事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

2020年版:日本と韓国の性犯罪率、強姦強制わいせつの統計

2020年版の日本と韓国の性犯罪率統計について整理しました。

※2021年4月13日追記:暗数について

国連薬物犯罪事務所における性暴力の統計データのソース

国連の機関である国連薬物犯罪事務所"United Nations Office on Drugs and Crime"のページに世界中の犯罪に関する統計があります。

https://dataunodc.un.org/data/crime/sexual-violence 魚拓1 

今回はその中で"Sexual Violence"についての統計を抽出します。

これは性犯罪=日本の犯罪類型で言えば「強姦+強制わいせつ」の数値です。

なお、データを他の国との比較において言及する際の注意書きがあります。

私からの補足も加えると、犯罪の法的な定義、司法における認定方法、認知件数(被害を申し出る人が多いか少ないかも関係する)、報告の仕方(認知件数で揃えていると思うが親告罪か非親告罪かを意味するかもしれない)、などによってデータの意味にバラツキがあり得るので、あくまで参考として扱うべきということになります。

日本の場合は認知件数で報告しているようです。

日本と韓国の刑法は構成要件が似ていますが、認定の仕方は異なり得るし、被害の申し出の文化の違いも考慮する必要があります。

日本と韓国の性犯罪率、強姦(強制性交)と強制わいせつの統計

最新版の日本と韓国の性犯罪統計

人口10万人あたりの性犯罪件数について日韓の数字を抽出しました。

韓国のデータが登場するのが2006年からなのでそれ以降の数値です。

日本は2017年のデータは反映されていません。

なお、日本では2017年から「強制性交罪」として男性に対する強制性交が従来の強姦罪と同様の扱いになり、さらには親告罪から非親告罪となりましたので、統計に影響を与える法改正があったと言えます。

抽象的には対象が広がったと言えるので、今後は数字が上がる可能性があります。

日本の性犯罪率は減少傾向、韓国は上昇傾向

日本の性犯罪率は減少傾向であると言えます。

他方、韓国は上昇傾向、と言えるでしょう。しかも上昇幅が大きい。

両者の数字を比較すると、韓国の方が日本より約3.5倍~7.8倍の数値ということになります。

韓国以外の世界の他の国の犯罪率

世界一性犯罪が(統計上)多いと言われているスウェーデンは2017年で10万人あたり190.6件であり、韓国の4倍以上です。

その他、同年の数値についてオーストラリアが101.5、ニュージーランドが126.0、アイスランドが142.3、ノルウェイが106.4、コスタリカが191.2(急激に伸びた)、パナマが114.1、グレナダが179.5、などとなっています。

ちなみに、なぜかアメリカ合衆国とイギリスの数値はありません
※エクセルファイルのアイコンからDLできるデータとHP上の地図グラフィック部分の話。HP上のテーブルとそのテキストデータのDLファイル上ではイギリスの数値は地域毎に載っていた。イングランド&ウェールズという括りで2017年は257.2、スコットランドは214.3、北部アイルランドは179.4となっている。

国際的な統計において、なぜかこの2国関係の数字が出てないケースが多い気がします。クルーズ船の新型コロナウイルス感染状況は日本のDP号以外に統計情報として公開されていない(イギリス船籍でアメリカが運営会社など)という事もあり、どうなってるのでしょうか?

過去の性犯罪統計とこの統計の信用性

2018年版日本と韓国の性犯罪率:強姦強制わいせつの統計 - 事実を整える

2年前は2014年までの数字を扱っていました。

数字にズレがあり原因は不明ですが、日韓においては概ね同様の数値です。

世界中の国のグラフを眺めていましたが、数字の変動が異常な国が多々ある上、まともに報告していない国も複数あり、単年度での評価や他の国同士の比較として安易に用いるのは危険だと思います。

この数字が現実の治安の良し悪しを表しているのではなく、渡航の際には外務省や現地大使館の情報を見ていくのが一番正確でしょう。

以上