事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

韓国軍の映像公開が論破済みだった件:[국방부] 일본은 인도주의적 구조작전 방해를 사과하고 사실 왜곡을 즉각 중단하라

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https://www.youtube.com/watch?v=4dpWAWpzWyE

韓国軍がレーダー照射事件の「反論動画」を公開しました。

突っ込みどころが多いのですが要点だけ整理します。

[국방부] 일본은 인도주의적 구조작전 방해를 사과하고 사실 왜곡을 즉각 중단하라

動画の構成

  1. 国防省の見解を伝える声明
  2. 手振れしまくってる、遠くのP1を映していると思われる映像(10秒くらい)
  3. STIRのレーダー照射はしてないという主張
  4. 日本の「危険な低空飛行はしていない」という説明の際に示した資料にICAO条約があるが、それは民間機に適用されるものなので軍用機であるP1は関係ないという主張
  5. 無線交信について

ざっとこんなもんです。

大仰なBGMがつけられていて、なんとも扇情的です。

국방부:国防部の公式HPは左のリンク左記ですが、現在はなぜか動画が再生できません(笑)

韓国軍の主張は論破済み

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防衛省:http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/28z.html

>レーダー照射の防衛省資料:自衛隊機は国際民間航空条約の適用対象? - 事実を整える

韓国軍の主張は、こちらで既に論破している内容でした。

  1. 防衛省の資料は自衛隊機がICAOの適用対象だと言うためのものではない
  2. レーダー照射事案は公海上で行われた
  3. 公海上は上空飛行の自由と航行の自由がある
  4. 各国はそれぞれの自由に配慮する必要があるため、最低安全高度を決めている
  5. 公海上の軍用機の最低安全高度を規定するものはない
  6. 公海上の最低安全高度を規定しているICAOに航空法・航空法施行規則は基づいている
  7. 最低安全高度の本質は飛行物体と対象物の衝突の危険
  8. 上記危険は民間機と軍用機とで変わらない
  9. だから自衛隊機はICAOの基準に従っている
  10. ICAOの基準に沿った飛行をしていた自衛隊機は何ら問題はない

最低安全高度は「飛行物体と艦船が衝突する脅威」を減らそうとする考え方です。

この脅威は民間機だろうが軍用機(自衛隊機)だろうが、同じことです。

この考え方は論理的に世界共通のものです(どうやら韓国を除くのでしょう)。

したがって、日本はICAOの規定にある150mという距離を参考にして、実際の自衛隊機の運用にあたっては航空法施行規則の「水上又は水上の人又は物件から150m」以上の距離を取ることにしているのです。

国際的にもICAOの基準を一定程度参考にしていると思われ、少なくとも下記の事例では高度180m距離500m程度の飛行をアメリカは問題視していません。

過去のアメリカ海軍の認識「高度180m距離500m程度の接近飛行をされても全く脅威ではない」(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース魚拓はこちら。

最低安全高度の本質は「飛行物体と艦船が衝突する脅威」の逓減

佐藤まさひさ外務副大臣が指摘するように飛行の危険は複数要因で判断されます。

P1哨戒機の飛行は、これらのどれにも当てはまりません。

海上自衛隊P1哨戒機は「直上通過」はしていない上に、最低安全高度も保っています。

「軍用機の脅威は民間機とは別で危険であり、もっと高い高度でないとダメだ」という論は、いったいどう危険であると言うのでしょうか?

民間機でも音速旅客機はありますから軍用機よりもうるさいor衝撃波の危険がありますし、軍用機はジャンボジェット旅客機よりも小さいですから機動性に優れ、むしろ衝突しにくい機体が多いと言えます。

「爆弾やミサイルを落とされる危険」というなら、上空1万メートルでも危険ということになりかねません。この話は永遠に決着がつかない話になるでしょう。だからこそ誰もそういう意味のない話はしてこなかったのです。

軍用機の危険が民間機と別にあるとするならば、それは「飛行物体と艦船が衝突する脅威」以外に飛行ルート等で勘案される話です。

 まとめ:まったく反論になってない韓国の「映像公開」

韓国側の最低安全高度に関する主張は「この橋は馬を通してはいけません」と書いてあるものに対して「じゃあ牛ならいいだろう」と言ってることと同じです。

形式的な文言該当性を取り上げて、本質的な話を無視しています。

ツイッター等のSNSで個人レベルで言ってるようなことが、まさか国家レベルで動画公開してまで喧伝されるとは思いませんでした。

呆れるしかありません。

以上