事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日本学術会議元会員の増田善信「政府案は推薦者をそのまま任命」「比例は共産党」

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日本学術会議の元会員を名乗る増田善信が「推薦者をそのまま任命する政府案を飲んで推薦制になった」と主張していますが、他のツイートを見ると…

増田善信「政府案は推薦者をそのまま任命」

 魚拓

日本学術会議の公選制時代の会員を名乗る増田善信が「推薦者をそのまま任命する政府案を飲んで推薦制になった」と発信しています。

これは既に10月6日にFacebookで主張し、松宮教授も引用するなどしていましたが、更新頻度の低いTwitterでも発信しました。

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日本学術会議公選制会員の増田善信「私はJCPサポーター。比例は共産党」

魚拓

魚拓

「比例は共産党」と言っていることから共産党支持者でした。

「学術会議は科学を戦争に使わせないため」は政治目的

このアカウントの中の人が本当に増田善信氏本人だとすれば95歳らしいです。なので、これだけSNSを使っているのは普通に凄いことではないかと思います。

ただ、この話の真偽のほどはともかくとして、仮に本当であれば、学者の側も大きな顔なんてできるはずがないのではないでしょうか?

増田氏はFacebookでは「そもそも学術会議は、前の戦争の時、科学者・技術者が軍に協力したことを反省し、二度と科学を戦争には使わせないことを誓ってつくられたものだ。」としていますが、この見解であれば、日本学術会議は学問をやるところではないということの証左でしかありません。ただの政治運動でしょう。

また、この理解は日本学術会議の設立趣旨・目的、日本学術会議法の規定にも反します。

昭和23年6月15日参議院 文教委員会

○國務大臣(森戸辰男君) 日本学術会議法案について提案理由を御説明申上げます。
 本法案の規定いたしまする日本学術会議は、内閣の所轄に属することが予定されておるのでありますけれども、設立の準備事務を文部省に委託されましたので、その関係から私が御説明をすることになつておるのであります。 さて、敗戰後の我が國が貧困な資源、荒廃して産業施設等の悪條件を克服して、文化國家として再建すると共に、世界平和に貢献し得るためには、是非とも科学の力によらなければならないことは申すまでもございません。従來我が國の学界を顧みますと、個々の研究においては優れた成果が必ずしも少いとは言い得ないに拘わらず、その有機的、統一的な発達が十分でなく、全科学者が一致協力して現下の危機を救い、更に科学永遠の進歩に寄與し得るような体制を欠いていたことは、科学者みずからによつて指摘せられていたところであります。ここにおいて我が國從來の学術体制に再檢討を加え、全國科学者の緊密な連絡協力によつて、科学の振興発達を図り、行政、産業及び國民生活に科学を反映滲透させる新組織を確立することが、科学振興の基本的な前提となるであります。言い換えれば、科学者の総意の下に、我が國科学者の代表機関として、このような組織が確立されて、初めて科学による我が國の再建と、科学による世界文化への寄與とが期し得られるのであります。この法案制定の理由は、右のような役割を果し得る新組織、即ち科学者みずからの自主的團体たる日本学術会議を設立するにあるのであります。

ざっくり言えば「科学者の力を十分に活用できなかったことを反省して、横の繋がりを作れる場を確保しよう」ってことです。

学問の自由はまったく関係ないことはないですが、学問の実践が第一義的な目的なのではなく、その先にある国民生活への還元に資する形であることを国家戦略として規定しているのです。 

ところが、現在の日本学術会議の構成は、その委員の属性に偏りがあります。 

こうした現状を是正するため、という理由であれば、内閣総理大臣による任命拒否は十分に正当性があるでしょう。

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