香港への国家安全法制導入について、英米が非難する共同声明を出し、共同通信が「声明に参加するよう要請したが日本が拒否」と報道しましましたが、どうも不審な状況になっています。
共同通信「中国批判声明に日本が拒否」報道
日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も | 共同通信(魚拓)
【ワシントン共同】香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日分かった。複数の関係国当局者が明らかにした。中国と関係改善を目指す日本側は欧米諸国に追随しないことで配慮を示したが、米国など関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている。
新型コロナの感染拡大などで当面見合わせとなった中国の習近平国家主席の国賓訪日実現に向け、中国を過度に刺激するのを回避する狙いがあるとみられる。ただ香港を巡り欧米各国が中国との対立を深める中、日本の決断は欧米諸国との亀裂を生む恐れがある。
「米国や英国などの共同声明」というのは米英加豪の4カ国によって5月28日に出された声明のことです。
Joint Statement on Hong Kong - United States Department of State
青山繁晴議員が虚偽と非難
みなさん、決して、欺されてはいけません! (すこし書き足しました)|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road(魚拓)
▼共同通信による「香港をめぐって日本が中国に配慮し、中国を批判するための国際連携を断った」という趣旨の報道は、極めて悪意のあるねじ曲げです。
誤報と言うより、つくられた虚報です。虚偽によって世論を誘導する典型例であり、これに乗せられて、激昂するコメントも届いていますが、悲しいことです。
なぜなら、公開情報を持ってしても、公開済みの情報を集め整理するだけでも、これが虚報であろうということがお分かりになるはずだからです。
元共同通信記者の参議院議員青山繁晴氏は明確に「つくられた虚報」と指摘してます。
そして、公開情報を整理するだけで虚報だと断言できるとも指摘しています。
産経新聞が記事を削除
共同通信のこの記事は報道各社においても転載されていましたが、産経新聞においては記事が削除されました。
魚拓URL:https://archive.is/7dfYx
虚報だと気づいたのでしょうか?
なお、昼過ぎの時点でも他社の後追い取材の結果が報道されていません。
ファイブアイズ-ニュージーランドの声明だが
Joint Statement on Hong Kong - United States Department of State
香港に関する米英豪加声明に日本が入らなかったとの報道(「拒否」が嫌なら「見送り」でも同じ)。
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) 2020年6月7日
ファイブ・アイズが他国を誘うことはあり、今回はEUにも誘いが。しかし参加見送り。ボレル上級代表は「自分たちの声明があるので他人のに参加する必要はない」と説明。https://t.co/PGjDlqgTxk
このFT記事だと、今回の局面では、G7よりもファイブ・アイズを使うのが米国の方針とのこと。気心通じ、迅速に動けるから。
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) 2020年6月7日
そこからアウトリーチの際に、EUが入っていて日本が入っていなければ、その方が問題。検証すべきは、いつどのレベルで誘いがあり、どう対応したか。https://t.co/YvjHGlAGkZ
ファイブアイズが声明を出す際に他国を誘うことはあり、今回はEUにも誘いがあったが、独自の声明を出すため参加は不要と説明したという報道などがあります。
日本としては「誘いがあったのか」、「誘いがなかろうが、独自の声明を出す気はあるのか」という点が争点になってくるでしょう。
公開情報から共同の記事が捏造と言えるか
鶴岡路人氏も引用しているフィナンシャルタイムズのWashington looks to Five Eyes to build anti-China coalitionという記事にヒントのようなものがあると思います。
Nick Burns, a former senior state department official who attended the 1997 Hong Kong handover to China, said the Five Eyes could turn out to be a “powerful voice” on the issue, describing the signatories as longstanding allies, democracies and countries with a history of commitment to Hong Kong.
1997年の香港の中国への引き渡しに携わった元国務省高官ニック・バーンズは、ファイブ・アイズは、この問題に関して「強力な声」になる可能性があるとし、署名国は長年の同盟国で、民主主義を有し、および香港へのコミットメントをしてきた歴史のある国だと説明しています。
A state department official told the Financial Times: “This is about co-ordinating diplomatically to address a human rights issue of fundamental importance to all four countries, and about the long history of values we all share.”
国務省の担当者はフィナンシャルタイムズにこのように語りました。「これは、4カ国すべてにとって根本的に重要な人権問題に取り組むための外交的調整、および私たち全員が共有する価値の長い歴史についてです。」
これを読むと、ファイブアイズとしてまとまった声明を出す方が、他の国を参加させることよりもメッセージが明確になるという目的で4カ国にした(ニュージーランドは間に合わなかったと記事にある)と読めます。
たしかにファイブアイズは英語圏であり、イギリス市民権を得た後に亡命先として選ばれるかもしれませんから、最も利害関係を有する国々であるとは言えると思います。
ただ、「EUは誘われたが断った」という情報やニュージーランドが除外されていることからは、体のいい説明に過ぎない可能性もあります。
確定するにはまだ他の公開情報が必要だと思います。
※注:前掲ツイート中で引用されているEUの記者会見の質疑応答の内、「EUが誘われた」ということは確認できませんでした。
なお、政党単位、国会議員個人の単位では日本からも非難声明や署名が出されています。
日本維新の会は、香港情勢に関する声明を発表しました
— 片山 大介(参議院議員) (@katayamayusuke) 2020年5月27日
『国家安全法』は、香港の「一国二制度」を否定するものです
中国政府に対し、自由で開かれた社会を維持することの重要性を訴え、国家安全法の導入を撤回し、統制強化の動きを自制するよう求めています
言うべきことは言わなくてはいけません pic.twitter.com/ueAtZBCw6j
香港国家安全法“アングロサクソン連合”が中国と全面対決 英国は香港市民290万人受け入れ方針(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース
最後の香港総督を務めたクリストファー・パッテン英オックスフォード大学学長が主導する共同声明には100人以上の日本の国会議員を含む36カ国の728議員の署名が集まりました。
以上