事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

甘利明「日本学術会議は中国の千人計画に協力」学問の自由を侵害してるのは誰か

甘利明議員HP

甘利明議員が日本学術会議と中国の千人計画の関係に言及していました。

甘利明議員「日本学術会議は中国の千人計画に協力」

国会リポート 第410号 甘利明 Official Web | Akira Amari魚拓

日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しています。

※「無断転載を固くお断り」の表示があるが最小限の「引用」までは排除しない趣旨と理解して紹介します。詳細は甘利議員のHPで確認してください。

今年の8月に甘利明議員は「日本学術会議は中国の千人計画に協力」と書いており、読売新聞でも取り上げられましたが、その具体的な内容については書かれていません。

なお、「防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じ」という部分は、日本学術会議が防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」について「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」として批判的な論調で声明を発したことに対する評価文言であり、権力行使として禁止をしたわけではないので注意。

チャイナ共産党の千人タレント計画とは

千人計画(或いは千人タレント計画・千人タレントプログラム)と呼ばれるものは、要するに各研究者を買収して機密情報やテクノロジーを盗む動きのことです。

既にアメリカではその存在が公になっており、千人計画に加担した大学教授らが逮捕されるなど社会問題・国際問題に発展しています。

しかし、日本メディアの中には、単に人材育成の戦略であるという理解で報じているところもあり、実に常軌を逸している言論状況になっています。

学問の自由を侵害してるのは誰か

ところで、日本学術会議は内閣府設置法40条3項の表で内閣の特別の機関として設置されることが規定され、国家公務員法2条3項十二号の二にて日本学術会議会員が特別職国家公務員として規定されています。

その運営資金は国庫から支出されており、予算規模は10億円を超えます(昭和58年当時は1.7億円だった。)

つまり、日本学術会議は「国家権力側」であり、民間への圧力・介入は慎むべきものとされるはずなのです。

しかし、実態はどうでしょうか?

「学問の自由を侵害」と言うとき、それは政府だけが主体なのでしょうか?

軍事研究を禁止している日本学術会議

日本学術会議が大学の軍事研究を妨害するもチャイナの千人計画に加担

軍事的安全保障研究に関する検討について|日本学術会議魚拓

軍事的安全保障研究に関する声明

日本学術会議が 1949 年に創設され、1950 年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また 1967 年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。

そして、日本学術会議は大学等に対して「軍事研究と見なされる可能性のある研究」に関しても、禁止とは言わないまでも以下要請をしています。

「軍事的安全保障研究に関する声明」への研究機関・学協会の対応と論点

 「声明」では、「大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にある」ことを確認した上で、大学等の各研究機関に対して、軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度を設けることを求め、また、学協会等に対しては、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定することを求めた。

過去の声明は以下ですが、「戦争を目的とする科学」=軍事研究という意味で使っているため、「日本学術会議は軍事研究の禁止を謳っている」と言って差し支えありません。「軍事的安全保障研究」という単語も同じです。

軍事目的のための科学研究を行わない声明

なぜ軍事研究=軍事的安全保障研究を禁止しているのか

日本学術会議が軍事研究の禁止を謳っている理由としては、軍事研究は往々にして政府から研究内容や成果物の利用についての介入がなされ、研究機関・研究者の自律性が損なわれること、直接的には軍事目的の研究でなくとも科学者の意図を離れて軍事目的に転用される可能性があることなどが主張されています。

一見するとむしろ「学問の自由を保護しようとしている」ように映ります。

が、裏側から見るとこれは「軍事研究をしたい研究者の学問の自由の制限」になっています。直接的に大学等に対して禁止を強制できるような力は無いのですが、事実上の影響力があります。

その上、日本学術会議の言う「軍事的安全保障研究」の定義が不明確で、ある種の研究活動の委縮が起こる懸念すらあります。

菅総理大臣の狙いは…

日本学術会議法の解釈の問題があるにせよ、菅総理大臣はこういったところから「藪蛇」を狙ったものであった可能性があり、メディアが騒ぐことで「ダメージ」が拡大するのは誰なのか?

この流れは止まらないと思うので記事化しました。

以上