事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

健康保険証・運転免許証をマイナンバーカードとの一体化:「運転免許証を廃止」は誤り、河野太郎デジタル相発表の報道

混乱が見られるので整理

現行の健康保険証を原則廃止 2024年にマイナンバーカードと一体化へ

健康保険証廃止、24年秋「マイナ保険証」に一本化…河野デジタル相「医療の質が向上する」 : 読売新聞オンライン

河野デジタル相、マイナ保険証の「義務化」を表明 24年秋にも | 毎日新聞

河野太郎デジタル相は、10月13日に記者会見し、マイナンバーカードに関しては以下表明しました。

  • 現行の健康保険証について、2024年秋の廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりに使う「マイナ保険証」に一本化することを目指す方針
  • 運転免許証とマイナンバーカードの一体化も、従来示してきた「2024年度末」から、開始の前倒しを検討する考えも示した

デジタル社会の実現に向けた重点計画|デジタル庁

こうした報道があるなかで、一部で誤解が広まっているようです。

「運転免許証を廃止」は誤り、健康保険証と共にマイナンバーカードとの一体化

さて、「運転免許証を廃止」という情報がネット上では飛び交っています。

それは誤りで、報道にもあるように現行の健康保険証は廃止の方針だが、運転免許証はマイナンバーカードとの一体化をすすめるということです。

では、なぜこのような情報が出たかと言えば、FNNの以下記事が原因です。

【速報】現行の健康保険証を原則廃止 2024年にマイナンバーカードと一体化へ 河野デジタル相が発表|FNNプライムオンライン

https://www.fnn.jp/articles/-/430055

上掲の記事は修正後のものですが、修正前は以下のようになっていました。

【速報】現行の健康保険証と運転免許証を原則廃止 2024年にマイナンバーカードと一体化へ 河野デジタル相が発表 経済部 2022年10月13日 木曜 午前10:19

ページソースを見ると、12時44分55秒に修正されていたようです。

魚拓も残っていたのでリンクを貼っています。

※追記※

河野デジタル相会見 “紙の保険証”廃止でマイナカード一本化へ|FNNプライムオンライン

https://www.fnn.jp/articles/-/430047

こちらのURLでは「紙の保険証廃止」とあり、本文では「紙の健康保険証や運転免許証を2024年にも原則廃止して」と、運転免許証も含めて言及しています。
※紙といっても運転免許証に関しては紙とICチップをラミネート加工した物体ですが

交付される物体としての「証」に関するもの、という意味なので、間違いとは言えないでしょう。健康保険証も運転免許証も、いずれにしても概念としての「証」は存在し続けるわけですから。

※※追記終わり※※

そして、免許証の交付との関係については、既に法改正が為されています。

免許取得時に運転免許証は交付され、希望によりそれに代わる免許情報記録個人番号カードが交付される

閣法 第208回国会 52 道路交通法の一部を改正する法律案

●道路交通法の一部を改正する法律案

道路交通法の一部を改正する法律案:参議院

第四条 道路交通法の一部を次のように改正する。

~省略~

第六章第三節中第九十五条の次に次の五条を加える。
(特定免許情報の記録等)
第九十五条の二 免許(仮免許を除く。以下この条において同じ。)を現に受けている者のうち、当該免許について免許証のみを有するもの並びに免許証及び第四項に規定する免許情報記録個人番号カードのいずれをも有しないものは、いつでも、その者の住所地を管轄する公安委員会に、その者の個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。以下同じ。)の区分部分(同法第十八条に規定するカード記録事項が記録された部分と区分された部分をいう。以下同じ。)に当該免許に係る特定免許情報を記録することを申請することができる

~省略~

4 免許証及び免許情報記録個人番号カード(その者に係る特定免許情報が記録された個人番号カードをいう。以下同じ。)を有する者は、いつでも、免許証をその者の住所地を管轄する公安委員会に返納することができる。 

5 第一項の規定による申請は、同項の規定にかかわらず、免許を現に受けていない者が第九十二条第一項の規定による免許証の交付を受けようとする際においてもすることができる。 

6 第九十二条第一項の規定による免許証の交付を受けようとする際に第一項の規定による申請をする者は、当該申請に併せて当該免許証の交付を希望しない旨の申出をすることができる。この場合においては、その者が第三項の規定による特定免許情報の記録を受けたことをもつて、当該免許証が同条第一項の規定により交付され、第四項の規定により返納されたものとみなす。

免許情報記録個人番号カードは、前条の規定の適用については、免許証とみなす。 

附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

公布年月日は令和4年4月27日でした。

免許取得時に運転免許証が交付されるというのは今後も変わりませんが、希望によりそれに代わる免許情報記録個人番号カードが交付され、運転免許証の実物は手元には残らない、という扱いも可能になります。

会議等|デジタル庁

マイナンバーカードの普及と健康保険証利用に関する関係府省庁会議(第8回)|デジタル庁

「マイナンバーカードの普及と健康保険証利用に関する関係府省庁会議」と「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」で議論が進められています。

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