事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例可決、附帯決議も

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川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例が文教委員会で可決されました。

12月12日に本会議でも可決成立しました。

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(ヘイト規制条例)が可決

川崎市:「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)に関するパブリックコメント手続の実施結果について

議案157号、川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例=ヘイト規制条例は賛成多数で可決されました。

罰則規定や規制規定が捕捉する行為に「日本属性者=本邦内出身者」に対する不当な差別的言動が含まれていないことについて批判がありましたが、そこは修正されませんでした。

議案157号の附帯決議も可決

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附帯決議が自民党会派から提出されていました。

内容は上図の通りですが、特に「日本国民たる市民に対しても不当な差別的言動が認められる場合には、本条例の罰則の改正も含め、必要な施策及び措置を講ずること」について共産党会派が問題視していましたが、文言修正後に賛成多数で可決されました。

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修正後の文言は「本邦外出身者以外の市民に対しても、不当な差別的言動による著しい人権侵害が認められる場合には、必要な施策及び措置を検討すること」となりました。

新旧対照

  1. 「日本国民たる市民」⇒「本邦外出身者以外の市民」
  2. 「罰則の改正も含め」⇒削除
  3. 「不当な差別的言動が認められる場合」⇒「著しい人権侵害が認められる場合」

1番は、日本で生まれ育った日本国籍未取得者が日本属性を理由に排除される場面を捕捉できない文言だったため、変更は正当だと思います。

2が削除され、3で場面がかなり限定されたのは意味不明であり不満ですが、附帯決議反対派の後ろ暗い目的がハッキリしたという点で、自民党会派に一定の感謝をしたいと思います。

条例成立が目的ではなく、差別・対立の解消が目的

議員の意見の中で(女性の市議さんの発言でしたが名前分からず)、「条例成立がこの条例の目的ではなく、差別や対立の解消が目的であるから、附帯決議は議会の意思を示すためにも可決されるべきだ」という趣旨の発言がありました。

まったくその通りだと思います。

この条例が「日本人差別条例」となるかどうかは、この条例を運用する川崎市の行政の手にかかっているのであり、公正な運用をしていただきたいと思います。

陳情5件は非採択

川崎市:陳情受理一覧

実は、川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例については陳情も受理されていました。

しかし、これらの陳情はその内容が条例と相反するとされ、条例が可決されたことをもって、5件はいずれも非採択となりました。

本会議の採決は12日か

罰則付きヘイト規制条例については、この後、12日(木)の本会議における採決が行われる見通しです。

以上