事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

維新が大阪都構想での外国人参政権付与を進めているというデマ

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大阪都構想で外国人参政権を認めることを維新が進めているというデマがあります。

大阪都構想「外国籍住民にも投票権を」 在日コリアンら請願準備

大阪都構想「外国籍住民にも投票権を」 市民ら請願準備

外国籍の大阪市民も大阪都構想の是非を問う住民投票ができるよう、市民グループが国会や市議会に請願を出す準備を進めている。合言葉は「大事なことはみんなで決めよう」。14日に市内でトークセッションを行い、投票権拡大の議論を盛り上げたいという。

呼びかけ人には、劇作家の平田オリザさんや絵本作家の長谷川義史さんらが名を連ねる。その1人、コリアNGOセンター代表理事の郭辰雄(カクチヌン)さん(53)は、在日コリアン3世だ。

請願準備をしているのは在日朝鮮人らであるということです。

そもそも、大阪都構想に関する投票での外国人参政権は、外国人への投票権付与(市町村の議会の議員及び長の選挙権)そのものを法律で認めない限り不可能です。

大阪都構想の投票の法的根拠と外国人投票権

大阪都構想の法的根拠は【大都市地域における特別区の設置に関する法律】です。

「住民投票」というと沖縄県の辺野古移設を問う住民投票を思い浮かべる人が居ますが、あれは自治体が勝手に作れる条例に基づいて行われたものなのでまったく別です。

大都市地域における特別区の設置に関する法律

第七条 前条第三項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から六十日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。

これを受けて【大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令】では

第四条 市町村の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、法第七条第一項の規定による投票の投票権を有する。
2 法第七条第一項の規定による投票には、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)に規定する選挙人名簿を用いる。

公職選挙法では以下規定されています。

(選挙権)
第九条 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
2 日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

したがって、大阪都構想において外国人の投票権を付与するためには公職選挙法か大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令を改正しない限り不可能です。

国会マターということになります。

では、日本維新の会、大阪維新の会はそういう方針なのでしょうか?

大阪維新の会、橋下徹は外国人参政権を認めているのか?

  1. 橋下徹氏は特別永住外国人の制度を解消する方針
  2. ただの外国人に対する参政権付与には明確に反対
  3. 現行制度下においては特別永住外国人に限って「純粋な地域コミュニティールール作り」への関与は認める方針
  4. その中身には選挙権や公務就任権が含まれているのかは完全には否定されておらず不明
  5. ただし、仮に含まれていたとしても最高裁判例の枠を超えるようなものではない 
  6. 「橋下が特別永住者に選挙権を与えようとしている」はデマとは言い切れないが確定的でもない

まとめるとこのような状況です。

橋下徹氏としては少なくともただの外国人への参政権付与には明確に反対しており、特別永住外国人の制度を解消する方針です。

日本維新の会の憲法改正原案と外国人地方参政権

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日本維新の会の憲法改正原案

第95条
③自治体の議会の議員、知事又は長及び自治体の条例で定めるその他の公務員は、その自治体の住民であって日本国籍を有する者が、直接これを選挙する。

現在の憲法には地方自治体の選挙に関してこの国籍条項がありません。

それを日本維新の会の憲法改正原案では「日本国籍を有する者」と明記しています。

維新の会としては外国人への地方参政権付与をまっこうから否定しているわけです。

これを見ても、「維新が大阪都構想で外国人参政権を付与させようとしている」というのが無理筋だというのがわかります。

まとめ:「大阪都構想で維新が外国人参政権」はデマ

「大阪都構想で維新が外国人参政権」はデマです。

言い切ってよいでしょう。

誰も維新側の動きを証拠として出していませんからね。

以上