事実を整える

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毎日新聞「茂木外務大臣が習近平来日は11月以降」発言は捏造?重要なのは来日条件

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毎日新聞が「茂木外務大臣が習近平来日は11月以降」と発言したと報道しています。

この記事は重要な点が隠されています。

毎日新聞が「茂木外務大臣 習近平来日は11月」と報道

習近平氏来日「11月のG20サミット後に」 BS番組で茂木外相 - 毎日新聞魚拓

 茂木敏充外相は3日夜にBSフジの番組で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっている中国の習近平国家主席の国賓来日について、11月にサウジアラビアで予定される主要20カ国・地域(G20)首脳会議の後になるとの見通しを示した。

 9月には米国で主要7カ国(G7)首脳会議の開催が調整されているが、茂木氏は習氏の来日時期について「外交日程でいうと、どう考えてもG7サミットが先に来るのは間違いない。サウジが議長国で国際世論を形成するG20サミットも日程的に先になるだろう」と指摘した。

毎日新聞が「茂木外務大臣 習近平来日は11月」と報道してますが、ソースは3日放送のBSフジのプライムニュースです。

BSフジのプライムニュースで何と言っていたか?

プライムニュース『茂木外相×宮家邦彦氏 外交青書と日本の方針 米中対立の激化と国益』

番組アンカーの反町氏から茂木外相と元外交官の宮家邦彦氏の対談。

中国関連は39分から。

習近平訪日については49分から

茂木外務大臣の認識が示されるのは52分10秒から

毎日新聞の関連部分は58分30秒から。

ここでは52分あたりからの茂木外務大臣のコメントと宮家邦彦氏の発言、アンカーの反町氏の問いかけも含めて概要を振り返ります。

「言うべきことは言うことが日中新時代を開く」

茂木 今は具体的な日程調整をする段階にないというのは確か。

中国の国家主席の訪日というのは大体10年に1回。前回は2008年。こういう機会を捉えて中国に対して言うべきことは言うということが大切であって、それが日中新時代を開くということにもつながっていく

中国の決めたルールではなく国際社会のスタンダードに則って責任ある態度をとってもらうということが日本だけじゃなくて国際社会全体にとっても極めて重要。

新型コロナが中国から発生して世界に広がったというのは間違いのない事実だけれども、同時にWHOどうなのかという議論もあるので、独立的・中立的な包括的な検証が必要。

香港の問題や東シナ海の問題もそうだが日本だけの問題ではなくて国際社会全体の懸念であると、日中間でこういう懸念を世界がもっているんだということを理解してほしいと言っていくべき。

茂木外相は「具体的な日程調整をする段階にない」としながらも、

「言うべきことは言うことが日中新時代を開く」と言っており、日本側から来賓を呼ぶことを否定してはいません。

しかし、同時に新型コロナ・香港・WHOの問題について指摘していくとも言っています。

中国に対して何を言うか?

反町 主席が日本に来て首脳会談を行い、日中共同文書として香港の問題について国際社会の懸念を日本の安倍総理が示して周首席が返して、日中間でこういうようにしていこうという文言を入れたり、WHOの在り方についてなども、今言ったようなテーマが共同文書に盛り込むのはほとんど無理ではないか?

宮家 普通の国ならあり得る。中国に対してやる価値は私はあると思う。中身がまとまらないようだったら、おそらく来られない。

反町 そこは日本外交の見せ所?

宮家 見せ所でありバランスを見ながら、中国が国際社会の懸念を理解した上での文言になれば、非常に大きな成果。それが嫌なら困りますよ、と言っているうちに時間が経っていくかもしれない。中国が国賓で外国に行く場合には絶対に失敗できない。必ず成功するときは一定の譲歩をしてでも成功させる。それが嫌なら来ない。

反町 コロナの問題の透明性、WHO改革、香港の民主化の問題だとかで一定の譲歩をする言葉を盛り込むことを日中で合意することが中国にとってプラスになるのか?

宮家 ならないでしょう。でも、そうせざるを得ないでしょうと。日本だって当たり障りのない紙を作ってさよならということなら、ああ中国は国際社会に認められたんだ、という事になってしまいますから、そんなわけにはいかないわけですよ。言うべきことを言ってそれができないならちょっと時間かけてやりましょうということになる。

宮家邦彦氏からは日中間で来日するならば事前にどういう内容を決定するのか調整するだろうと。調整がつかなければ中国の習近平は来られないだろう、ということを言っています。

ここが重要です。

「外交日程的に見るとG7、G20サミットが先に来る」

茂木 外交日程的に見るとG7のサミットが先にくるのが間違いない。そこで中国の問題だとか今回のコロナ対応について議論し、G7として声明をだす。さらにはG20でも話し合って世論形成をする必要がある。その上での話ということ。宮家さんが話した通り、中国は成果を挙げなければならない。日本としてもお迎えをする以上は成果を挙げなければお互いにとって意味が無い。そこで様々な事前の調整、外交手腕が試されるんだと思う。

G7は9月以降、G20は11月以降を予定しているため、毎日新聞の記事にあるような発言を茂木外務大臣が言っていたというのは否定できないでしょう。 

しかし、一連の話を聞くと、注目すべきは来日時期ではなく「来日条件」だという事が言えます。

注目すべきは来日時期ではなく「来日条件」

茂木外務大臣は来日を前提として前のめりに時期に言及したのではなく、宮家氏も触れた「来日条件」について触れた上で、仮定の話として論じているに過ぎません。

「来日条件」とは、宮家邦彦氏が発言した内容も一定程度関係してきます。

要するに「G7等で中国が譲歩せざるを得ないような国際社会の共通認識を作り、それに基づいた日本の要求に中国が応じるかどうか」が問題ですよね、そこが事前の日中間の協議ですよと、嫌なら中国の習近平側から断ってこい、という話なのです。

要するに

  1. チャイナ側から来日を断る
  2. チャイナ側が譲歩せざるを得ない状況にして来日させる

こういう状況を作ろうという攻めの姿勢なわけです。

「習近平は来るな!」と言っているだけでは出てこない発想でしょう。

毎日新聞の記事は、この話の流れを無視して来日時期のみに言及しており、我々の茂木外務大臣の意図を理解するための役に全く立っていません。

中国共産党のプロパガンダに加担する毎日新聞

毎日新聞は中国共産党のプロパガンダ紙であるチャイナウォッチを拡散しているとイギリスのガーディアン紙の調査報道で指摘され、それについて大高美貴氏が公開質問状を送ったところ実質的に報道内容を認める対応をしています。

毎日新聞の報じ方があのようなものになるのは当然だろうと思います。

以上