新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に関して「議事録が無い」というHPを見てれば「議事概要」は公開されているのが最初から分かってる話をなぜか共同通信がミスリードする記事を書いて以来話題ですが、蓮舫議員が民主党政権時代に作られたガイドラインを無視したツイートをしています。
- 蓮舫「議事録がないなどあり得ない」
- 歴史的緊急事態における専門家会議の議事概要は作成・公表、ガイドラインに沿った運用
- 民主党政権時代に作成されたガイドライン
- 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の逐語録は必要か?
- 自由闊達な議論とメディアによるリアルショー化を防ぐために不要では?
- 平時の審議会・懇談会との平仄はどう考えるべきか?
蓮舫「議事録がないなどあり得ない」
何度も指摘。
— 蓮 舫 ・ 立 憲 民 主 党 ( り っ け ん ) (@renho_sha) 2020年5月29日
歴史的緊急事態の政府対策は全て公文書を残す閣議決定。
3/9の予算委員会、私の質問に安倍総理が答えたのを受け、3/10に閣議決定。
緊急事態宣言の是非を決める根拠の専門家会議の議事録等が「ない」などあり得ません。
都合悪い公文書は改ざん、シュレッダー以前の国民の権利破棄行為 pic.twitter.com/cWcu6BMz13
蓮舫議員は「議事録がないなどあり得ない」と言っていますが、議事概要の公開はしているわけで、それはガイドラインに沿った運用です。
歴史的緊急事態における専門家会議の議事概要は作成・公表、ガイドラインに沿った運用
行政文書の管理における「歴史的緊急事態」の決定に伴う連絡会議 - 公文書管理制度 - 内閣府
専門家会議は「②政策の蹴ってい又は了解を行わない会議等」にあたるため、発言者名を記した時系列の議論を載せる義務までは発生しません。
民主党政権時代に作成されたガイドライン
蓮舫議員は以下の発言を聞く限り、彼女は「政策の決定又は了解を行わない会議等」という項目それ自体や、そこに専門家会議を分類したこと自体を問題視しているのではないようです。
要するに「全て逐語録を作れ」と言っているわけですが、民主党政権時代に作成されたガイドラインだということを忘れているようです。
専門家会議“議事録未作成”を野党が批判(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース
蓮舫副代表「まさに国民の財産の公文書をばかにしているし、国会でのやりとり、あるいは法律に基づいて行った歴史的緊急事態に対しても背を向ける行為だと思って、まず、激しく強く抗議をします」
中略
蓮舫氏は「議事概要では、政府にとって都合の悪い内容は削除することができる」として、政府に議事録の作成を求めていく考えを示しました。
関係法令・通知等 公文書管理制度 - 内閣府(2012年6月13日魚拓)
行政文書の管理に関するガイドライン(平成23年4月1日内閣総理大臣決定;平成24年6月29日一部改正)(2012年8月3日魚拓)
「②政策の蹴ってい又は了解を行わない会議等」の項目は最初からありました。
今さら何を問題視してるのでしょうか?
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の逐語録は必要か?
専門家の議論経過をいちいち記述する意味ってあるんでしょうか?
大阪市のヘイト規制条例の際も専門家による検討部会がああったが、議事要旨のみでした。
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月29日
全ての場合に逐一発言を記した議事録を残す意味は無いと思いますよ。https://t.co/8hVUfJbTsu
大阪市のヘイト規制条例制定過程の議論は全国的に見てもかなりオープンになされていましたが、それでも専門家で議論されていた「検討部会」 は議事要旨のみで、議事の全体的な進行に関する発言は議長らの発言が明示されましたが、それ以外の実質的な部分は部会のメンバーのうち、発言者が誰でどういう議論経過があったのかまでは記述されていません。審議会の場合はありましたが。
自由闊達な議論とメディアによるリアルショー化を防ぐために不要では?
新型コロナウイルス対策の議論では『どの程度人が死ぬか』を予測した議論が行われています。それをすべて公開するとなれば、発言した専門家の名称が分かるとその者やその所属等に対してバッシングが行き、メディアが「誰と誰が口論した」みたいにネタ化して本質ではない部分で騒ぐことは火を見るより明らかです。
これでは専門家が会議のメンバーに入ることすら敬遠し、発言も萎縮してしまうことになるでしょう。自由闊達な議論を行わせるために彼らの身の安全を保障する必要や議論の方向性を正しいものに向かわせる要請があったでしょう。
「歴史的緊急事態の事後的検証」が目的なら、政府の取った方針のチェックをすればいいわけで、その過程で「具体的な個人がどう発言したか」みたいなミクロな情報は不要だし、上述のようなノイズの発生源にもなりかねません。
議事録の発言の一部を切り取って真逆に捏造する元農水大臣の山田正彦氏のような連中に利用される可能性もありますし。
専門家同士の議論ですから難解なものが多く、ジャーゴンも多用されるでしょうからダイヤモンドプリンセス号内の「清潔・不潔」のように一般から誤解されることもあり得るでしょうし、数式も含めて議論されていると思われる今回のような場合にいちいち発言全てを時系列でとらえる必要があるのかというと疑問です。
喩えるならば『裁判官の合議を全部公開しますか?』という感じです。
もちろん、「それでも議事録を作成するべきだ」という主張は有り得ると思いますが、ならば専門家の命と身体と立場と財産を守るための術を整える必要があるんじゃないでしょうか?
平時の審議会・懇談会との平仄はどう考えるべきか?
平時の審議会、懇談会等では発言者及び発言内容を記載した議事の記録を作成することとなっていますが、歴史的緊急事態になると、政策決定又は了解を行わない会議では前述の記録をしなくてよいとなるのは、ガイドラインの趣旨に反するようにも思えます。
— 式内社 (@shikinaisha) 2020年5月29日
とはいえ、ガイドラインでは平時の審議会・懇談会等について以下書かれています。
○ なお、審議会等や懇談会等については、法第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者及び発言内容を記載した議事の記録を作成するものとする。
審議会や懇談会の性質が分かっていないので判断できませんが、この辺りとの整合性という点から誰か質問しないのだろうか?
私にとってはいずれにしても今回のような専門家会議にかんしては「発言者名を明記した時系列毎に並べられた議事の内容の記録」は不要だと思っているのでどうでもいいですが。
以上