大阪の吉村市長と松井府知事は選挙公約で「退職金ゼロ」を主張していました。
二人がこの公約違反に違反しているなどというデマが広められているので否定します。
- 吉村市長と松井府知事の退職金ゼロ公約違反というデマ
- 吉村市長は半額上乗せしてない
- 平松市長が貰い過ぎていたものを橋下市政時に改善
- 給与に上乗せしてるから退職金がゼロではない?
- 退職金、退職慰労金等の性質から不要と判断
- 大阪府の松井府知事の退職手当はどうか
- まとめ:吉村市長・松井市長ともに公約違反はしていない
吉村市長と松井府知事の退職金ゼロ公約違反というデマ
松井吉村コンビは「退職金廃止で身を切る改革だ!」と豪語されてますが、実は知事は全額、市長も半額、普段の月給に分割して上乗せしてるんですよ。
— Edyマイラー こと 千頭孝志 (@aokjcvs) April 1, 2019
身を切る改革っていったい……!?
大阪府特別職報酬等審議会https://t.co/4odBz2ZQum
大阪市特別職報酬等審議会https://t.co/5tgR29kuLo pic.twitter.com/ZhDmG5Nm1D
【松井一郎】身を切る改革は嘘だった!?退職金は月給に上乗せ【吉村洋文】 - NAVER まとめ:魚拓1ページ目、魚拓2ページ目。
上記の主張はフェイクの塊です。
吉村市長は半額上乗せしてない
上記で挙げられている大阪市特別職報酬等審議会による答申は、平成26年10月21日のものです。
吉村市長が大阪市長に就任したのは平成27年(2015年)の12月です。
つまり、従来の退職金を半額上乗せしていたのは前任の橋下市長で、吉村市長は上乗せされてません。上乗せにした理由は、橋下市長の任期途中での変更のため、いきなりゼロにするというのは法の規定上、問題があったためです。
約4000万円の半額の約2000万円を4年で割るので、1年の年額に直すと約500万円の上乗せになるのです。
平松市長が貰い過ぎていたものを橋下市政時に改善
これが事実です。退職金含めた平松さんの報酬は、橋下さんや僕の約2倍です。4年で1億4000万円なんて仕事、ありますか?支払者は納税者の皆さんです。おかしい。市長がぶくぶく美味しい思いをしたら、役所も美味しい思いをします。役所の無駄が生まれてきます。僕たちは役所を筋肉質に変えてきました。 https://t.co/O6aRKysRh2
— 吉村洋文(大阪府知事候補) (@hiroyoshimura) April 5, 2019
平松市政時の年額2600万+退職金4000万だったものを、橋下市政時に退職金の半額込で2800万にしたのです。吉村市政ではさらに上乗せ金額は無くなりました。
※2020年12月16日追記:大阪市特別職の報酬等の状況(平成27年5月1日現在)を見るとカット後の数値が分かります。上記は「制度値」になります。また、橋下市政時に2800万円に決定しましたが、橋下市長時代の年額の制度値は2600万円です。
給与に上乗せしてるから退職金がゼロではない?
この難癖を付ける者は、なぜ退職金を無くしたのかの理由がわかってないのでしょう。
平成26年度の大阪市特別職報酬等審議会では退職金の性質について検討されました。
生活保障説は、首長の任期が4年であり、連続当選する場合もあり得るということから採り得ないということになります。
勤続報償説は民間企業における終身雇用がイメージしやすいですが「勤め上げた方」に対するモノであるということです。この見解からすると4年の任期毎に退職金があるというのはおかしいということになります。
賃金後払い説については、だったら最初から支給した方が分かりやすいという指摘がありましたし、審議会では海外の首長は退職金を貰うという慣習がある国というのは稀であるという指摘もありました。
さらに、日本における首長への退職金は、以下のような経緯で支給されたものという指摘もありました。
(渡部委員)
この前も私は発表させていただきましたが、退職手当の市長、議員、副市長、よその国の先進国ではない訳ですが、日本の場合は調べますと、要するに戦前に官僚、地方官僚が地方の首長になっていったりしまして、私も随分前に国家公務員試験法律職甲を通っておりますが、そういう官僚の天下り首長人事の名残である訳で、こういうのは全般的に廃止すべきであって、勿論現在就任している方の既得権益は残さなければいけませんが、これからは廃止すべきであります。それから、今度どうするかという話ですが、報酬にプラスアルファをすればいいという考えには、私は全く反対であります。これは支払うべき経費ではないということであります。
民間企業における役員の退職慰労金が廃止傾向にあり、廃止後は役員報酬に振分けるようになっているという点も挙げられていました。
退職金、退職慰労金等の性質から不要と判断
このように、「退職金」という名目での支給は、市長という公選職の職分を考えた場合に相応しくないと考えられたのです。任期をまっとうすれば退職金が貰えるので、任期にしがみつこうとするインセンティブにもなってしまいます。
ですから、退職金をゼロにするというのは、それが給与に上乗せされようとも、意味のある行為だったのです。
当然、安ければ良いという話ではなく、審議会ではある程度の金額にして優秀な人材が確保できるようにという意見も出ていました。
この審議会は市長の関与なく行われていますので、「市長が上乗せした」などという主張は何重にもデマです。
大阪府の松井府知事の退職手当はどうか
これまで述べてきたことは、松井知事の場合にもあてはまります。
ただ、上図だけを見ると、松井知事の時期に給与が上がってるように見えます。
それは事実と言えば事実なのですが、これは太田府知事時代に高額だったものを橋下府知事時代に大幅に削減していたという前提事実があります。
橋下時代と比べて多いのは、退職手当分を給与額に復元させたからです。
そしてトータルで見れば太田府知事時代より大幅に下がっているという事は明らか。
この辺りを詳しく解説しているのが以下の記事になります。
松井大阪府知事の4年間の給料は、太田知事の半分 - 粉屋の大阪to考想
まとめ:吉村市長・松井市長ともに公約違反はしていない
単に貰ってる金額が多い少ないというだけの話ではないのです。
「退職金・退職手当」というものの性質を検討した結果、市長・府知事にはふさわしくない制度であると判断されたことから廃止したのです。
その意味を理解できない者が振り撒くインチキに惑わされないようにしましょう。
以上