事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します

朝鮮人戦時労働者(徴用工)差押え後の協議要請は請求権協定通り

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政府、徴用工訴訟差し押さえ決定で韓国に協議要請 - 産経ニュース

政府は新日鉄住金への差押え通知が確認され次第、日韓請求権協定に基づく初の協議を韓国政府に要請する方針のようです。

この件で「韓国と協議なんて無駄だからやめろ」という声があるのですが…

それは法治国家としてのあるべき態度に反します。

なぜなら、協議するべきということが日韓請求権協定に規定されているんですよね。

財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定

日韓請求権協定全文

日韓請求権協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)該当部分はこちら

第三条

1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

このように、日韓請求権協定に「紛争が起きたら協議する」と決められています。

なので、「韓国と協議なんてするな!」という勇ましい主張は協定違反です

同様の事は高橋洋一氏も指摘しています。

日韓請求権協定に基づく協議の手続

日韓請求権協定では最初に外交ルートでの協議が前提です。

それが破綻した場合、締約国は1名ずつ仲裁委員を選定するべきことになっています。

そして、最終的に第三国の仲裁委員が決定され、仲裁委員会が構成されます。

  1. 外交ルートの協議
    ⇒破綻なら2へ
  2. 仲裁委員の選定
    ⇒紛争仲裁要請の公文受領から30日以内
  3. 第三国の仲裁委員を締約国が合意選定or第三国の政府が指名
    ⇒上記の後の30日以内
  4. 仲裁判断:両政府は仲裁判断に服することに
    ⇒服さなかった場合には5へ
  5. 国際司法裁判所での審理
    ⇒相手国の同意が必要

以上のような手続を踏んで、はじめて国際司法裁判所(ICJ)が出てきます。

国際司法裁判所で審理が行われるためには2パターンあります。

  1. 相手国の同意を得た上でICJに付託する
  2. 一方の国が単独提訴した上で相手国の同意を得る

このように「法的な手続」はきちんと踏まないと法治国家ではありません。

韓国は選択条項受託宣言をしていない

国際司法裁判規程 第三十六条

1 裁判所の管轄は、当事者が裁判所に付託するすべての事件及び国際連合憲章又は現行諸条約に特に規定するすべての事項に及ぶ。
2 この規程の当事国である国は、次の事項に関するすべての法律的紛争についての裁判所の管轄を同一の義務を受諾する他の国に対する関係において当然に且つ特別の合意なしに義務的であると認めることを、いつでも宣言することができる。
ー以下省略ー

日本は国際司法裁判規定36条2項に規定されている選択条項受託宣言をしています。

そうすると、受託宣言国同士の紛争の場合には、同意無しで提訴が可能です。

しかし、韓国はこの条項を受託していません。

よって、先述の通り同意が必要になるということです。

韓国側の行動の予想

外交ルートの協議は破たんするでしょう。

仲裁委員の選定も、韓国は先延ばしして決めないでしょう。

第三国の仲裁委員の選定合意や、第三国が仲裁委員を決めるにしてもその第三国をどこにするかは両者の「合意による」こととなっています。

韓国は中国を、日本はアメリカを主張するのではないでしょうか?

そう考えると、とても合意できるとは思えません。

アメリカが第三国になれば韓国側にとって分が悪いですから、何時まで経っても第三国の仲裁委員が決まらず、仲裁委員会が開催される可能性は低いんじゃないでしょうか?

そして、国際司法裁判所への提訴も、韓国側が同意するとは思えません。

すべて、先送りにしそうな気がします。

ただ、日本が単独提訴した場合、韓国側は応訴に同意しないことについての合理的な理由をICJに説明する義務が発生します。

この段階で、韓国の異常性が国際司法上も明らかになる。

大きな流れとしては、このようなイメージを政府は持っているはずです。

そして、上記の手続を踏んでいる間に日本が韓国に対して何らかの制裁を決してしないという訳ではありません。制裁を課すことと日韓請求権協定に基づく協議は同時進行で行っても協定に反しません

まとめ:いわゆる徴用工訴訟における韓国側の異常性

  1. 日韓請求権協定の解釈論ではなく両国が「最終的に解決した」という認識があったという事実が重要
  2. 個人請求権は残っているが、裁判上救済されない権利であるという立場は、日本政府は一貫している。立場が変遷しているという主張はデマ
  3. 韓国&日本の一部弁護士連中は「企業の任意の補償」を促しているが、それを行う道理は無い

日韓請求権協定についての理解は上記がすべてです。

参考記事として以下を挙げておきます。

以上