事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

植村隆、西岡力訴訟でも最高裁で上告棄却:慰安婦問題に関する金学順証言

「捏造」認定が確定しました。

植村隆、西岡力訴訟でも最高裁で上告棄却

元朝日の植村隆氏、敗訴確定 慰安婦記事への批判めぐり - 産経ニュース

「慰安婦記事を捏造(ねつぞう)した」などと指摘する記事や論文で名誉を傷つけられたとして、元朝日新聞記者の植村隆氏が、文芸春秋と麗澤大学の西岡力客員教授に損害賠償と謝罪記事の掲載などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は植村氏の上告を退ける決定をした。11日付。植村氏の請求を棄却した1、2審判決が確定した。

植村隆の西岡力訴訟でも最高裁で上告棄却決定が出ました。

これで、先般の櫻井訴訟の最高裁上告棄却決定と合わせて、一連の名誉毀損訴訟は終結しました。

「捏造」認定は西岡裁判、櫻井裁判は捏造と信じる真実相当性

  1. 「捏造」認定=真実性の証明は西岡裁判(東京訴訟)で認められた
  2. 櫻井裁判(札幌訴訟)は櫻井が捏造と信じたことにつき相当性が認められた

東京地方裁判所 令和元年6月26日判決 平成27年(ワ)390号

東京高等裁判所 令和2年3月3日判決 令和元年(ネ)3134号

札幌地方裁判所 令和元年6月26日判決 平成27年(ワ)390号

札幌高等裁判所 令和2年2月6日判決 平成30年(ネ)第302号

なお、殊更に「捏造記者」と言って罵倒すると現在でも名誉毀損に当たり得るので要注意です。植村隆の訴訟代理人弁護士は、どうもそういう者を見つけては訴えるような素振りを見せてますからね。

植村隆のどの記述が事実と異なることを知りながら敢えて書いたと認定されたのか?

植村隆のどの記述が事実と異なることを知りながら敢えて書いたと認定されたのか?

【平成3年8月11日付朝日新聞大阪本社版朝刊に掲載された従軍慰安婦問題に関する署名記事】において、【金学順が、日本軍(又は日本の政府関係機関)により、女子挺身隊の名で戦場に連行され、従軍慰安婦にさせられた】と書いた部分です。

それ以外の部分で全面的に捏造があった、というものではありません。

くどいようですが、ここも注意です。

慰安婦問題の基本と河野談話

 

慰安婦問題を語る際に注意すべき点。

 

慰安婦は、その一部に親や女衒によって騙されたり意思に反して慰安婦にならざるを得なかった境遇の「日本人同胞」=大和民族+朝鮮民族 などが居たということ。

「だまして連れて行った」の主体として日本軍や政府関係組織が実行したという証拠が無いという問題。ただ、国家としてそういった境遇の女性が出現してしまったことについて、管理監督者として遺憾の意を表するというのが日本政府の立場。

いわゆる「安倍談話」も、このような認識がベースでしょう。

ですから、「慰安婦は売春婦だ!売女!」というような態度は戒めるべき。

私は、「河野談話を説明」したものだと捉えています。

平成27年8月14日 内閣総理大臣談話 | 平成27年 | 総理の指示・談話など | ニュース | 首相官邸ホームページ

河野談話の正式名称は【慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話 

河野談話の中でも「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」など、疑問符が残る部分があります。

なお、河野談話とその後の記者会見における発言とが混同されている場合があります。

以下の記事ではそこを明確に区別しています。

【河野元衆院議長発言】(3)「慰安婦の強制連行はあった」(3/7ページ) - 産経ニュース 2015.8.14 09:53 ※当時の振り返りを求めたインタビュー

--河野談話発表後の記者会見で、記者から強制連行はあったという認識でいいか、と質問された。それに対し河野氏は「そういう事実があったということで結構です」と答えた。公文書の記述など客観的な文書は見つかったのかという質問には「強制ということの中には、物理的な強制もあるし、精神的な強制もある。精神的な強制は官憲側の記録に残るというものではない」と答えた。

河野(洋平)談話に関する政府の認識については河野太郎議員のブログが詳しい。

いわゆる河野談話について | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

河野談話作成過程の検証については以下

平成26年6月20日(金)午後 | 平成26年 | 官房長官記者会見 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ

慰安婦問題の今後と国際情報戦、国内インフォデミック

近年では、外務省HP(英語版含む)においても「強制連行・性奴隷・「慰安婦数十万人」は史実に基づくとは言い難い」という発信がなされています。ただ、ネット上だけでも検索順位の問題がある上、世界に対してこの認識が広まってるとは言い難いです。

外務省「強制連行・性奴隷・慰安婦数十万人は史実に反する」と明記:英語とドイツ語も

また、朝日新聞が訂正しつつも、検索エンジンで検索結果に表示されないようにメタタグを仕込んでいたことが判明しました。

が、それに留まらず、実は英語で書かれた訂正文は日本語版であり、朝日新聞の英語版URLでは訂正記事に辿り着くことはできません。その上、日本軍による強制という表現は避けつつも、言外にそのような意味があるかのように読み手に誤解させる記事を再拡散していることを2年前に指摘していますが、現在も改善されていません。

【全魚拓】朝日新聞が吉田清治の慰安婦強制連行デマの英語訳隠蔽工作:noindex等のメタタグ付加 

韓国における慰安婦訴訟については国際法上の主権免除の観点と事実認定の観点がありますが、前者についても国際法・国際政治関係者なら知っているハズの判決について情報隠蔽が行われています。

なぜか無視されるギリシャ「特別最高裁」のドイツの主権免除を肯定した判決:リドリキ村事件訴訟=マリゲロス対ドイツ連邦共和国事件|Nathan(ねーさん)|note

慰安婦に関するこうした国際情報戦、国内インフォデミックはこれらに限りませんが、今回の判決をまるで錦の御旗のように振りかざすのではなく、具体的に事実を発信していくのが近道だろうと思うのです。

以上