事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【裁判官訴追請求】朝鮮学校無償化大阪地裁判決の西田隆裕裁判官の訴追請求却下問題

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裁判官訴追制度上の問題点について。

朝鮮学校無償化大阪地裁判決を出した西田隆裕裁判官

【朝鮮学校無償化訴訟】民事訴訟のベテラン 西田隆裕裁判長 - 産経ニュース

大阪地裁判決 を読み上げたのは、西田隆裕裁判長の後任である三輪方大裁判長です。

西田裁判官が平成29年(2017年)4月1日以前に判決を書き上げた後に異動したため同年7月28日の判決言い渡し期日では「判決代読」という手続を行っただけです。

ネット上では三輪裁判長の顔写真でもって西田裁判長であるとしているものがありますが、明確に間違いなので注意しましょう。

裁判所「裁判官の身分を失ってるから罷免対象外」の問題

西田元裁判長は、平成29年4月1日からは裁判官の身分ではなく検察官の身分になっていました。いわゆる「判検交流」によるものでしょう。

さて、この理由付けは問題です。

裁判官訴追制度は罷免するための制度だから「裁判官の身分を失ってるから罷免対象外」というのは一見するとまとものように思われます。

しかし、西田裁判官は、平成31年4月1日に大阪高裁判事・大阪簡裁判事に身分を復しています:西田 隆裕 | 裁判官 | 新日本法規WEBサイト

また、裁判官訴追の時効は【罷免事由発生時の3年後】となっています。

とすると、「判検交流」中という理由で弾劾できないとすれば、理論上は、時効にかかるように身分を変えていれば、弾劾逃れが可能になってしまいます

同様の事は、最高裁判所事務総長に就任している場合にも言えるでしょう(裁判官の身分を離れるが、通例、出世頭の裁判官が任に当たる事となっている)

本来、これは「判決内容の不服は上訴によってのみ訴えることができる」という理屈で処理すべきだったにもかかわらず、なぜ、裁判所はこのような理由付けをしたのでしょうか?

上掲の裁判所の理屈では平成29年4月1日以降~平成31年4月1日以前に訴追した場合とそれ以降に訴追した場合に理由が変わることになり、甚だ疑問です。

このような場合、本来は「裁判官の身分の内に行われた行為」として訴追審査の対象とし、その後の裁判官の身分に復するか否かの判定の際の判断資料とするべきでしょう。

朝鮮学校無償化(就学支援金支給校指定)大阪地裁判決の顛末

大阪高裁判決 で朝鮮学校側は逆転敗訴、これが最高裁決定 平成31年8月27日でも上告棄却により確定しています。

その他、主要都市で朝鮮学校無償化訴訟は行われていましたが、東京と愛知も最高裁で原告敗訴確定し、広島、福岡も高裁まで原告敗訴となっており、福岡は最高裁に上告中のようです。

東京地方裁判所判決 平成29年9月13日 平成26年(ワ)第3662号

東京高等裁判所判決 平成30年10月30日 平成29(ネ)4477

名古屋地方裁判所判決 平成30年4月27日 平成25年(ワ)第267号/平成25年(ワ)第5590号

名古屋高等裁判所判決 令和元年10月3日 平成30年(ネ)第457号

大阪地裁判決 平成29年7月28日 平成25年(行ウ)第14号

大阪高裁判決 平成30年9月27日 平成29年(行コ)第173号

広島地方裁判所判決 平成29年7月19日 平成25年(行ウ)第27号

広島高等裁判所判決  令和2年10月16日 平成29年(行コ)第14号

福岡地方裁判所小倉支部判決 平成31年3月14日 平成25年(ワ)第1356号/平成26年(ワ)第145号

福岡高等裁判所判決 令和2年10月30日 平成31年(ネ)第307号 

以上