事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

元文科省の前川喜平「閣僚、中でも宗教を所管する文科大臣の靖国参拝は政教分離違反」と完全な間違いをツイート

前川喜平、宗教を所管する文科大臣の靖国参拝は政教分離違反と間違ったツイート

元文科省の前川喜平が、文科省所管の事項について完全な間違いをツイートしました。

前川喜平「宗教を所管する文科大臣の靖国参拝は政教分離違反」

魚拓1

天下り斡旋という違法行為をしながらお情けで懲戒免職を免れた前川喜平が「宗教を所管する文科大臣の靖国参拝は政教分離違反」とツイートしています。

これは全くの間違いで、文科省に居たものとは到底思えません。

宗教法人法で靖国神社の所管は東京都知事

宗教を所管する文科大臣」という字面が意味不明ですが、「宗教法人を所管する文科大臣」と言いたかったのでしょう。単に「宗教」だけなら、たとえば関連するものとして墓地がありますが、墓地埋葬法の所管官庁は厚生労働省ですから。

しかし、それは法律上、明確に誤りです。

宗教法人法

(所轄庁)
第五条 宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。
2 次に掲げる宗教法人にあつては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部科学大臣とする。
一 他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
二 前号に掲げる宗教法人以外の宗教法人であつて同号に掲げる宗教法人を包括するもの
三 前二号に掲げるもののほか、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人

靖国神社は昭和21年までは国が管理していましたが、それ以降は民間の扱いになり、都知事の管理になりました。他の自治体に本社や分社があるわけではないですし。

「文科省所管の事項」なのに…元文科省の局長がこれでは…

最高裁判例の政教分離違反とは異なる見解

津地鎮祭事件最高裁判例

 (二) 憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動
 憲法二〇条三項は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定するが、ここにいう宗教的活動とは、前述の政教分離原則の意義に照らしてこれをみれば、およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであつて、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。その典型的なものは、同項に例示される宗教教育のような宗教の布教、教化、宣伝等の活動であるが、そのほか宗教上の祝
典、儀式、行事等であつても、その目的、効果が前記のようなものである限り、当然、これに含まれる。そして、この点から、ある行為が右にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するにあたつては、当該行為の主宰者が宗教家であるかどうか、その順序作法(式次第)が宗教の定める方式に則つたものであるかどうかなど、当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく、当該行為の行われる場所、当該行為に対する一般人の宗教的評価、当該行為者が当該行為を行うについての意図、目的及び宗教的意識の有無、程度、当該行為の一般人に与える効果、影響等、諸般の事情を考慮し、社会通念に従つて、客観的に判断しなければならない。

閣僚による単なる参拝行為が津地鎮祭事件最高裁判決の言う政教分離違反=【行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉等になるような行為】とは明らかにならないでしょう。

とすると前川喜平の見解は別の理解なのだろうが、どういう基準で政教分離違反になると考えているんでしょうか?

これでは初詣でも政教分離違反になりかねません。

それを回避しようとして「文科大臣が所管」というロジック()を噛ましたつもりだったのでしょうが、それが完全に間違いだということは既に示した通りです。

以上