事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日テレ「4月からプラスチック有料化」は誤報か?法律・政省令上の根拠と小泉環境相の国会答弁

プラスチック有料化の誤報

必ず有料化されるわけではない。

日テレの「4月から有料化」記事が削除

ライブドアニュースhttps://archive.is/TNBXRが引用したのはNNN(日テレ)の記事。

https://www.news24.jp/articles/2022/01/14/071014323.html魚拓

この削除に伴いライブドアの記事も削除。

日経時事NHKなどでは概ね「年5トン以上使用する事業者に有料化や再利用などの対応を義務づけるほか」といった記述。

どうやら「削減義務付けの結果、プラスチック製品の有料化のみが実施される」という理解になってしまう記事になってしまうため、削除されたようです。

日テレは記事ページでもツイートでも、削除の理由には触れていません。

「有料化」を求めることも視野に 小泉環境相が答弁していた

第204回国会 参議院 環境委員会 第13号 令和3年6月1日

○国務大臣(小泉進次郎君) ー省略ー
 そして、実際にこの省令などでどのようにということについては、有料化も一つの選択肢ですし、今のポイント還元、これも選択肢でありますし、代替素材を使っていく、これも選択肢でもあります。そしてまた、薄肉化や軽量化、こういったこともリデュースにも結果的につながりますので、そして意思確認の徹底などもありましたが、様々あると思いますが、いずれにしても、この事業者の皆さんに対して、よりこの使い捨てプラスチックが大量に安く、安くというか無料ですね、大量に無料で提供されているような事業者の皆さん、だからスーパーとかコンビニとかもそうですけれども、飲食とか、どのように共に理解をしていただけるか、まさにそういったところがこれから省令の中でやっていくことだろうと思っています。

○片山大介君 そうすると、大臣、余り有料化ありきではやっぱりないということなんですかね。何かそこがすごく独り歩きして、何か有料化法案みたいな感じの書かれ方もされたんで、気になっている人が実際いることもあって、ちょっとそこをどのようにお考えか。

○国務大臣(小泉進次郎君) 答えから申し上げれば、選択肢の一つであって、有料化のみに限定した対応をすることは考えておりません。
 ただ、あのスプーン有料化ということを選択肢の一つとして申し上げたことが話題になったことで、結果としてプラスチックの法律について関心を持っていただけたところもあると思うので、私は、結果として、この法律の意義やこういったものが出るんだということは多く伝わったんではないかと思います。正確な理解は、事業者の皆さんや国民の皆さんに今後しっかりと説明をしていきたいと思います。

「有料化」についてはあくまで選択肢の一つとして、有料化を求めることも視野に入れていると小泉環境相(当時)が答弁していたものが見つかります。

では、これの法律・政省令上の根拠はいったいどこにあるのか?

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律と施行令・施行規則案

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行期日を定める政令」及び「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令」が閣議決定されました (METI/経済産業省)2022年1月14日同時発表:環境省

1月14日の閣議決定は政令に関するものですが、それを知らせるページには、元となる法律の条文が掲載されてません。以下のページにありました。施行後はe-Govにも掲載されます。

環境省_プラスチック資源循環法関連令和3年11月22日(月)10:00~

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の30条において、主務大臣により、「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」に対し、「排出の抑制に関し必要な措置を採るべき旨の勧告を行うことができる」と規定されています。

「特定プラスチック仕様製品多量提供事業者」は1月14日に閣議決定された政令であるプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令の6条で前年度に提供したものが5トン以上の事業者とされました。

対象12品目はその直前に書かれています。業種ごとに分けられていますが、フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー及び飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ及び歯ブラシ、衣類用ハンガー及び衣類用カバー、とされています。

じゃあ有料化はどうなのか?というと、そこはどうやら未定のようです。

11月22日のワーキンググループ合同会議(第11回)のページで特定プラスチック使用製品提供事業者の特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に関する判断の基準となるべき事項等を定める省令案があり、そこの2条1号に以下あります。

プラスチック有料化、削減義務化

第二条 特定プラスチック使用製品提供事業者は、次に掲げる取り組みその他の特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組を行うことにより、プラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制をするものとする。
一 商品の販売又は役務の提供に際しては、消費者にその提供する特定プラスチック仕様製品を有償で提供すること、…

プラスチック製品の有償提供に限らず、代替製品、消費者の意思確認、再利用の促し、景品等の提供などが書かれています。

現時点ではあくまで「案」ですが、国会でも小泉環境相が有料化を求めると答弁しているので、事業者の対応内容に有料化が含まれるのは既定路線と言えます。

有償化=有料化は選択肢の一つ、ということですが、いちいち省令で要請されるべきものなんでしょうか?そういう意味で非常に疑問が残ります。

レジ袋有料化を決定したのは小泉進次郎ではないが、プラスチック製品に関するこれらの規制は彼が環境相時代に種々の決定が為されたわけですから(法律の成立、公布)、責任が無いとは言えないでしょう。

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