日本哨戒機が韓国艦艇に低高度で威嚇飛行と韓国国防省 - 産経ニュース
1月23日、韓国国防省が新たに日本の哨戒機が東シナ海の岩礁「離於島(蘇岩礁)」沖で韓国海軍の艦艇に低空で接近する威嚇飛行を行ったと主張しました。
当然日本側は威嚇飛行であることを否定しています。
これについて韓国が映像公開する方針だとの報道もありますが、まぁ捏造ですね。
なぜ韓国がこのような虚偽を発表するのか、その理由を考察していきます。
- 離於島沖で日本哨戒機が低空威嚇飛行の報道
- 「自衛権的措置」から「対応行動規則」にトーンダウン
- 日本防衛省は威嚇飛行も呼びかけ無視も否定
- 自衛隊哨戒機の飛行映像・呼びかけ音声は出すのか?
- 「低高度=威嚇飛行」ではない
- 「今回だけ問題視した」ことを誤魔化そうとしている
- レーダー照射の論点ずらし:悪い奴がごね得する
- まとめ:評価の問題ではなく事実認定の問題
離於島沖で日本哨戒機が低空威嚇飛行の報道
韓国国防相「自衛権的措置の実行」に言及 日本を批判|au Webポータル国際ニュース
離於島は韓国と中国が管轄権を争っており、周辺は日中韓の防空識別圏が重なる。声明によると、哨戒機は海軍艦艇が明確に識別できる状況にありながら、距離約540メートル、高度約60~70メートルの「低高度の近接威嚇飛行」を行ったという。韓国軍関係者によると、韓国側は哨戒機に数十回の警告通信を行い、「離脱せよ」、「これ以上、接近するなら自衛権的措置を取る」などと呼びかけたが、哨戒機は通信に応じず、周辺の旋回を続けたとしている。今月18日、22日にも韓国艦船に「威嚇飛行」を行ったとも主張している。
韓国国防省は、「明白な挑発行為」と認定したうえで、「このような行為が繰り返される場合、軍の対応行動規則に沿って強力な対応を取る」と主張しています。
いろいろ突っ込みどころがありますが、まずは「自衛権的措置を取る」と呼びかけた点について、非常におそまつな顛末があったので指摘します。
「自衛権的措置」から「対応行動規則」にトーンダウン
威嚇飛行:「次からは自衛権措置」…韓国軍の超強硬対応案が発表直前に削除-Chosun online 朝鮮日報
韓国国防部は当初、公式発表文草案に「再びこのような行為が繰り返される場合、我々は自衛権的措置を含め強力に対応していく」という文言を入れていた。「自衛権的措置」とは、韓国軍が2017年まで北朝鮮の核実験やミサイル発射のような挑発行為に対して断固とした対応を取ると宣言する時に使っていた表現だ。自衛権的措置には警告放送のほか警告射撃や実際の射撃(ミサイル発射など)が含まれる。日本の自衛隊哨戒機の近接威嚇飛行が続くなら、北朝鮮に対する懲らしめに準ずる行動に出ることもあり得るという意味だ。ところが、最終的な発表文では「自衛権的措置」という文言を外し、「対応行動守則」という文言に強硬度を下げた。国防部は発表文を発表する時も鄭景斗長官が自ら記者会見室で発表するとしていたが、直前に韓国軍合同参謀本部の徐旭(ソ・ウク)作戦本部長(陸軍中将)に交代した。
本当に「自衛権的措置」ということをP3C哨戒機に向けて発していたら大変です。
「哨戒機の威嚇飛行=ミサイル発射」とするような話ですからね。
自衛隊機が通信に応じなかったと韓国側は言ってますが
むしろ日本側が問題視して取り上げる内容ですね。
「(仮に威嚇飛行してたとしても)この程度で自衛権的措置ってどういうことだ!?」
という感じで、日本側が意図的に無視する必要がないんですが。
韓国側も「これは無理矢理過ぎた」と思ったから「対応行動守則」にしたんでしょう。
それでも強行な姿勢ですが:日本の挑発に対する国防部の対応行動守則とは : 政治•社会 : hankyoreh japan
こうした点からも「低空威嚇飛行」の事実は非常に疑わしいと言わざるを得ません。
なお、論理的に日本側が機械等の故障で傍受していなかった可能性は残りますが、その可能性は元々低いうえに、そもそも「威嚇飛行」をしていたかどうかが問題です。
警告通信、20回も繰り返したわりにそれ以外の通信手段は使わなかったんですかね・・・?高速で移動する航空機と違って洋上に浮いてる艦艇からは発光信号や信号(照明)弾による警告も出しやすいはずですが・・・ https://t.co/fsLgD1UzQQ
— ぱらみり(UNDER THE BOOK Jumbled) (@paramilipic) January 24, 2019
日本防衛省は威嚇飛行も呼びかけ無視も否定
自衛隊トップが“威嚇飛行”を否定「韓国側は冷静な対応を」 | NHKニュース
韓国軍が23日、自衛隊機による威嚇飛行があったと発表したことについて、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は、24日の定例会見で、距離は1000メートル以上離れていたとして韓国側の主張を否定したうえで、「冷静な対応を求めたい」と述べ、現場の緊張感を高めないことが重要だという考えを示しました。
この中で、河野統合幕僚長は、韓国側が高度60から70メートルの低空で自衛隊機が威嚇飛行をしたと主張したことについて、「自衛隊の飛行記録では、高度が150メートル以上、距離は1000メートル以上離している」と述べ、韓国側の主張を否定しました。
また、韓国側が無線でおよそ20回、警告したものの自衛隊機から応答がなかったとしている点についても、「呼びかけに対し、国際法などにもとづいて安全な距離、高度で飛行している旨の回答をしている」と述べ、自衛隊側の対応に問題はなかったと説明しました。
「低空飛行」も「威嚇飛行」 も「呼びかけ無視」の事実も全て否定しています。
否定するだけでなく、飛行記録を公開すれば韓国側の虚偽が明らかになると思うのですが、それはやらないのでしょうか?
自衛隊哨戒機の飛行映像・呼びかけ音声は出すのか?
「数十回の警告通信を行い」という韓国側の主張が本当であるならば、映像を撮影する時間的余裕は十分にあったのであり、当然映像公開するでしょう。
呼びかけをしたと言うので、おそらく呼びかけている音声も公開するでしょう。
それが本物なのかどうかは、映像を見て判断しましょう。
日本側としては、飛行記録を出せば終わりな話と思われるので、しばらく相手の出方待ちということになりそうです。
「低高度=威嚇飛行」ではない
低高度の飛行が直ちに威嚇飛行になるわけではありません。
12月のレーダー照射事案で日本の防衛省が150mを基準として提示したのは平時に民間法規に準じた「配慮」をしていたというだけの話です。
軍用機に対して高度制限を課す何らかの国際法規があるわけではありません。
よって、本来的には軍用機の飛行高度は、極端に接近しない限りは問題視されません。
一般的には飛行パターン(飛行態様)が問題視されています。
実際、韓国艦艇に同程度接近した過去の事案は複数あり、何ら問題視されていません。
よって、仮に今回自衛隊機が「距離約540メートル、高度約60~70メートル」の飛行をしていたことが事実だったとしても、それが「威嚇飛行だったか」が問題であって、直ちに日本側に落ち度があるという話ではありません。
「今回だけ問題視した」ことを誤魔化そうとしている
今回の韓国側の言動は、防衛省の最終見解の上図の指摘が痛かったんだと思います。
「12月の事案だけなぜ問題視したのか?」「北朝鮮船舶と何をしていたのか?」
これが争点になってくるからです。
韓国側としては「12月の事案だけ反応した」という印象を薄めるために、早めに別の事案で日本哨戒機の飛行に難癖をつける必要があると考えたのでしょう。
加えて、韓国側が高度150m、距離500mを問題視したことによって、同種事案は今後も問題視し続けるという意思表示であることも考えられます。
レーダー照射の論点ずらし:悪い奴がごね得する
更に、忘れてはならないのが、韓国側は「韓国軍によるレーダー照射事件」を「日本の哨戒機の低空威嚇飛行問題」にすり替えようとしているということです。
基本的に100%悪い者はごねた方がイーブンに持って行ける可能性が上がるのです。
そうした目的からも、今回1月23日の「低空威嚇飛行」を主張したのでしょう。
とにかく韓国は政府・軍レベルでは通用しない印象操作を世界の一般人に対して行うことに腐心していますから。
まとめ:評価の問題ではなく事実認定の問題
ここまで日本側は「未来志向」とか「真摯に努力する」などと言ってきました。
しかし、「数十回の警告通信を行ったが、哨戒機は通信に応じず」などということが、虚偽の事実を捏造しているなら、「韓国は捏造を止めよ」と言わなければならないと思います。
「威嚇飛行か否か」は「事実に対する評価の問題」と見る余地がありましたが、「無線通信に対する反応」については純粋な「事実認定の問題」だからです。
自衛隊員の命にとどまらず日本国の主権を危険に曝す政策判断があってはならないと思います。
以上