられます。

右肩上がりだった朝鮮人人口の傾向を加味したとしても、震災から2年で震災の被害が甚大だった関東において、1923年から1925年の間に、いったいどれだけ人口が増えたでしょうか?

ここは推測の域を出ません。

まとめ:ありえない数字を持ち出すな

関東大震災の朝鮮人殺傷については、「朝鮮人虐殺」を糾弾する目的で研究している者が多く(事実、この分野は朝鮮人研究者が多い)、 分析に思想的傾向があるのは否めません。ネット上でも、一定の思想をベースに持って史料を評価している言説が目立ちます。

他方で、いわゆる「保守側」からこの件について研究・分析を試みる者は非常に少ないです。それを知ってか知らずか、朝鮮人の被殺者数は過大に見積もられていますし(言うまでもなく朝鮮人の誇大主張傾向がある)、その逆で過小に記載しているウェブサイトが存在し、「朝鮮人の殺傷は無かった」というデマを拡散する者も居るというのが実態です。

内閣の調査報告では報告担当者の大雑把な予測としてではありますが、朝鮮人の被害者は1000人程度ではないかという記載があります。しかし、それは「832人」全員が殺害された人数であるという前提のようです。その推測は拙速に過ぎるということは先に示しました。

客観的な状況からは、朝日新聞調査の被殺者数432人(刑事事件になったかは問わない)から(行方不明者と震災による死者を含めた)832人の間が、朝鮮人被殺者数のあり得る数字であると考えられます。

以上