伊藤詩織さんに対し山口敬之氏が1億3千万円請求する反訴!
— 牟田和恵 (@peureka) April 4, 2019
批判するとともに、性被害を告発する女性たちへの攻撃の背後にある男性の性的特権意識について書きました https://t.co/ZuRaKR1sI0
大阪大学人間科学研究科の牟田和恵教授が伊藤詩織vs山口敬之の事案について記事を書きました。しかし、この記事には重大な事実誤認がいくつも含まれています。
いくつかは以下のブログが指摘していますが、私が改めて読んでみたら、更なる問題点が見つかりました。
牟田和恵 大阪大学教授の「伊藤詩織さんに対する山口敬之氏反訴を許さない」文章に2つの疑問 | 以下略ちゃんの逆襲 ツイッターGOGO
- 山口敬之は「性被害ビジネス」とは言ってないのに
- 裁判を受ける権利を否定する大阪大学人間科学研究科の牟田和恵教授
- 反訴が民事裁判を「ストップ」させるというトンデモ論
- 伊藤詩織への「犯罪を行ったことを自ら証明」している?
- 民事と刑事の区別がついていない牟田和恵教授
- 重大な事実誤認をした牟田教授、評判・業績に傷がつくのが心配
山口敬之は「性被害ビジネス」とは言ってないのに
「性被害ビジネス」!?!
私は以前WAN上に、山口氏やその擁護者たちが、いかに男性中心的で身勝手な思考に凝り固まっているか、いわゆる「強姦神話」に浸りきっているかを、「強姦神話」を暴く---山口敬之氏手記を批判するで書きました。言うまでもなく、彼への批判は他にも多々ありました。しかし氏は、反省どころか、今度はなんと伊藤さんが氏を「性被害ビジネスに利用した」と言っているのです。
しかし、これは山口氏本人も否定してますし、発信元のサイトも誤りを認めています。
山口 敬之 - 【情報速報ニュースが謝罪】 「性被害ビジネスに利用した」など 私が発言していない事を、... | Facebook
裁判を受ける権利を否定する大阪大学人間科学研究科の牟田和恵教授
呆れるほかないニュースが飛び込んできました。性暴力被害を告発した伊藤詩織さんに対し、当の相手方である山口敬之氏がなんと1億3千万円の損害賠償を求めて反訴したというのです(https://www.excite.co.jp/news/article/Weeklyjn_18197/ 他)。
伊藤さんは山口氏を相手取って民事裁判をしており、審理が進んでいます。山口氏の反訴は、この動きをストップさせ、逆に再び伊藤さんを脅して口をふさごうとする意図があからさま。到底、許しがたいです。
呆れるほかありません。
憲法32条では「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」と規定しています。牟田教授は自分たちには憲法をも凌駕する特権が付与されているとでも思っているのでしょうか?
反訴をすることは許し難いって、それは法の下の平等を定めた憲法14条に反する思想です。
反訴が民事裁判を「ストップ」させるというトンデモ論
民事と刑事は違う
伊藤さんは山口氏を相手取って民事裁判をしており、審理が進んでいます。山口氏の反訴は、この動きをストップさせ、逆に再び伊藤さんを脅して口をふさごうとする意図があからさま。到底、許しがたいです。
反訴というのは、本訴の手続の中で同時に審理されるものです。
ですから、「反訴の内容をすべて審理し終えなければ本訴の審理ができない」などという状況はほとんど想定できません。
もっとも、牟田教授の言う「ストップ」は完全に審理を止めることではなく、「遅延」という意味合いだったのかもしれません。
しかし、その場合であっても、訴訟手続の遅滞の懸念は、既に反訴を提起するための要件として、民事訴訟法において考慮されています。
民事訴訟法 第百四十六条
被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。
二 反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
以下略
反訴の提起によって訴訟手続を著しく遅滞させるときには反訴の提起がそもそも出来ないのです。牟田教授はこの法律を知っていたのでしょうか?
しかも、この裁判で山口側が遅延させて何か得をするのでしょうか?
「口をふさごうとする意図」などと言いますが、最初に訴訟を提起したのは伊藤詩織側です。「係争中なので発言は控えさせていただく」というような場合があったとして、それは伊藤氏側が撒いた種です。
今回の事件の構造上、反訴を提起したからといって新たに伊藤氏側が口を閉ざさなければならない事項なんて無いでしょう。
なぜそれが山口氏側のせいになると言うのでしょうか?
伊藤詩織への「犯罪を行ったことを自ら証明」している?
民事と刑事は違う
伊藤さんを攻撃する人々の論拠でよくあるのは、山口氏が検察の起訴を免れていることです。山口氏は、自らのフェイスブックにこのように書いています。(※:target="_blank"山口 敬之 - 【訴訟提起のご報告】... | Facebook)
「『うら若き女性が被害を申し出たのだから真実かもしれない』と憶測を巡らせるのは個人の自由です。しかし女性の訴えはすでに、検察と検察審査会によって、2度にわたって退けられています。犯罪捜査のプロである検察官と、一般国民11人からなる検察審査会が、全ての証言と証拠を詳細に検証した末に退けた女性の訴えを、それでもなお正しいと主張するのであれば、根拠を示すのは当然の義務です」。
「もし、何の根拠も示さずに『あの人物は犯罪者である』と断定し公に流布するなら、その主張そのものが犯罪です」。氏は、「何の根拠も示さずに」と言っていますが、自ら送信したメールや雑誌等での手記や発言で、嘔吐を繰り返していた伊藤さんが自らセックスを望んだとか、コンドームもせずに行為に及んだなど、非合理な理屈付けで伊藤さんの意に反した性行為を行ったことを自ら証明しておられるのですが、、、。
しかし、牟田教授が指摘する事実だけでは、「犯罪」を証明する事実とは言えません。
(コンドームしなかったことが「犯罪の証明」って何だよ)
この記事上で牟田氏が書いたような状況も含めて検察や検察審査会は犯罪の嫌疑が不十分であると判断したのであって、犯罪であることを「自ら証明」と言うのは無理があります。
せいぜい民事上の不法行為であると評価されうる事実であって、犯罪と言うためには追加的な事情が必要です。
そもそも、上記の山口氏のフェイスブックの記述を見れば明らかなように、「何の根拠も示さずに」の名宛人は伊藤詩織ではなく、漫画家の小林よしのりです。
参考:牟田和恵 大阪大学教授の「伊藤詩織さんに対する山口敬之氏反訴を許さない」文章に2つの疑問 | 以下略ちゃんの逆襲 ツイッターGOGO
その漫画の内容は「山口氏が伊藤氏に睡眠薬を飲ませてレイプした」というものです。
更にいえば、「睡眠薬=デートレイプドラッグ」については、伊藤詩織が提起している民事訴訟の中においてすら主張されていないのです。
被害を受けたと主張する者ですら触れていない内容を、なぜ漫画家が事実であると断定しているのか?その根拠を示せと言うのは当然のことでしょう。
(この場合は名誉毀損なので、社会的評価を低下させる事実の適示をした以上、真実性の証明等の立証責任が小林側に課せられる)
民事と刑事の区別がついていない牟田和恵教授
しかし、犯罪として国家による裁きを受けることと、他者の行為が不法であるとして個人間で民事で争うことはレベルが全く違います。刑事では罪に問えなくとも民事で勝った、という例はよくあることで、山口氏の「犯罪とは認められなかったのだから真っ白」のような論法はごまかしと言わざるを得ません。代理人もついているのですし、民事と刑事の違いくらい承知しておられるはずですが、わざとそれを無視しているのでしょうか?
上述のように、民事と刑事の違いを無視してるのは牟田教授でしょう。
山口氏が「民事でも真っ白」 と言っていたとして、山口氏側の不法を立証すべきなのは伊藤氏側です。山口氏側の方から積極的に「真っ白」であることを立証しなければならないという事はありません。なぜそれが「ごまかし」になるのでしょうか?
「刑事事件で起訴されなかったが、民事では不法行為になる可能性があるので、山口氏はそれ以上の根拠を示さなければならない」という論法の方が、主張立証責任の分配の観点からはごまかしと言って良いでしょう。
(名誉毀損とは異なる民法上の不法行為のため)
そのあたりの訴訟構造の理解、大丈夫なんでしょうか?
重大な事実誤認をした牟田教授、評判・業績に傷がつくのが心配
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— ギンタ@消費税💴増税ノー👐 (@gintatakamatu) July 19, 2018
ゆがめられた報告書
フリージャーナリスト #伊藤詩織 さんのインタビュー記事も😆😆 #MeToo
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私はなにも、牟田教授が伊藤氏を擁護するのはおかしいなどと言ってるのではありません。
普段から人権がどうのと言ってるのなら、その観点からは有り得ない主張をしてるのが問題だと言ってるに過ぎません。
山口氏は「根拠なく私を誹謗中傷した全ての人物や組織と闘っていきます」と言っています。今後の展開次第では、牟田教授も提訴を免れないでしょう。
以上