さいたま市が朝鮮学校幼稚部・初等部にもマスク配布する方針を取りました。
他に対象外となった施設もありますが、それはなぜなのでしょうか?
- さいたま市の備蓄用マスクの配布先の考え方
- 新たに配布対象となった施設
- 各種学校で配布対象になったのは朝鮮学校のみ
- 子育て支援センターは対象外
- 准看護学校は医療機関ではないため年齢層で外れた
- 「朝鮮幼稚園は配布対象外なのは人種差別」はおかしい
- 朝鮮学校に配布するのに他の場所は非配布なのは逆差別?
- まとめ
さいたま市の備蓄用マスクの配布先の考え方
- 低年齢・高齢者・医療関係施設の3つを当初から配布の対象と考えていた
- 6日の時点では低年齢・高齢者施設の配布先を決定・公表した
- 13日の時点で医療関係施設への配布が決定された
- 同時に低年齢者を対象とする施設で配布対象外になっていた場所にも配布決定
- これは新たにマスクが確保できたということではなく、元々備蓄していたマスクの振り分け等の整理がついたため
医療関係施設への配布決定については、13日の第8回新型コロナウイルス危機対策本部員会議で確認できます。
6日時点での配布方針については以下の記事でも紹介しましたが、「マスクが不足しているため配布の要望が多かった低年齢層を対象とする施設と、重症化しやすい高齢者を対象とする施設に対して優先的に配布」する方針でした。
新たに配布対象となった施設
第8回新型コロナウイルス危機対策本部員会議の資料に加え、危機管理課に確認した事項は以下。
- 当初から検討されていた医療機関が加わった
- 私立・国立の小学校や県の特別支援学校も配布対象に加わった
- 放課後児童クラブの中でも市の委託を受けていないが届出をしている所も対象に
- 各種学校で配布対象になったのは朝鮮学校のみ
放課後児童クラブは公設クラブと民設クラブがありますが、民設クラブの中でも市から委託を受けている所と、単に届出をしている所(幼稚園とは所管が異なるので指導監督施設かどうかでは区切っていない)があり、前回(6日)は届出をしている所は対象外だったが、今回(13日)は対象に含めたとしています。
各種学校については、各種学校(小)となっていることから朝鮮学校初等部も対象になっています。
各種学校で配布対象になったのは朝鮮学校のみ
今回、各種学校で配布対象になったのは朝鮮学校のみということも確認しました。
朝鮮学校が対象になった理由としては、感染拡大防止という観点から、他の幼稚園・小学校年代対象施設と実質的に変わりがない場所は配布するべきと判断した、ということでした。
ちなみに、各種学校のうち大宮珠算学校は幼児も対象にしているが、今回の配布対象外なので聞きました。
朝鮮学校は幼稚部として課程が制度的に組み込まれているが大宮珠算学校はそうではない、という説明でした。
これをかみ砕くと、大宮珠算学校はHP上で「幼児からも対象」と謳っているものの、制度的に恒常的に幼児年齢層が利用することが予定されている場所ではないために対象外にされたと考える他ないでしょう。
もっとも、珠算学校は、実態として幼児年齢の子が利用していることも考えられます。
しかし、幼稚園と異なり、相当数の幼児年齢層の集団が毎日利用するような場所ではない(多くは週一回の利用だろうし、人数は不定形で、幼稚園年代の利用者はせいぜい数人程度と思われる)です。
珠算学校は小学校年代が最も利用するでしょうが、週一利用などの形態は同様なため、配布対象外となっても不当ではないと私は考えます。
子育て支援センターは対象外
子育て支援センターという、0~3歳児までを対象とする施設がありますが、こちらは現在もマスクの配布対象外となっています。
保育施設は0歳から受け入れるところがあり、場所によっては1歳児から最長でも3歳児まで、という所もあるが、そこにはマスク配布対象になっています。
これはどう説明がつくのでしょうか?
子育て支援センターは、親子同士のふれあいの場として、子育て中の方との出会いの場として、0~3歳未満のお子さんとその保護者の方が利用できる施設です。
保育所に併設されているものは保育所と同じと見れば良いですが、単独型子育て支援センターは、保護者の方がそのお子さんの面倒を見ることが前提です。
職員が不特定多数の子供の面倒を見るという仕組みではないのです。
ですから、この施設の利用にあたってはその家庭が責任を持つことになるので、マスクを配布しないという判断は適切だと思います。
准看護学校は医療機関ではないため年齢層で外れた
各種学校の中に「准看護学校」ありますが、こちらは医療機関ではないため年齢層によって今回の配布対象から外れました。
同様の理由で他の各種学校の施設も対象外です。
「朝鮮幼稚園は配布対象外なのは人種差別」はおかしい
13日の配布対象拡大方針の前の6日の配布対象には、私立・国立の小学校や県の特別支援学校、届出放課後児童クラブも対象外だったということが分かりました。
ここから、「朝鮮幼稚園はマスクの配布対象外になったのは人種差別だ」などという主張はおかしいということが分かります。
朝鮮学校に配布するのに他の場所は非配布なのは逆差別?
また、全体の配布方針や今回の配布対象外となった施設については上述の通りなので、「朝鮮学校に配布しておいて他の場所に配布していないのは逆差別だ」と言えるような事情も見当たりません。少なくとも私はそう理解しています。
まとめ
- 指導監督施設か否かで区切ったのは幼児政策課所管の施設
- 新たに配布対象となり、現時点では配布対象外となっている施設の考え方は合理的
- 朝鮮学校に配布しない判断が「差別」であったり、逆に朝鮮学校に配布することを「逆差別」という主張は不当
資源が限られている中でどうしてもどこかで線引きをしなければならないと考えた場合に、6日時点の判断も、13日の判断も不合理とは言えないと思います。
以上