事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「未知の核物質」烏賀陽氏「自分の発言ではない・切り取り・ウソ・悪質デマ」福島第一原発ALPS処理水海洋放出

詭弁の見本市

「未知の核物質」烏賀陽弘道:福島第一原発処理水

元朝日新聞記者でフリー記者の烏賀陽弘道氏がX(Twitter)で福島第一原発のALPS処理水海洋放出に関連して「まったく成分すらわからない未知の核物質であるメルトダウンしたデブリ」「人間が近づくと即死するような危険な物質であることだけはわかってます」と投稿。魚拓:https://archive.is/Ku2tt

これについて批判が殺到した後、いったんは当該アカウントが凍結されましたが、別アカウントでとんでもない事を言い始めます。

※「凍結から復活」と書いてましたが未だ凍結されています。

「自分の発言ではない・切り取り・誰かがウソを混ぜて悪質デマ」

烏賀陽氏はなんと、「私が未知の核物質と言った、と誰かがウソをばら撒いた」と投稿。魚拓:https://archive.is/aCnbu

もちろんこれは歴史捏造・歴史改変ですが、本人は自身の著書で「デブリ全量の成分はわからない。成分は不明」と書いてきたと説明し、投稿もその趣旨だとしています。

リプライの投稿でも「成分、組成という私の文意とすり替えて」「スミア・キャンペーン(=嘘で評判を貶める行為)」などとゴールポストを動かしています。

魚拓:https://archive.is/nrHJ3

自身を擁護する他者の投稿:https://archive.is/usSiHにも反応し、「批判者は元素が核物質だと思い込んでいる」とストローマン論法をしています。https://archive.is/FpiBc

核物質・核燃料物質の定義と福島第一原発の燃料デブリ

「核物質」の意味は国際原子力機関憲章に定義された「原料物質」と「特殊核分裂性物質」のことを指します。類似用語として「核燃料物質」があり、原子力基本法3条2号及び3号で定義され、核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令で具体的に書かれています。

原料物質とは、天然ウラン、劣化ウラン及びこれらの金属、合金、化合物をいい、一方で後者の特殊核分裂性物質とは、プルトニウム239、ウラン233、ウラン235の濃縮ウランを含む物質をいいます。核燃料物質も類似の意味です。

つまり、具体的な分子配列が不明であっても「核物質」と書いた時点で、上掲の放射性核種を含む物質であることを意味しますから、「まったく成分すらわからない」ということにはなりません。

そして、元投稿に付けられたコミュニティーノートにも貼られていたリンク先でも、燃料デブリの成分分析結果は原子炉周囲の物質の構成を示した上で既に公表されており、未発見の核物質が発見或いは予見されているということはありません。

>福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリおよび放射性廃棄物の処理・処分に関する研究https://jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/67/12/67_671203/_pdf

>日本原子力学会 「燃料デブリ」についてhttps://www.aesj.net/document/aesj-ps022.pdf

もっとも、これは現在の調査結果によっては、ということであり、今後の調査によって未発見の核物質が発見される可能性がゼロとは言い切れません。例えば、アインスタイニウム(Es)とフェルミウム(Fm)は水素爆弾の放射性降下物の中から発見されました。

が、そのような巨大なエネルギーが発生したわけでもない原子炉の溶解に関して、既に上掲のような調査結果が出ている以上、「未知の核物質」の存在を主張する側が証明する必要があります。

福島や日本に対する風評加害行為とディスインフォーメーション

さて、「自分はこう思っていた」として表記された文字とまったく異なる意味を主張されてはコミュニケーションは成り立ちません。一般通常人によればどのような理解になるか?という客観的な評価が必要です。

しかも、烏賀陽氏は【まったく成分すらわからない未知の核物質であるメルトダウンしたデブリ】【人間が近づくと即死するような危険な物質】【であることはわかってます】と断定しているので、「組成が不明だという意味だ」などという言い訳は意味を為しません。

したがって、烏賀陽氏の投稿は最初から事実誤認が含まれており、それは読み手の文意の解釈・理解の仕方の齟齬ではなく、しかしながら烏賀陽氏はそれを糊塗するかのように元投稿の自身の発言の一部を隠蔽してゴールポストを動かし、指摘した者の主張を勝手に歪めてストローマン論法をしている、挙句の果てにその反論は元の投稿の誤謬を治癒するものではないということになります。

ALPS処理水の海洋放出が始まると福島や日本に対する風評加害行為・ディスインフォーメーションが夥しい数発生しましたが、こうした主張は全てデータによって否定されています。