保守速報の記事やコメントが大阪市ヘイト規制条例に言うヘイトスピーチに当たるとして、管理人の氏名が公表されました。
保守速報への大阪市ヘイト条例適用は違法の可能性があります。
- 大阪市が条例上のヘイトスピーチと認定した保守速報の文言
- 大阪市ヘイト規制条例のヘイトスピーチの定義
- 保守速報のページの文言はヘイトスピーチに該当しない?
- 条例のインターネット規制の条項が憲法94条違反?
- 保守速報への大阪市ヘイト条例適用は違憲・違法の可能性?
大阪市が条例上のヘイトスピーチと認定した保守速報の文言
大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例に基づくヘイトスピーチの公表(案件番号「平 28-6」)
まぁ酷い文言がありますね。
これを見ながら、大阪市のヘイト規制条例に言う「ヘイトスピーチ」の定義はどうなっているのか確認しましょう。
大阪市ヘイト規制条例のヘイトスピーチの定義
大阪市ヘイト規制条例のヘイトスピーチの定義は、いわゆるヘイト解消法の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは異なります。
「特定人等」が対象
条例2条1項アでは、「特定人等」として「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人」と、「当該個人により構成される集団」が規定されています。
要するに、特定人と特定人が所属している集団に対するヘイトスピーチが禁止されています。
でも、ちょっと考えると、この規定は変です。
「当該個人により構成される集団」とは?
条例には「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人により構成される集団」と書いてあります。
「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は集団」ではありません。
集団の場合には、「当該個人により構成される」集団でなければなりません。
通常の日本語の理解ではたとえばAさんという特定の人種民族属性を有する人が居て、そのAさんが構成員である、とある集団が「当該個人により構成される集団」であると考えることになります。
『いやいや、そのような属性を持つ人間、という意味で「個人」なんだから、Aさんなどという個別の人格を有する登場人物がなくても、〇〇人という意味の表現であれば良いんだよ』
このような指摘がありそうですが、では、そうすると「個人」って何でしょうか?
およそ「〇〇人」という表現をする場合、既にある国籍or民族集団であるという前提が含まれています。そうである以上、「個人」が「〇〇人」を意味するとは考えられません。
したがって、「〇〇人という意味の表現であれば当該個人に該当する」という解釈は成り立たないということになります。
公表された保守速報の記事の文言では「〇〇人」など集団を指す文言はありますが、特定人格を有する個人名が出てきていませんから、ヘイトスピーチには当たらないのでしょうか?
保守速報のページの文言はヘイトスピーチに該当しない?
ところが大阪市が紹介した保守速報の頁にある文言はあれが全てではないでしょう。
どうやらある事件のとある人物(在日韓国・朝鮮人の人でしょう)の言動がベースとなっていて、それに対する言動と思われるからです。
公表文にある文章が全てではなく、引用元や保守速報のコメント欄の前後の文脈で必ず特定の人物の名前が存在しており、それと関連して行われた投稿であると考えられます。
そうすると上記で指摘したような話にはならず、公表された文章は「朝鮮人」等の集団の表現であったとしても、それはあくまでも個別の人格を有する人が属するという前提が文脈から読み取れるので、ヘイトスピーチに該当しないと言うことはできないのではないでしょうか?
条例のインターネット規制の条項が憲法94条違反?
前々から指摘してきていますが、大阪市のインターネット表現に対する規制は地方自治法上の「地域における事務」ではなく、憲法94条の条例制定権の逸脱ではないかと思います。
インターネットは大阪市の市域外で行えるものであり、自治体の領域外の話は「国と自治体の役割分担」を越えたものであると考えられるからです。
この点の先例は無いので未知数ですが、保守速報が争うとすればこの点しかないと思います。
保守速報への大阪市ヘイト条例適用は違憲・違法の可能性?
ヘイトスピーチに該当するとされた保守速報の削除されたページを知らないので判断できませんが、それを知っている人なら、大阪市によるヘイトスピーチの認定が正しいのか間違っているのか、明らかに判断できるはずです。
保守速報への大阪市ヘイト条例適用が違法である可能性は、憲法94条違反かどうかによると思いますが、いろいろとハードルが高そうです。
以上