事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ドイツHornbach(ホルンバッハ)の炎上CMと人種差別・ヘイトの実例?

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ドイツのDIY事業者Hornbach(ホルンバッハ)の炎上CMについて、ドイツ本社がCMを撤回しないことを表明しました。Cookies op AD.nl | AD.nl

ホルンバッハの釈明はこちら⇒Unsere Haltung | HORNBACH

ホルンバッハが人種差別であると認めないとダメだと言う人が居ますが、果たしてそれで問題の解決になるのでしょうか?

ドイツHornbach(ホルンバッハ)の炎上CM

調べれば出てきますし、TVでも取り上げられたのでもう見た人も多いでしょう。

あれは酷いCMですね。

ええ、気持ち悪いですね。

そこはほとんどの人が共通して持っている感覚なんじゃないでしょうか?

現地の女性が受けた実害

このように、あのCMによって「実害」が発生してるのが事実です。 

したがって、抗議の声を挙げることそのものは、正当性のある行為です。

さて、このCMは、見た者に対して「CMで表されたような事柄が事実である」と思わせるものでしょうか?CMを見た者が、「〇〇人はドイツ人のおっさんの下着の匂いを嗅いで興奮する」と本気で信じるでしょうか?

CMを利用して侮蔑する輩たち

輩たちはCMを「フィクションと知りつつ利用してる」のが実態ではないでしょうか。

ホルンバッハのCMを免罪符として(CMの冗談だよという言い訳・逃げ道を用意しながら)アジア人女性へのからかいをするという構図があったんでしょう。

それは中には差別心から来るものもあるだろうし、そういうのは抜きに、ある種の人間の本性(悪ふざけ・ウザ絡みをしたい)から来てる場合もあるでしょう。

その切り分けは非常に難しい。

ただ、いずれにしても、ホルンバッハのCMによって実害が発生している。

この厳然たる事実があるということを、ホルンバッハは認識するべきでしょう。

しかし、そのような事態が生じることは、CMそのものの評価とは別個の事柄です。

推理小説を見た者が描写されてる犯行手口を真似てもその小説は犯罪ではありません。

批判者の多くはCMは差別を「意図」してるという事よりは、(その可能性は排除してないが)、内容が結果的に差別的になっていることを指摘しているようですが、あくまでもCMの中身の問題としています。

だから、ホルンバッハやCM評価団体、ドイツ国内のアンケートにおいて「当該CMは人種差別ではない」という見解が採られることとは、本質的に噛み合っていません。

「人種差別」なのか?

それでも、このCMは「人種差別」なのだろうか?

人種差別とはどういう意味なのだろうか?

外務省 人種差別撤廃条約Q&A

Q1 この条約の対象となる人種差別とは何ですか。

A1 この条約の対象とする人種差別については、この条約の第1条1において、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」と定義されています。

ドイツ法のことはわからないのですが、少なくとも国連の人種差別撤廃条約における人種差別とは上記の意味です。

「権利や自由」を「認識・享有・行使」することを「妨げ・害する」「目的・効果」

あのCMは、そういう目的・効果があるのでしょうか?

批判者は、なんとなく「人種差別だと思った」と言ってないでしょうか?

そこに今回の署名運動の問題点があります。

「人種差別・ヘイト」のインフレ

魚拓:http://archive.is/cPmZi

上のツイートで「ヘイト」と言われてるのがこちらの記事です。
ドイツHornbach(ホルンバッハ)のCMがアジア人女性への差別だと韓国人が署名運動のセンスの無さ

彼からは何も具体的な指摘がありませんでした。

怖くないですか?

ある日突然、単なる批評が「お前の言動はヘイトだ」と認定されるんですよ。

既に、日本国内では『ヘイトのインフレ』が進行しているのです。

私がこの問題でホルンバッハの肩を持つかのような記事を書いたのは、そうした点を踏まえず「差別問題」として騒いでると、それは(民間からの)「表現規制」という形で私たちに襲い掛かってくる危険性があり、その方がより重大な脅威だと感じたからです。

その他のHornbachと他企業のCM

これらは「ドイツ人のおっさん」に対する差別・ヘイトではないのだろうか?

これは白人男性を差別してるんじゃないでしょうか?

「いや、これはにおい鑑定人という権威ある立場において職務を遂行してるだけだから差別じゃない」

『でも、現実に女性の脇を直接嗅ぐ職務なんて無いでしょ。ありえない!これは手の込んだ差別的表現だ!』

…否、もちろんそんなことはありません。そうでしょう?

チェンジオルグのキャンペーンのゴールは人種差別認定を前提にしている

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https://www.change.org/p/wolfgang-rupf-act-up-against-german-racist-company-hornbach-ag?recruiter=945859576&utm_source=share_petition&utm_medium=copylink&utm_campaign=share_petition

このキャンペーンは、ゴールが「ホルンバッハがセクシストでありレイシストであるということを認めること」を前提にしています。

人種差別の定義も示さず、「とにかくアジア人女性をバカにしてるから差別だヘイトだ」と喚き散らしている主張に対して、「ハイ、そうです」と言いますかね?

"Racist"であるという認定を受けた場合の社会的な非難を知らないハズが無いでしょう。そのような烙印を安易に他者に押すような行為は、厳に慎むべきでしょう。

人種差別だという指摘を発端にすること自体は否定しませんが、ゴールをそこに設定することに何の意味があるのでしょうか?一企業を攻撃することに終始してしまっていないでしょうか?

人種差別ではないにしろ、当該CMはアジア人女性に対する嫌がらせを惹起するものなので甚だ不適切だ、対応して欲しい」というような主張にしなければ、ホルンバッハの態度は変わらないでしょう。

舐められる?確かに穏当な方法であり、相手に恐怖を抱かせることは無いでしょう。

でも、テロや嫌がらせ、強引な人種差別認定によって相手を黙らせたところで、表面的には何もなくなったとしても、その内部では鬱屈した感情が渦巻くことになるでしょうね。

それは本来の形ではないでしょう。

侮蔑や揶揄等の不適切な表現を飛び越え差別問題にする弊害

有名なドルチェ&ガッバーナのCM炎上・謝罪事件ですが、これはCMの内容に加えて「中国は無知で汚濁した臭いマフィアだ」「これからすべての国際的インタビューで中国はクソの国だと説明していくさ」とステファノ・ガッバーナがSNSで返信していたことが問題視されていました。

これも人種差別だと言われていましたが、最終的に人種差別だという認定がどこかでされたということは聞きません。

少なくともCMは箸を使う文化圏を揶揄した、或いは侮辱したような内容であるとは言えるでしょう。ただ、それは人種差別なんでしょうか?

揶揄や侮辱は、人種差別を構成する要素ではありますが、それが直ちに人種差別に当たると解するのは非常に危険です。外国人に対して批評をしたらそのことを取り上げて「差別だ」と言われかねません。

まさに既述の通り、私がSNSで「実害を被った」ようなことが起きるわけです。

この件が「人種差別だと言われているが故」に関わろうとしない者が、それなりに存在しているのです。

別の視点からの分析

 

 

 

ここに挙げた方々は、みな「ホルンバッハのCMは酷いし、抗議されても仕方がない」という認識です。

ただ、安易な「人種差別・ヘイト」認定は避けています。

このような深謀遠慮すら、否定されてしまうのでしょうか?

なお、上記の方は今回の事案は人種差別だとお考えのようです。その分析は一見に値すると思います。

まとめ:差別と不適切表現の境界線を破壊するのか

理想は、ホルンバッハのようなCMがあっても、それを利用してアジア人女性に対して不快な扱いをする者も現れず「アナーキーな企業がまぁたおバカなCM作ったよね」と言ってみんなで笑い飛ばせるような社会であることだと思います。

しかし、ドイツはそうではなく、冗談を悪用した差別・差別まがいの行為が実際に発生するような、どうしようもない社会である、という現実があります。 

本件はCMの中身の問題もありますが、いろんな方の見解を見てみると、ドイツ社会におけるある特性がそうさせている面もあるという指摘も見つかります。

何でもかんでも「人種差別」の問題として扱うことは、そういった点を見落とすことにもつながりかねず、本当の解決からは遠ざかってしまうおそれがあると思います。

この問題は、更にいろんな捻じれが表出しています。後日触れるかもしれません。

以上