「検察庁法改正は三権分立の破壊」論者との面白いやりとりがあったので載せます。
「検察庁法改正は三権分立の破壊」論者との面白いやりとり
こんなツイートをしていました。
「司法権への干渉」といっても、司法権に対する牽制と言う意味では三権分立本来の機能として正しいかもしれないわけです。
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月10日
この図では裁判官の任命が描かれてますが、ここに検察官の任命が描かれることになるけど、それって【行政による司法の監視】ですよね(笑) pic.twitter.com/QOIN8elYSx
最高裁判所長官は閣議決定で内閣が指名することとなっているので、「検察庁改正は三権分立の破壊」論者はこれを司法権への干渉と言わないといけないハズなのだけど、なぜ言わないんだろう?(笑)
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月10日
「検察庁法改正は三権分立の破壊」論者は、行政組織である検察について「司法権側でもある」としていることから内閣による人事介入(現在でも検察庁法15条で1級検事は内閣が任命しているが)は司法権の侵害・司法権への干渉であり、三権分立の破壊であると言っていました。
しかし、それって「司法権に対する牽制」じゃないの?それを言うなら最高裁判所長官の指名なども司法権への干渉じゃないの?と書いてます。
するとこういう反応がありました。
それは日本国憲法の欠陥になっている部分ですね。もともと穴が空いている部分ですが、その穴があるからといって検察庁法改正が司法権の独立性を奪うことが危惧される「三権分立の破壊」という問題が消えるわけではありません。穴が広がるわけですから。
— し㍍㍍ば㍍㍍い㍍㍍ぬ (@sbinnn21) 2020年5月10日
別に検察人事介入の増大を「三権分立の破壊」と呼んでもいいですけど、それって検察を司法権の側に位置付けた話だから、任命権の行使による【司法権に対する牽制】として三権分立本来の機能として正しいかもしれないという点はどう考えてるんですか?https://t.co/7IR459suO5
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月10日
私自身は、そもそも内閣が最高裁判所長官を指名し裁判官を任命する制度にしたことが「司法権に対する牽制」ではなく、内閣から司法への介入をしやすくしてしまったセキュリティーホールだと思っています。(国民審査が効果を発揮するならいいが、機能していない)
— し㍍㍍ば㍍㍍い㍍㍍ぬ (@sbinnn21) 2020年5月10日
この人はそもそも日本国憲法6条2項が「天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する」としていることそれ自体を「セキュリティホール」と言ってるわけです。
この時点で、「これは面白い展開になりそうですね()」と思う人は多いと思います。
憲法改正はしないんだろうか?
行政権からの司法権への牽制は何がある?
だとすると、三権分立の機能として内閣(行政権)による司法権への牽制としては何があるのでしょうか?
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月10日
当然こういう疑問が出てきます。
三権分立の根幹は「権力を分散してお互いを監視することで暴走を防ぐ」です。
世の中の三権分立の機能についての説明を見てみると、「行政権からの司法権への牽制」の話として最高裁判所長官の指名やその他裁判官の任命が記述されています。
というか、それ以外って何があるの?
で、それに対する返答がこれ
アメリカみたいに大統領が候補者を指名して上院が承認するとか、それぐらいまでが「牽制」の範疇ではないかと思っています
— し㍍㍍ば㍍㍍い㍍㍍ぬ (@sbinnn21) 2020年5月10日
いや、現行の日本の制度上の話をしてるのですが…
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月10日
雲行きが怪しくなってきました。
そもそも三権分立など存在せず「三権分立の破壊」など不存在では?
・現行の日本の制度上、内閣から裁判所への適度な抑制になっているものがない
— し㍍㍍ば㍍㍍い㍍㍍ぬ (@sbinnn21) 2020年5月10日
・裁判官枠・弁護士枠・法学者枠などを決めていることで、裁判所人事への介入にブレーキをかけている
・検察人事も、ブレーキを緩めないと過剰介入になる
という理屈です。
ちょっと面白いことを言い始めましたねぇ。。。
元のツイートが、内閣が最高裁の人事を決める制度について「司法権への干渉と言わないといけないハズなのだけど」と指摘しておられたことについて「はい、憲法に書いてない基準を設けないと司法権に干渉しまくりです」と答えたいのです
— し㍍㍍ば㍍㍍い㍍㍍ぬ (@sbinnn21) 2020年5月10日
「憲法に書いてない基準を設けないと司法権に干渉しまくりです」なんてこれまでまったく書いてないのですが、まぁ、そういう考えなんでしょう。
それはつまり、現行の日本の制度上は三権分立の機能が無い乃至「行政権vs司法権においては無い」というご指摘なので、国家公務員法改正に伴う検察官法改正による三権分立の「破壊」など不存在ということになるのですが…
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2020年5月10日
裁判官の人事枠は裁判所内部の規定ですし。
「司法権に干渉しまくり」が「牽制」機能を超えて問題だという主張がまったくないのでよくわかりませんでしたが、この論だと結局は行政権から司法権に対する関係で三権分立の機能がそもそも存在していないので【国家公務員法改正に伴う検察庁法改正による三権分立の「破壊」】など不存在と理解せざるを得ません。
指名・任用について憲法には無い基準を設けて透明性を図るべきだという論は理解できるのですが、それって三権分立と関係ありますかね?
三権分立の話とするのは筋悪では?
この話はここでまとめているのですが、結局のところ、「検察は司法権側でもある!だから検察官人事に対して行政側の内閣による介入というのは三権分立破壊だ!」と息巻いてる者に対しては、「それって最高裁判所長官の指名や最高裁裁判官の任命を内閣が行うことでの司法権への牽制と何が違うの?」としか思わないわけです。
今般の改正に反対しても、内閣が検事総長や検事長らを任命する検察庁法15条はそのままですが、彼らはそれをも改正しろと言わないんですよね。ま、それを言い出したら行政機関内部の話なのに三権分立の話をすることになって自滅するんですが。
今の「三権分立」をテコにしようとする議論,絶対にココで詰むんですよねw
— くるくる🐰 (@_crr_) 2020年5月10日
実証実験お疲れ様でございました!!
— くるくる🐰 (@_crr_) 2020年5月10日
憲法の規定をきっかけにロジカルに紡いでいった結果どうなるのか,めちゃくちゃ良いものを見せていただきました!!
憲法改正なしにここを突破するロジック,私もあるなら見てみたい(^ω^)
検察人事への介入の度合いを強めることの問題は三権分立との関係ではなく、検察の独立性それ自体や刑事司法の公正性の観点から論じた方が、変なノイズが無くていいんじゃないかと思うのです。
以上