神戸市中学校の社会科教材で、「外国人参政権が無いのは差別」などと反日偏向した内容が盛り込まれていたことが情報公開請求によって分かったことを、うえはた のりひろ神戸市会議員がツイートしました。
- 神戸市の中学校の社会科教材で反日偏向
- 人種差別撤廃条約は国籍による区別は禁止していない
- 世界人権宣言は「自国」における権利保障をしてるだけ
- 在留外国人への日本国憲法の人権規定の保障
- 外国人が公務員へ就任すること(公務就任権)
- 外国人が参政権(選挙権・被選挙権)を持つこと
- 法律や条例に基づく住民投票の場合は?
- 在日韓国・朝鮮人に対しての差別ではない
- まとめ:帝国書院について文科省の教科書検定に問題?
神戸市の中学校の社会科教材で反日偏向
【正当な区別も差別と教育か①】神戸市立太山寺中学校の中3社会教材が情報公開請求で開示。内容は現代社会の差別として在日外国人の項目を作り、日本国籍がないから国政への参政権が無い事や公務員になれない当然の区別を差別とし、更に『納税しても参政権ないなど差別』と記載。※書き込みは想定回答 pic.twitter.com/UjlMmCtDmm
— 🇯🇵うえはた のりひろ神戸市会議員 (東灘区選出) (@NorihiroUehata) 2019年12月13日
【正当な区別も差別と教育か②】神戸市立長坂中学校の中3社会教材が情報公開請求で開示。日本社会固有の差別と副題に置いて在日外国人差別の項目を作成し、日本国籍でないために参政権がない、公務員になる事に制限と国際的に当然の区別さえも日本は不当差別をしているかの誘導。※書き込みは想定回答 pic.twitter.com/VJItVCj9XO
— 🇯🇵うえはた のりひろ神戸市会議員 (東灘区選出) (@NorihiroUehata) 2019年12月13日
神戸市議会議員の上畠のりひろ議員が神戸市の中学校の社会科の教育が反日偏向していることを明らかにしました。
大要、「日本では差別があり、たとえば在日外国人への参政権が認められていないことや公務就任権が制限されていることが挙げられる」という内容です。
当然、この資料に書かれている内容(想定回答)は虚偽の捏造です。
人種差別撤廃条約は国籍による区別は禁止していない
International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination
2 この条約は、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、排除、制限又は優先については、適用しない。
人種差別撤廃条約は国籍による区別は禁止していません。
「市民と市民でない者」 は「国民とそうでない者」の意味です。
ここはかなり勘違いされており、また、メディアが積極的に伝えようとしない(隠している)部分でもあります。
世界人権宣言は「自国」における権利保障をしてるだけ
第十三条
1 すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
省略
第二十一条
すべての人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。
すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。
世界人権宣言には法的拘束力はありませんが、ここで規定された権利に法的な拘束力を持たせるため,「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」の2つの国際人権規約が採択され,その後も個別の人権を保障するために様々な条約が採択されています(参考:法務省)
世界人権宣言においても、「自国において」権利を有し、政治参加・公務就任権があるということが明確に書かれており、B規約25条でも「一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。」が保障されているにすぎません。
以下では国内の法体系では在留外国人の権利についてどのように扱われているのかを総合的に示します。
在留外国人への日本国憲法の人権規定の保障
最高裁大法廷判決 昭和53年10月4日 昭和50(行ツ)120(マクリーン事件判決)
思うに、憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。しかしながら、前述のように、外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であつて、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障、すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしやくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。
日本国憲法第十一条では「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と書かれています。
「国民は」とあることから在留外国人の人権保障はどうなるかが解釈問題でした。
マクリーン氏が在留中に行った政治活動が理由となって在留更新不許可処分となったことについて判示したこの最高裁大法廷判決ではこれが争点となりました。
- 日本国憲法3章の人権規定の保障は、「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」を除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ
- しかし、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎないもの
1番と2番はセットで理解しないといけません。
たまに片方だけを論じている人が居ますが不十分な理解ですし、意図的なミスリードとしてマクリーン事件判決の判決文のうち、都合の良い部分だけを示す者が居るので注意です。
これが一般的な在留外国人の人権保障の考え方です。
では、具体的な権利についてはどうでしょうか?これも判例等があります。
外国人が公務員へ就任すること(公務就任権)
マクリーン事件判決では日本国憲法3章の規定は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」を除いて在留外国人にも保障されるとしましたが、外国人が公務員へ就任すること(公務就任権)については法律・規則・判例・慣例があります。
内閣法制局による当然の法理≒国籍条項
内閣法制局 昭和28年3月25日法制局1発第29号
「法の明文の規定が存在するわけではないが、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍を必要とするものと解すべきである」
国家公務員について、1953年3月25日に内閣法制局が上記見解を示しました。
地方公務員についても、1973年に旧自治省が地方公務員にもこの法理が当てはまるとしました。
裁判官や検察官について「国籍条項が無いため反日外国人が紛れ込んでおり司法の汚染ガ―」などと言っている者が居ますが、もちろん当然の法理が適用されています。
国家公務員になることが法律や規則で禁止されている例
教育委員会委員や選挙管理委員会委員などは法律で外国人就任が禁止されています。
国家公務員については人事院規則八-十八の9条3号に記載されています。
第九条 次の各号のいずれかに該当する者は、採用試験を受けることができない。
省略
三 日本の国籍を有しない者
外国人が地方公務員に就任することは限定的に可能
外国人が地方公務員に就任することは限定的に可能です。
実際に外国人が公務員になっている自治体はあります。
ただ、それはいわゆる「ヒラ」の職員の話であり、公権力の行使を職務とする管理職は不可となっています。
公権力の行使を職務とする管理職への就任は不可能
(2) 地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については,次のように解するのが相当である。すなわち,公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。それゆえ,国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし,原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである。
そして,普通地方公共団体が,公務員制度を構築するに当たって,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも,その判断により行うことができるものというべきである。そうすると,【要旨1】普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではないと解するのが相当である。そして,この理は,前記の特別永住者についても異なるものではない。
特別永住者であっても、地方公務員の管理職に就任することは国民主権の見地からは憲法上許されない=禁止されるとハッキリ言っています。
したがって、公務員の就任について制限があるといっても、それが不当な差別だということにはなりません。
外国人が参政権(選挙権・被選挙権)を持つこと
マクリーン事件判決では日本国憲法3章の規定は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」を除いて在留外国人にも保障されるとしましたが、参政権(選挙権・被選挙権)の性質はどうでしょうか?
さらに別の判例を見ていきます。
地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
ところが、傍論部分では以下の判示がありました。
我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
- 外国人のうち、永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの」に対して
- 法律で
- 地方参政権(地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与するを付与すること)
A:上記のような場合に国政ではなく地方参政権を付与することは憲法上は禁止されていないが、B:このような措置を取らなくても違憲ではない。
これもAとBがセットです。
SNS等ではこの判例を「(永住者等であって~特段に緊密な関係を持つ者も含めて)外国人への参政権を付与することは憲法違反である」と判示したものと理解する人が居ますが、間違いです。
同時に、参政権を付与しなくても憲法違反ではありません。
法律や条例に基づく住民投票の場合は?
上記の判決文では「参政権」という語は使われておらず「地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利」としています。
自治体のとある政策についての賛否を問う住民投票など(たとえば沖縄県の米軍基地の辺野古移設のための埋め立ての賛否を問う住民投票など)や、法律で定められた投票(大阪都構想の住民投票など)は憲法上に根拠のあるものではありませんから、この判例の射程外と言え、どのように判断されるかは不明です。
ただ、大阪都構想は【大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令】が公職選挙法の規定に基づくとしており、公職選挙法は日本国民にのみ投票権を与えていますから、明示的に外国人は権利を持っていないことになります。
また、沖縄辺野古の住民投票のように憲法や法律に根拠の無い法的拘束力の無い住民投票であっても、国民主権の原理や「権利の性質上日本国民のみに認められているもの」という考え方からは、たとえ条例のみに基づく投票の場合であっても単なる外国人に投票権を認めることは違憲なのではないでしょうか?
在日韓国・朝鮮人に対しての差別ではない
以上より、在留外国人に対しては一定の人権が付与されているが、それは国民主権の原理によって適切に制限されており、差別ではないということをまとめました。
問題の神戸市の教材では、在日韓国・朝鮮人に対する差別があるという書きぶりですが、権利制限は全外国人に対するものであって、在日コリアンに限って制限をしているわけではありません。
いったいどこの国の考え方なんでしょうか?
兵庫県弁護士会に聞けば荒唐無稽な内容だと指摘されるハズです。そのハズです…
…
まとめ:帝国書院について文科省の教科書検定に問題?
このツイートをしたことで憎悪を煽るなという批判が届いていますが、主権者たる国民の固有の権利である“国政の参政権”が無いことが差別などと明らかに誤りを義務教育で教えている実態を神戸市民に知ってもらう必要があります。教育委員会事務局は帝国書院(池上彰氏も共著者)の教科書を引用と言い訳。 https://t.co/1jLEyQCGrH
— 🇯🇵うえはた のりひろ神戸市会議員 (東灘区選出) (@NorihiroUehata) 2019年12月17日
神戸市の教育委員会事務局は、「帝国書院の教科書を引用」と言い訳したとのこと。
これって本当でしょうか?
本当であれば、それは虚偽の内容の記述が文科省の教科書検定の審査を通ったということを意味するのであって、大問題でしょう。
内容に問題のある教科書が野放しにされているというのはたびたび問題になり、近年では聖徳太子の件でクローズアップされましたが、他にもいろいろとありそうです。
関連:聖徳太抹殺計画:学習指導要領と教科書検定の工作と厩戸王推進派
以上