事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

マスク転売ヤー終了のお知らせ:緊急措置法の適用で転売禁止方針

日本政府はようやくマスク転売規制に乗り出すようです。

追記:政令が出たのでの抜け穴等は以下

マスク転売ヤー死亡のお知らせ:転売禁止方針

マスク400万枚売り渡し指示 “緊急事態”北海道に配送へ - FNN.jpプライムオンライン

政府は来週にもマスクの転売を禁止する方針だが、緊急措置法の26条を適用し、懲役5年以下、または、300万円以下の罰金を科すことを検討していることがFNNの取材でわかった。

政府は「企業に対してマスク400万枚売り渡し指示」 とは別に、マスクの転売を禁止する方針であるというFNNの取材内容です。

「緊急措置法」とは

「緊急措置」という語を含む法律で一般国民の生活に関するものは

  • 【生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律】
  • 【国民生活安定緊急措置法】

この2種類があります。

今回は後者の【国民生活安定緊急措置法】の適用が検討されているということです。

なお、前者は「多量に保有」が要件なので、市場における製品の相当程度の割合の物量を差配可能な企業などの大規模組織を対象にすることが念頭にあるようで、今問題になっている「転売ヤー」の規制については適用できないのでしょう。

前者はできることが「市場に製品を流通させようとしない者に対する」「売渡し」とその違反に対する罰則に限られるので、高額転売そのものをダイレクトに規制することができません。

国民生活安定緊急措置法26条

国民生活安定緊急措置法

(割当て又は配給等)
第二十六条 物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、別に法律の定めがある場合を除き、当該生活関連物資等政令で指定し、政令で、当該生活関連物資等の割当て若しくは配給又は当該生活関連物資等の使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。
2 前項の政令で定める事項は、同項に規定する事態を克服するため必要な限度を超えるものであつてはならない。

国民生活安定緊急措置法26条では生活関連物資等について「譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。」とあり、かなり広範囲な措置がとれるような規定になっています。

「生活関連物資等」は政令で定めるということになっているようです。

この場合の政令は「国民生活安定緊急措置法施行令(昭和四十九年政令第四号)」 ではなく、今後別途公示される政令となります。

追記:3月11日に公布されました。購入価格を超える金額での転売行為を行うと1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科となります。

既に経済産業省がオークション自粛要請を通知

マスクや消毒液やトイレットペーパーの状況 ~不足を解消するために官民連携して対応中です~ (METI/経済産業省)

マスク、消毒液等について(3月5日)
マスク及び消毒剤のオークション出品の自粛
経済産業省では、転売目的での買い占めを防止するとともに、既に転売目的で保有しているマスクを市場に供給するため、従来の高値取引の自粛から更に一段取り組みを進め、一定期間後オークションへの出品自体の自粛を求めます。

具体的には、ネットオークション事業者に協力を求め、令和2年3月14日(土)以降当分の間、マスク及び消毒液の出品の自粛を要請します。

この要請を受けて、令和2年3月4日(火)に、3月14日(土)以降当分の間、ヤフオク!におけるオークション形式のマスク出品を禁止することを発表しました。

法律制定・施行前はどうなのか?

既に経済産業省がマスク・消毒液等についてオークション自粛要請を各界に通知しています。

「ヤフオク!ガイドライン細則の改定について(マスク等の出品について)(2)」 -お知らせ - ヤフオク!

ヤフオク!では、日本全国でのマスクや消毒液の品薄状態を受けて、緊急事態に際し、個人間取引が及ぼす社会的影響を鑑み対策を実施してまいりましたが、経済産業省の要請を受けて、本日よりマスクの適切な価格かつ小ロットでの販売推進に関する対策を強化をするとともに、2020年3月14日(土)以降当分の間、ヤフオク!におけるオークション形式のマスク出品を禁止することにいたしました。

経産省の要請を受けてヤフオクはオークション形式のマスク出品を禁止しました。

増産で対応できなかったか

日本政府は当初、マスクの増産によって品薄の解消を図っていました。

しかし、薬局等が入荷しても朝一で転売ヤーが買いに行ったり、医療関連商品の個人輸入代理店の中国人が、医療関係企業に優先販売されるマスクの横流しを受けて転売するなどする事例があり、不十分だと思ったのでしょう。

参考:マスク転売で2000万円 新型コロナでボロ儲けする中国人美女(FRIDAY)

台湾は輸出制限や販売制限などを2月頭には行っていたようであり、日本の対応は遅きに失したと言えますが、やらないよりマシでしょう。おそらく増産したらしたで生産ラインを元に戻すのが大変でしょうから、最初から無理な話だったんだろうと思います。

以上